Category

妻有新聞掲載記事一覧

  • 「命の拠点」、安心支える地域医療

    十日町市支援事業で「ほり内科クリニック」、来月開院

     医師不足が深刻度を増す十日町医学圏に新たな地域医療を支える拠点がまたひとつ加わる。県立十日町病院に勤務していた内科医が独立、8月1日に十日町市山本町に『ほり内科クリニック』を開院する。院長は堀好寿医師(よしひさ、45)。今年3月に閉院した大熊内科医院を引き継ぐ形で施設を改修した。十日町市が医療施設の整備、診療体制の継続確保などに取り組む医師らに補助金を交付する『十日町市医療施設設備等支援事業』の支援も開業を後押し、同事業による独立開業は4医院目で、持続可能な地域医療を支える大きな力になっている。堀医師は「十日町病院時代、スタッフが医師を支えてくれる姿勢に感動した。十日町で頑張ろうという気持ちになった」と十日町病院での経験が十日町市に根を下ろす要因になったと話す。昨年11月の村岡整形外科クリニックに続き、豪雪地域の地域医療に新たな「命の拠点」が誕生する。住民の「暮らしの安心感」が増すことになる。

    2024年7月13日号

  • 「多様性という時代を、どう考えるか」

    栁 拓玖さん(2001年生まれ)

     「この先、どうなっていくのか」。自分の中にある率直な心情だ。それは、少子化が進み高齢化がますます進む地に暮らす今であり、人口減少がさらに進むであろう現実であり、人と人が殺し合う世界の動きであり、沸騰していると表現される最近の地球環境である。
     「そんなに大きいことを言っているわけではありませんが、正直、この先、どうなっていくんだという思いです」。

     2000年世代は、社会との関係性で一番刺激を受ける時期にコロナ禍が重なり、将来を見据えた行先の進路変更を余儀なくされたり、対面授業ができず画面越しのオンラインになり、生身の人間同士の付き合いが希薄になった時間を過ごし、いまも影響を受け続けている世代でもある。
     「多様性の時代は、なんでもありの時代でもあり、そうではない時代でもあると思います。あれもこれも多様性という言葉に組み込まれているようにも感じます」。
     その端的な事例が「結婚」という形のあり方への疑問。「家族のあり方そのものが変わってきている気がします。将来は子どもの世話になるから我が子が必要という考えは世代によって違うし、自分たちの世代はそういう考えにはなっていないでしょう。だから結婚という形ではなく、パートナーについても形にこだわらない、いろいろな形があって良いと考えています。それも多様性ということなんでしょうね」。
     さらに大きな要因もある。それは経済的なこと。「結婚は1プラス1は2ですが、その先に子どもが加わると、それが5にも6にでもなります。それほど経済的な面が大きくなっているのが、今ではないでしょうか」。所得格差は、その先の格差を生み出し、まさに「この先、どうなっていくのか」の疑問符はさらに膨らむことになる。

     中学3年間、吹奏楽部でバスクラリネットを担当したが、「女子の強さを思い知ったので、高校では女子がいないサッカーをやりました」。
    世代間というより性差ギャップを思い知った思春期だった。専門学校で調理師資格を取得したが、別の道に進む。いま社会人として働きながら「AI分野への関心が高まっています。もっと専門的なスキルを身に付けていきたい。これからどんな時代になるか、そのためにもAI分野は必要になると思っています」。
     休日は長岡のバッティングセンターなどが入る長岡ドームに友だちと行く。「ストレス発散になりますね」。仲間たちとの時間を大切にする。
     いよいよ大地の芸術祭が13日開幕。「受け入れ側という感覚です。外国からの人たちが増えてきているようですね」。その外国の在り様にも目が向く。「混沌としている世の中で、これからどういう方向に向かっていくのか、誰にも分からない不安があります。それは戦争ばかりではなく、平均気温がどんどん高くなっているなか、まさにこの先、どうなるのか、ですね」。
     さらに「特に人口減少は深刻ですね。結婚の必要性が薄くなり、子どもが生まれない世になれば、ますます人口が減少します。ほんと、この先、どうーなっていくの、ですね」。

    ▼バトンタッチします。
     山本陽向子さん

    2024年7月13日号

  • 有権者の進化、勇気ある有権者の一人街宣

    東京都知事選

    藤ノ木信子 (清津川に清流を取り戻す会)

     七夕の夜に開票が行われた東京都知事選は考える点が多かった。都民ではないので外野からの感想だけど少し書いてみようと思う。
     当初から当選する気のない候補者乱立や掲示板ジャックなど「人としてどうなの?」と理解が追い付かない私は遅れている? らしい東京現象で選挙戦は始まった。
     選挙中、「候補者が肉声で思いを伝えないと気持ちが動かないよ」と考えている私は、もはや旧人類? と思ったのがAIやZOOM記者会見だ。これからの選挙ではテクノロジーを駆使した一方通行の手法が多用されるんだろうか。AI百合子は誰に話しかけているの?
     開票すると、全く顔を出さずSNS発信だけで11万票を得た候補者があった。えっ? と思うけど街頭演説でなく、スマホの中の見えない存在が若者の支持を得ている。 次点で165万票を集めた石丸氏は動画配信のファン層と若年浮動票をがっちり掴んだ。言動が面白ければいいエンターテイメントの様で、私にはとても短絡的に見える。 
     若い人は今までのバチバチの政策論争には近寄らないが、簡単で分かりやすく相手を批判してくれる等身大の候補者には共感する。
     私の世代と異なるやり方で違う世界線で推し活選挙? が進んでいる。政策を戦わすのでなく、マウントを取り相手を打ち負かせばいい、切り取りの民主主義、それを興味本位に持ち上げる報道…私的にとても危ういものを感じる。
     この後の衆議院選挙もこの流れは加速していくんだろうか。投票率は上がったが、結果は知名度と組織票をがっちり持っている現職が当選、都民の選択となった。(小池さん、8年前の公約「2030年までに原発ゼロ」を達成して下さいね)というわけで、私自身が歳をとったことを思い知らされた都知事選だった。
     だがこの選挙で成長した人もいる。一人街宣という個人が立ち上がる勇気あるムーブメントで、プラカードを持って一人で駅や街角に立って選挙への関心を深めようとした人が多く現れた。候補者ではなく有権者が主役として動き出したことが進化だと思う。
     この人達の心は今後もっと大きくなってほしい。テレビで言ってるから、偉い人がやることだから、専門家が考えたからと鵜呑みにしないでほしい。はて? と思うことは一人一人が自分で情報を集め、学び、考え、判断し、行動してほしい。
     思考停止して傍観したり、多数に合わせて依存するだけでは見えない景色がここにある。
     だから私ももの言う「老婆心ながら」でありたいと思う。

    2024年7月13日号

  • 豪雪地のニホンヤモリ

    南雲 敏夫(県自然観察指導員)

     あるホテルから「ヤモリが数年前から住んでいて夏場は良く出てくるよ」って連絡をもらった。
     最初は半信半疑だったが現物を確認するとやはりニホンヤモリそのもの…普通こんな豪雪地の山間部にはいないと思っていたのだが。
     新潟県内では柏崎や出雲崎、糸魚川などの古くから商船が出入りする港町などでは船荷などに入り込んであちこちの港などに運び込まれる事が多いと言う。
     ではなぜこんな豪雪地にいたかと思うと、予想ではあるが、ホテルのリフォームなどで大量の資材が運び込まれた時にその中にいたのではないかと思う。
     夜行性の動物で人家など人の生活圏にすみつき、天井や壁などに張り付いて生活しているのが見られる。特に夜間にガラス窓に集まる昆虫などを捕食して生活している。人とうまく共存していて野外では姿を見るのまれである。
     漢字で書くと「家守」と書き、家を守る動物としても有名で、見つけてもそっとしておいてあげたい。

    2024年7月13日号

  • こだわり「マッサンブレンド」、人気ジワリ

    津南町 内山政徳さん

    コーヒーどっぷり6年、イベント出店も

     豊かな香り、甘味・酸味など複雑な味が人を魅了してやまないコーヒー。妻有地域に、どっぷりはまった人がいる。ネットを中心に自家焙煎ブレンド販売を手がける『マッサンコーヒー』の内山政徳さん(33、津南町正面)。地区内外のカフェに自身オリジナルブレンドを提供したりと、活躍の幅を広げている。「自分で作るコーヒーは甘さを出すようにし、究極の普段飲みがめざしている味。世界で一番美味しいコーヒーを追求したい」。将来の夢は自分の店を持つことだ。

    2024年7月13日号

  • 「注目主義の選挙」、大衆迎合を危惧

     これも「劇場型」なのだろう。換言すれば「注目至上主義のSNSの世界観が公共空間にあふれ出てしまった選挙」。役者の言葉より、舞台のパフォーマンスぶりに目が、耳がいき、「面白そうだ」と魅かれ…投票につながった、これが都知事選から見える一つの側面だ。政を託す選択の選挙が、政治を見世物として操る術を選ぶ選挙に、これも都知事選の結果から見えてくる。
     この「注目至上主義選挙」が次期衆院選にどう影響するかだ。本号オピニオン・藤ノ木信子氏が指摘する。今回の都知事選の得票モデルを次期衆院選に持ち込まれたら、選挙は「選ぶ選挙」から「パフォーマンスの良し悪し」を選ぶ、文字通りの祭になってしまう。 
     都知事選結果を招いたのは「有権者の劣化」、とは言い過ぎだろうか。だが、その背後には「庶民の声を拾えない政党への不信感」がある。積み重なる政治不信、言い逃れのその場しのぎが、無所属を掲げた候補を2番手に押し上げたのは事実だろう。
     だが、考えたいのはその中身だ。ネット選挙を全面展開した無所属新人は、得票で2番になったが、それは「大衆迎合型の政治手法。厳しい言葉で批判し、論破する姿をSNSに晒すことで、庶民の鬱積を晴らしてくれる、と思わせる手法」だった。選ぶ選挙から「不満をぶつける」投票行動になっている現実を都知事選で見た思いだ。これも率直な投票行動であるのは事実だろう。
     さらに、政党政治への辟易感が、既成政党への嫌悪感として増幅し、無所属を標榜した若い候補に集まった、端的に見る都知事選の構図だ。
     今回の都知事選は今後全国である「選挙」に大きく影響するだろう。有権者の1票は大きい。だが有権者の目を引く「注目主義選挙」が横行する危惧を抱く。手段を選ばない関心集めの選挙手法、そこには「政治」がないからだ。有権者意識がさらに問われる。

    2024年7月13日号

  • 日本橋から321㌔歩く

    十日町市 金子信義さん

    18日間徒歩の旅、「人の情け感じた」

     古来から十日町は織物産地で、江戸時代には徳川将軍家にも商品を納めていた。昔の人のように江戸から越後まで歩いてみようと、金子信義さん(75)は五街道の起点、東京の日本橋を先月3日に出発し、十日町市妻有町東の自宅には20日到着。家族や友人が待ち受け「おかえりなさい」の横断幕を張ってクラッカーを鳴らし、花束を渡して18日間をかけた321㌔踏破を祝福した。

    2024年7月6日号

  • 「24時間、命と向き合う」

    伊藤 隆汰さん(2000年生まれ)

     勢いを増し燃え盛る火、初めての火災現場で初めての放水…。消防官になり初体験した現場は、想像を超える過酷さだった。「迫る火の勢いと熱さ、これが現場かと、ちょっと恐怖さえ感じました」。あれから5年、十日町地域消防本部消防官として事故や災害、病気など「命」と向き合う現場に出動し救急活動にあたっている。

     「小さい頃から消防自動車や消防官へのあこがれがあり、十日町地域消防が毎年開く『消防ひろば』には必ず行っていました。はしご車にも乗せてもらいました」。そのあこがれが、さらに具体化したのが映画『252生存者あり』。大災害に見舞われた東京を舞台に「生還」と「救出」の消防レスキュー活動を描いた人間ドラマ。「あれを見て、レスキュー隊員になろうと決めました。あとはその目標に向かってまっしぐらでした」。
     保育園時代に乗せてもらった消防はしご車。入署して3年目、消火訓練で消防はしご車バケットに入り高さ25㍍まで上がり、高所訓練を経験。「実は高い所がちょっと苦手でしたので、高いなぁーと感じながらの訓練でした」。だが、いまは経験を積み、高さへの恐怖心はなく、どんな現場にもひるむことなく臨んでいる。
     地域の高齢化、独り暮らし世帯増加などから救急救命の出動が増加するなか、5年の現場経験から「救急救命士」の重要性を感じている。救急車乗車は「救急資格」を取得しなければ乗れない。入署2年目で資格取得した。救急救命士は乗車資格取得後、さらに5年間の救急経験、あるいは2千時間の救急業務経験など一定条件をクリアしないと資格試験に挑戦できない厳しい国家資格だ。それをめざしている。
     「まだ救急業務の経験年数が足りていないので受験できませんが、必ず目標の救急救命士を取得します」。
     十日町地域消防本部では年間3500件余、1日平均10件余の出動があり、年々増加傾向にある。消防官は24時間勤務後、非番(緊急時は出動)、休日という3日間サイクルが勤務体系。まさに体力と気力、精神力が求められる。一方で風邪の発熱、指先を切ったなど全国的に問題視される「不適切利用」も増加要因になっているといわれる。
     体力づくりはランニングだ。非番や休日で走り込む時は30㌔ほど走る。十日町の国道117号を本町からスタート、小千谷境で折返し、そのまま土市・姿まで行き、本町に引き返すルート。30㌔を超える距離を2時間弱で走る。
     2022年10月には初のフルマラソンに挑戦。「金沢マラソンです。大会3ヵ月ほど前に先輩から、俺が出られなくなったので出てみないかと誘われ、やってみるかと出場を決めました」。初出場ながら2時間50分台で走り切った。いまも1日10㌔ほど走っている。高校時代の陸上部活動がいまに通じる。800㍍、1500㍍に取り組み、3年の時は駅伝で県大会入賞を果たしている。

     今年2月、佐渡出身の萌さんと入籍。今春の新潟ハーフマラソンに一緒に出場。「結構、走るんですよ。今度は2人でフルマラソン出場をめざします」。今秋10月、結婚式を挙げる。「そうですね、来年4月の『佐渡ときマラソン』に2人で出場する予定です」。良きパートナーとの出会いは、目標とする「救急救命士」取得へのモチベーションを高めている。
     数々の現場を体験し、命と向き合う日
    々。悲惨な現場、目の前で命が途絶えていく現場、言葉に表せない数々の惨状。消防官、救急隊員の心身の負荷は計り知れない。
     「すぐには切り替えられない場面もありますが、先輩などと話をして貯めないようにしています。私の場合、ランニングがリセットの場になっています。今後、さらに私たちの出動数は増えていくと思いますが、それが私たちの使命ですから」。

    ▼バトンタッチします。
     栁拓玖さん

    2024年7月6日号

  • 「RSウイルス感染症」への理解を

    新生児、生後3ヵ月までは風邪予防を

    Vol 101

     最近このコラムを毎回切り抜いてとっています、とお声がけいただきました。本当にありがとうございます。今日は、新しい妊婦さん対象の予防接種のお知らせです。
     現在すでに妊娠中に接種可能なワクチンのある感染症に、インフルエンザ、新型コロナ、百日咳などがありますが、今年1月18日に妊娠中に接種して「新生児及び乳児のRSウイルス感染症の重症化を予防する」ワクチンが登場しました。
     RSウイルスの予防については、今までは重症化リスクのある児(早産児や先天性心疾患など基礎疾患のあるハイリスク児)に対してワクチン接種をしてきました。しかし、重症化リスクは基礎疾患のない正期産の子どもにもあり、しかも近年は流行の季節性もなく、現在RSウイルス感染症は乳児に限らず親にとっても極めて重要な疾病です。
     RSウイルス感染症は5類感染症に指定されており、生後1歳までに50%以上が、2歳までにほぼ100%が初感染しますが、症状は熱や倦怠感などの風邪症状から上気道症状(鼻閉、鼻水、くしゃみ)、下気道症状(咳、呼吸困難、喘鳴)まで様々です。
     成人にとっては鼻がグズグズする程度で済むことがほとんどですが、特に生後6ヵ月未満では重症化しやすく、肺炎、無呼吸、急性脳症なども引き起こします。
     生後間もなくRSウィルスに感染した子どもは、その後に気管支喘息を生じるとの関係性も指摘されています。日本では、年間12~14万人の2歳未満の乳幼児がRSウイルス感染症と診断され、そのうち3万人が人院を要し、入院発生数は生後1~2ヵ月時点でピークとなり、人工呼吸器管理となる場合も多々あります。また、対症療法が基本で有効な治療薬はありません。そのため予防が重要です。
     このワクチンを妊婦に接種することにより、RSウイルスに対する抗体が母体で作られ、そして抗体が胎盤を通じて胎児に移行することで、新生児および乳児におけるRSウイルスを原因とする下気道疾患を防ぐことができます。妊娠24週から36週の妊婦に1回筋肉内接種をします。ワクチンの効果は生後6ヵ月まで続きます。
     残念ながら今はこのワクチンに対して公費補助が無いため、希望者に限り自費で接種する形となります。妊婦さんへの副反応としては、注射部位の疼痛くらいで、重篤な全身症状などはないとのことです。
     新型コロナ感染症が2類から5類になり、今年は春から子どもたちを中心に様々な感染症が流行りました。そのうちの一つにRSウイルス感染症もありましたが、生後間もない赤ちゃんたちが今年は多く感染し、重症化して入院したという話を聞きました。
     まず赤ちゃんが家族にいらっしゃるご家庭の方は、重症化のリスクが高い生後3ヵ月になるまで赤ちゃんには風邪を引かせないように慎重になってください。 
     大人のちょっとした風邪症状でも赤ちゃんにとっては命取りになる感染症かもしれません。上にお子さんのいる方は特に注意が必要です。心配な時はどうぞ妊娠中のRSワクチン接種をお考え下さいね。(たかき医院・仲栄美子院長)

    2024年7月6日号

  • 柏崎刈羽原発再稼働は県民投票で

    三度、原発問題

    斎木 文夫 (年金生活者)

     6月23日は、本紙前号の本欄で松崎さんが書いていたように、「沖縄慰霊の日」です。
     今年の6月23日、私が代表を務める十日町・津南地域自治研究所では「第20回エネルギー問題連続講座」を開催しました。福島原発事故の現地調査報告会、柏崎刈羽原発再稼働を考える講演会、福島の写真展の3点セット。詳細は本紙前号をご覧になってください。
     講演会講師・大野隆一郎氏は、①柏崎刈羽原発は軟弱地盤の上に建っていること、②柏崎刈羽原発の核のごみはすでに満杯に近いこと、③日本は地震国、地下水が豊富で、核のごみの地層処分に適した土地はないこと、④能登半島地震でも見られた電力会社の隠ぺい体質を挙げ、柏崎刈羽原発は再稼働させるべきではないと訴えました。
     講演後、会場から「このような学習会も大事だが、原発を再稼働させない運動をする段階ではないか」とのお声をいただきました。私は「原発の危険性や問題点について学ぶ機会を提供するのが当研究所の役割」とお答えしました。
     歯切れの悪い答えに、当研究所の小林理事が「十日町市まちづくり基本条例はそうした運動の武器になるので、活用してほしい」とフォローしてくれました。皆さまもこの条例をぜひお読みになってください。議員さん、使えますよ。
     花角知事は、柏崎刈羽原発を稼働するかどうかの判断にあたり「県民の信を問う」と繰り返し、その手法については明らかにしていません。
     「県議会で決めれば」という人は、福島原発の過酷事故から何を学んだのでしょうか。出直し県知事選は、党派性や人格などが混じって、純粋に原発再稼働の是非を問うことにはなりません。
     大野氏は、東北電力巻原発を止めた旧・巻町の住民投票を例に、「県民投票」を提案されました。私も同意見です。
     4月に福島県楢葉町の宝鏡寺を訪ねました。寺の境内には「ヒロシマ・ナガサキ・ビキニ・フクシマ伝言館」があり、世界の原子力災害の資料が展示されています。
     入口に貼られた短冊に目が留まりました。「這うことも/できなくなったが/手にはまだ/平和を守る/一票がある」。この歌を残したのは八坂スミさん。1982年、90歳のときの歌です。
     運動には色々な形があります。投票も大切な意思表示であり、闘いです。
    私たちは、県民投票の実現に向けて、反原発運動に「進み切れない」方々の背中を押す活動を続けていきたいと思います。

    2024年7月6日号

  • 「命の拠点」、安心支える地域医療

    十日町市支援事業で「ほり内科クリニック」、来月開院

     医師不足が深刻度を増す十日町医学圏に新たな地域医療を支える拠点がまたひとつ加わる。県立十日町病院に勤務していた内科医が独立、8月1日に十日町市山本町に『ほり内科クリニック』を開院する。院長は堀好寿医師(よしひさ、45)。今年3月に閉院した大熊内科医院を引き継ぐ形で施設を改修した。十日町市が医療施設の整備、診療体制の継続確保などに取り組む医師らに補助金を交付する『十日町市医療施設設備等支援事業』の支援も開業を後押し、同事業による独立開業は4医院目で、持続可能な地域医療を支える大きな力になっている。堀医師は「十日町病院時代、スタッフが医師を支えてくれる姿勢に感動した。十日町で頑張ろうという気持ちになった」と十日町病院での経験が十日町市に根を下ろす要因になったと話す。昨年11月の村岡整形外科クリニックに続き、豪雪地域の地域医療に新たな「命の拠点」が誕生する。住民の「暮らしの安心感」が増すことになる。

    2024年7月13日号

  • 「多様性という時代を、どう考えるか」

    栁 拓玖さん(2001年生まれ)

     「この先、どうなっていくのか」。自分の中にある率直な心情だ。それは、少子化が進み高齢化がますます進む地に暮らす今であり、人口減少がさらに進むであろう現実であり、人と人が殺し合う世界の動きであり、沸騰していると表現される最近の地球環境である。
     「そんなに大きいことを言っているわけではありませんが、正直、この先、どうなっていくんだという思いです」。

     2000年世代は、社会との関係性で一番刺激を受ける時期にコロナ禍が重なり、将来を見据えた行先の進路変更を余儀なくされたり、対面授業ができず画面越しのオンラインになり、生身の人間同士の付き合いが希薄になった時間を過ごし、いまも影響を受け続けている世代でもある。
     「多様性の時代は、なんでもありの時代でもあり、そうではない時代でもあると思います。あれもこれも多様性という言葉に組み込まれているようにも感じます」。
     その端的な事例が「結婚」という形のあり方への疑問。「家族のあり方そのものが変わってきている気がします。将来は子どもの世話になるから我が子が必要という考えは世代によって違うし、自分たちの世代はそういう考えにはなっていないでしょう。だから結婚という形ではなく、パートナーについても形にこだわらない、いろいろな形があって良いと考えています。それも多様性ということなんでしょうね」。
     さらに大きな要因もある。それは経済的なこと。「結婚は1プラス1は2ですが、その先に子どもが加わると、それが5にも6にでもなります。それほど経済的な面が大きくなっているのが、今ではないでしょうか」。所得格差は、その先の格差を生み出し、まさに「この先、どうなっていくのか」の疑問符はさらに膨らむことになる。

     中学3年間、吹奏楽部でバスクラリネットを担当したが、「女子の強さを思い知ったので、高校では女子がいないサッカーをやりました」。
    世代間というより性差ギャップを思い知った思春期だった。専門学校で調理師資格を取得したが、別の道に進む。いま社会人として働きながら「AI分野への関心が高まっています。もっと専門的なスキルを身に付けていきたい。これからどんな時代になるか、そのためにもAI分野は必要になると思っています」。
     休日は長岡のバッティングセンターなどが入る長岡ドームに友だちと行く。「ストレス発散になりますね」。仲間たちとの時間を大切にする。
     いよいよ大地の芸術祭が13日開幕。「受け入れ側という感覚です。外国からの人たちが増えてきているようですね」。その外国の在り様にも目が向く。「混沌としている世の中で、これからどういう方向に向かっていくのか、誰にも分からない不安があります。それは戦争ばかりではなく、平均気温がどんどん高くなっているなか、まさにこの先、どうなるのか、ですね」。
     さらに「特に人口減少は深刻ですね。結婚の必要性が薄くなり、子どもが生まれない世になれば、ますます人口が減少します。ほんと、この先、どうーなっていくの、ですね」。

    ▼バトンタッチします。
     山本陽向子さん

    2024年7月13日号

  • 有権者の進化、勇気ある有権者の一人街宣

    東京都知事選

    藤ノ木信子 (清津川に清流を取り戻す会)

     七夕の夜に開票が行われた東京都知事選は考える点が多かった。都民ではないので外野からの感想だけど少し書いてみようと思う。
     当初から当選する気のない候補者乱立や掲示板ジャックなど「人としてどうなの?」と理解が追い付かない私は遅れている? らしい東京現象で選挙戦は始まった。
     選挙中、「候補者が肉声で思いを伝えないと気持ちが動かないよ」と考えている私は、もはや旧人類? と思ったのがAIやZOOM記者会見だ。これからの選挙ではテクノロジーを駆使した一方通行の手法が多用されるんだろうか。AI百合子は誰に話しかけているの?
     開票すると、全く顔を出さずSNS発信だけで11万票を得た候補者があった。えっ? と思うけど街頭演説でなく、スマホの中の見えない存在が若者の支持を得ている。 次点で165万票を集めた石丸氏は動画配信のファン層と若年浮動票をがっちり掴んだ。言動が面白ければいいエンターテイメントの様で、私にはとても短絡的に見える。 
     若い人は今までのバチバチの政策論争には近寄らないが、簡単で分かりやすく相手を批判してくれる等身大の候補者には共感する。
     私の世代と異なるやり方で違う世界線で推し活選挙? が進んでいる。政策を戦わすのでなく、マウントを取り相手を打ち負かせばいい、切り取りの民主主義、それを興味本位に持ち上げる報道…私的にとても危ういものを感じる。
     この後の衆議院選挙もこの流れは加速していくんだろうか。投票率は上がったが、結果は知名度と組織票をがっちり持っている現職が当選、都民の選択となった。(小池さん、8年前の公約「2030年までに原発ゼロ」を達成して下さいね)というわけで、私自身が歳をとったことを思い知らされた都知事選だった。
     だがこの選挙で成長した人もいる。一人街宣という個人が立ち上がる勇気あるムーブメントで、プラカードを持って一人で駅や街角に立って選挙への関心を深めようとした人が多く現れた。候補者ではなく有権者が主役として動き出したことが進化だと思う。
     この人達の心は今後もっと大きくなってほしい。テレビで言ってるから、偉い人がやることだから、専門家が考えたからと鵜呑みにしないでほしい。はて? と思うことは一人一人が自分で情報を集め、学び、考え、判断し、行動してほしい。
     思考停止して傍観したり、多数に合わせて依存するだけでは見えない景色がここにある。
     だから私ももの言う「老婆心ながら」でありたいと思う。

    2024年7月13日号

  • 豪雪地のニホンヤモリ

    南雲 敏夫(県自然観察指導員)

     あるホテルから「ヤモリが数年前から住んでいて夏場は良く出てくるよ」って連絡をもらった。
     最初は半信半疑だったが現物を確認するとやはりニホンヤモリそのもの…普通こんな豪雪地の山間部にはいないと思っていたのだが。
     新潟県内では柏崎や出雲崎、糸魚川などの古くから商船が出入りする港町などでは船荷などに入り込んであちこちの港などに運び込まれる事が多いと言う。
     ではなぜこんな豪雪地にいたかと思うと、予想ではあるが、ホテルのリフォームなどで大量の資材が運び込まれた時にその中にいたのではないかと思う。
     夜行性の動物で人家など人の生活圏にすみつき、天井や壁などに張り付いて生活しているのが見られる。特に夜間にガラス窓に集まる昆虫などを捕食して生活している。人とうまく共存していて野外では姿を見るのまれである。
     漢字で書くと「家守」と書き、家を守る動物としても有名で、見つけてもそっとしておいてあげたい。

    2024年7月13日号

  • こだわり「マッサンブレンド」、人気ジワリ

    津南町 内山政徳さん

    コーヒーどっぷり6年、イベント出店も

     豊かな香り、甘味・酸味など複雑な味が人を魅了してやまないコーヒー。妻有地域に、どっぷりはまった人がいる。ネットを中心に自家焙煎ブレンド販売を手がける『マッサンコーヒー』の内山政徳さん(33、津南町正面)。地区内外のカフェに自身オリジナルブレンドを提供したりと、活躍の幅を広げている。「自分で作るコーヒーは甘さを出すようにし、究極の普段飲みがめざしている味。世界で一番美味しいコーヒーを追求したい」。将来の夢は自分の店を持つことだ。

    2024年7月13日号

  • 「注目主義の選挙」、大衆迎合を危惧

     これも「劇場型」なのだろう。換言すれば「注目至上主義のSNSの世界観が公共空間にあふれ出てしまった選挙」。役者の言葉より、舞台のパフォーマンスぶりに目が、耳がいき、「面白そうだ」と魅かれ…投票につながった、これが都知事選から見える一つの側面だ。政を託す選択の選挙が、政治を見世物として操る術を選ぶ選挙に、これも都知事選の結果から見えてくる。
     この「注目至上主義選挙」が次期衆院選にどう影響するかだ。本号オピニオン・藤ノ木信子氏が指摘する。今回の都知事選の得票モデルを次期衆院選に持ち込まれたら、選挙は「選ぶ選挙」から「パフォーマンスの良し悪し」を選ぶ、文字通りの祭になってしまう。 
     都知事選結果を招いたのは「有権者の劣化」、とは言い過ぎだろうか。だが、その背後には「庶民の声を拾えない政党への不信感」がある。積み重なる政治不信、言い逃れのその場しのぎが、無所属を掲げた候補を2番手に押し上げたのは事実だろう。
     だが、考えたいのはその中身だ。ネット選挙を全面展開した無所属新人は、得票で2番になったが、それは「大衆迎合型の政治手法。厳しい言葉で批判し、論破する姿をSNSに晒すことで、庶民の鬱積を晴らしてくれる、と思わせる手法」だった。選ぶ選挙から「不満をぶつける」投票行動になっている現実を都知事選で見た思いだ。これも率直な投票行動であるのは事実だろう。
     さらに、政党政治への辟易感が、既成政党への嫌悪感として増幅し、無所属を標榜した若い候補に集まった、端的に見る都知事選の構図だ。
     今回の都知事選は今後全国である「選挙」に大きく影響するだろう。有権者の1票は大きい。だが有権者の目を引く「注目主義選挙」が横行する危惧を抱く。手段を選ばない関心集めの選挙手法、そこには「政治」がないからだ。有権者意識がさらに問われる。

    2024年7月13日号

  • 日本橋から321㌔歩く

    十日町市 金子信義さん

    18日間徒歩の旅、「人の情け感じた」

     古来から十日町は織物産地で、江戸時代には徳川将軍家にも商品を納めていた。昔の人のように江戸から越後まで歩いてみようと、金子信義さん(75)は五街道の起点、東京の日本橋を先月3日に出発し、十日町市妻有町東の自宅には20日到着。家族や友人が待ち受け「おかえりなさい」の横断幕を張ってクラッカーを鳴らし、花束を渡して18日間をかけた321㌔踏破を祝福した。

    2024年7月6日号

  • 「24時間、命と向き合う」

    伊藤 隆汰さん(2000年生まれ)

     勢いを増し燃え盛る火、初めての火災現場で初めての放水…。消防官になり初体験した現場は、想像を超える過酷さだった。「迫る火の勢いと熱さ、これが現場かと、ちょっと恐怖さえ感じました」。あれから5年、十日町地域消防本部消防官として事故や災害、病気など「命」と向き合う現場に出動し救急活動にあたっている。

     「小さい頃から消防自動車や消防官へのあこがれがあり、十日町地域消防が毎年開く『消防ひろば』には必ず行っていました。はしご車にも乗せてもらいました」。そのあこがれが、さらに具体化したのが映画『252生存者あり』。大災害に見舞われた東京を舞台に「生還」と「救出」の消防レスキュー活動を描いた人間ドラマ。「あれを見て、レスキュー隊員になろうと決めました。あとはその目標に向かってまっしぐらでした」。
     保育園時代に乗せてもらった消防はしご車。入署して3年目、消火訓練で消防はしご車バケットに入り高さ25㍍まで上がり、高所訓練を経験。「実は高い所がちょっと苦手でしたので、高いなぁーと感じながらの訓練でした」。だが、いまは経験を積み、高さへの恐怖心はなく、どんな現場にもひるむことなく臨んでいる。
     地域の高齢化、独り暮らし世帯増加などから救急救命の出動が増加するなか、5年の現場経験から「救急救命士」の重要性を感じている。救急車乗車は「救急資格」を取得しなければ乗れない。入署2年目で資格取得した。救急救命士は乗車資格取得後、さらに5年間の救急経験、あるいは2千時間の救急業務経験など一定条件をクリアしないと資格試験に挑戦できない厳しい国家資格だ。それをめざしている。
     「まだ救急業務の経験年数が足りていないので受験できませんが、必ず目標の救急救命士を取得します」。
     十日町地域消防本部では年間3500件余、1日平均10件余の出動があり、年々増加傾向にある。消防官は24時間勤務後、非番(緊急時は出動)、休日という3日間サイクルが勤務体系。まさに体力と気力、精神力が求められる。一方で風邪の発熱、指先を切ったなど全国的に問題視される「不適切利用」も増加要因になっているといわれる。
     体力づくりはランニングだ。非番や休日で走り込む時は30㌔ほど走る。十日町の国道117号を本町からスタート、小千谷境で折返し、そのまま土市・姿まで行き、本町に引き返すルート。30㌔を超える距離を2時間弱で走る。
     2022年10月には初のフルマラソンに挑戦。「金沢マラソンです。大会3ヵ月ほど前に先輩から、俺が出られなくなったので出てみないかと誘われ、やってみるかと出場を決めました」。初出場ながら2時間50分台で走り切った。いまも1日10㌔ほど走っている。高校時代の陸上部活動がいまに通じる。800㍍、1500㍍に取り組み、3年の時は駅伝で県大会入賞を果たしている。

     今年2月、佐渡出身の萌さんと入籍。今春の新潟ハーフマラソンに一緒に出場。「結構、走るんですよ。今度は2人でフルマラソン出場をめざします」。今秋10月、結婚式を挙げる。「そうですね、来年4月の『佐渡ときマラソン』に2人で出場する予定です」。良きパートナーとの出会いは、目標とする「救急救命士」取得へのモチベーションを高めている。
     数々の現場を体験し、命と向き合う日
    々。悲惨な現場、目の前で命が途絶えていく現場、言葉に表せない数々の惨状。消防官、救急隊員の心身の負荷は計り知れない。
     「すぐには切り替えられない場面もありますが、先輩などと話をして貯めないようにしています。私の場合、ランニングがリセットの場になっています。今後、さらに私たちの出動数は増えていくと思いますが、それが私たちの使命ですから」。

    ▼バトンタッチします。
     栁拓玖さん

    2024年7月6日号

  • 「RSウイルス感染症」への理解を

    新生児、生後3ヵ月までは風邪予防を

    Vol 101

     最近このコラムを毎回切り抜いてとっています、とお声がけいただきました。本当にありがとうございます。今日は、新しい妊婦さん対象の予防接種のお知らせです。
     現在すでに妊娠中に接種可能なワクチンのある感染症に、インフルエンザ、新型コロナ、百日咳などがありますが、今年1月18日に妊娠中に接種して「新生児及び乳児のRSウイルス感染症の重症化を予防する」ワクチンが登場しました。
     RSウイルスの予防については、今までは重症化リスクのある児(早産児や先天性心疾患など基礎疾患のあるハイリスク児)に対してワクチン接種をしてきました。しかし、重症化リスクは基礎疾患のない正期産の子どもにもあり、しかも近年は流行の季節性もなく、現在RSウイルス感染症は乳児に限らず親にとっても極めて重要な疾病です。
     RSウイルス感染症は5類感染症に指定されており、生後1歳までに50%以上が、2歳までにほぼ100%が初感染しますが、症状は熱や倦怠感などの風邪症状から上気道症状(鼻閉、鼻水、くしゃみ)、下気道症状(咳、呼吸困難、喘鳴)まで様々です。
     成人にとっては鼻がグズグズする程度で済むことがほとんどですが、特に生後6ヵ月未満では重症化しやすく、肺炎、無呼吸、急性脳症なども引き起こします。
     生後間もなくRSウィルスに感染した子どもは、その後に気管支喘息を生じるとの関係性も指摘されています。日本では、年間12~14万人の2歳未満の乳幼児がRSウイルス感染症と診断され、そのうち3万人が人院を要し、入院発生数は生後1~2ヵ月時点でピークとなり、人工呼吸器管理となる場合も多々あります。また、対症療法が基本で有効な治療薬はありません。そのため予防が重要です。
     このワクチンを妊婦に接種することにより、RSウイルスに対する抗体が母体で作られ、そして抗体が胎盤を通じて胎児に移行することで、新生児および乳児におけるRSウイルスを原因とする下気道疾患を防ぐことができます。妊娠24週から36週の妊婦に1回筋肉内接種をします。ワクチンの効果は生後6ヵ月まで続きます。
     残念ながら今はこのワクチンに対して公費補助が無いため、希望者に限り自費で接種する形となります。妊婦さんへの副反応としては、注射部位の疼痛くらいで、重篤な全身症状などはないとのことです。
     新型コロナ感染症が2類から5類になり、今年は春から子どもたちを中心に様々な感染症が流行りました。そのうちの一つにRSウイルス感染症もありましたが、生後間もない赤ちゃんたちが今年は多く感染し、重症化して入院したという話を聞きました。
     まず赤ちゃんが家族にいらっしゃるご家庭の方は、重症化のリスクが高い生後3ヵ月になるまで赤ちゃんには風邪を引かせないように慎重になってください。 
     大人のちょっとした風邪症状でも赤ちゃんにとっては命取りになる感染症かもしれません。上にお子さんのいる方は特に注意が必要です。心配な時はどうぞ妊娠中のRSワクチン接種をお考え下さいね。(たかき医院・仲栄美子院長)

    2024年7月6日号

  • 柏崎刈羽原発再稼働は県民投票で

    三度、原発問題

    斎木 文夫 (年金生活者)

     6月23日は、本紙前号の本欄で松崎さんが書いていたように、「沖縄慰霊の日」です。
     今年の6月23日、私が代表を務める十日町・津南地域自治研究所では「第20回エネルギー問題連続講座」を開催しました。福島原発事故の現地調査報告会、柏崎刈羽原発再稼働を考える講演会、福島の写真展の3点セット。詳細は本紙前号をご覧になってください。
     講演会講師・大野隆一郎氏は、①柏崎刈羽原発は軟弱地盤の上に建っていること、②柏崎刈羽原発の核のごみはすでに満杯に近いこと、③日本は地震国、地下水が豊富で、核のごみの地層処分に適した土地はないこと、④能登半島地震でも見られた電力会社の隠ぺい体質を挙げ、柏崎刈羽原発は再稼働させるべきではないと訴えました。
     講演後、会場から「このような学習会も大事だが、原発を再稼働させない運動をする段階ではないか」とのお声をいただきました。私は「原発の危険性や問題点について学ぶ機会を提供するのが当研究所の役割」とお答えしました。
     歯切れの悪い答えに、当研究所の小林理事が「十日町市まちづくり基本条例はそうした運動の武器になるので、活用してほしい」とフォローしてくれました。皆さまもこの条例をぜひお読みになってください。議員さん、使えますよ。
     花角知事は、柏崎刈羽原発を稼働するかどうかの判断にあたり「県民の信を問う」と繰り返し、その手法については明らかにしていません。
     「県議会で決めれば」という人は、福島原発の過酷事故から何を学んだのでしょうか。出直し県知事選は、党派性や人格などが混じって、純粋に原発再稼働の是非を問うことにはなりません。
     大野氏は、東北電力巻原発を止めた旧・巻町の住民投票を例に、「県民投票」を提案されました。私も同意見です。
     4月に福島県楢葉町の宝鏡寺を訪ねました。寺の境内には「ヒロシマ・ナガサキ・ビキニ・フクシマ伝言館」があり、世界の原子力災害の資料が展示されています。
     入口に貼られた短冊に目が留まりました。「這うことも/できなくなったが/手にはまだ/平和を守る/一票がある」。この歌を残したのは八坂スミさん。1982年、90歳のときの歌です。
     運動には色々な形があります。投票も大切な意思表示であり、闘いです。
    私たちは、県民投票の実現に向けて、反原発運動に「進み切れない」方々の背中を押す活動を続けていきたいと思います。

    2024年7月6日号