十日町市176人、津南町23人、栄村7人

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社説

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 これは危機的な数字だ。出生数の激減は、その自治体の深刻な未来を示すデータでもある。人口4万6千人余の十日町市。今年1月から8月上旬までの出生数は91人。残る4ヵ月余で出生数がどこまで伸びるかだが、前年2024年の176人を上回るのは難しいだろう。津南町の昨年1年間の出生数は23人、栄村は7人、いずれも年間出生数の過去最低を更新している。数字データは、相当なる深刻度を我々住民に突き付けている。
 この人口問題と並行論議される未婚者社会の進行。時の政権は、この論議でたびたび性差問題を俎上に上げ、ジェンダー論議に抵触する言葉を持ち出し、批判の的になる。一方で現実を直視すると、さらに深刻度が増す事態を直視せずにはいられない。
 今年2025年、5年に一度の国勢調査の年だ。前回2020年調査で表出した実態は、前々回2015年調査をさらに上書きする深刻度を示した。国勢調査からは様々なデータが読み取れるが、人口減少に直結するのが「未婚者」の推移。このデータを5年毎に比較すると、その割合は急上昇している。2020年データでは、十日町市・津南町・栄村の単純平均だけでも30代男性未婚者は約45%、40代は約40%と高い比率を占めている。一方で、20代~40代の女性人口の減少も注目すべきデータだ。この年代の女性人口の減少は、未婚者増加に直結しているともいえる。
 「人口問題は行政運営の根本課題」と言われる通り、市町村運営の要点は人口政策である。だが、考えてしまう。十日町市から津南町に10人が移り住むと、それぞれ10人減、10人増だ。だが広域の妻有エリアで増減はない。同じ事がこの国全体に言えるのではないか。膨らんだ行政需要を整理する時期に来ている、その視点がこれからの人口政策ではないのか。

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