新聞拾い読み。国外では米トランプ共和党大統領候補狙撃事件、それに続く現職バイデン大統領の民主党大統領候補辞退、パリオリンピック開催、国内に目を転じれば佐渡金山の世界文化遺産登録決定、地元では大地の芸術祭第9回展開催、と先月は各紙の一面をにぎわす様々なできことがありました。
米バイデン大統領の立候補辞退は一部で予想はされていたとはいえ、驚きました。事実上後継指名されたハリス副大統領は副大統領としての実績のなさが懸念されていましたが、その後民主党の有力者が次々と支持を表明し、候補者としてほぼ確定です。アメリカでは大統領を選ぶ過程で対立候補をバカ呼ばわりし、下品な演説をする人(個人の感想です)でも候補者として選ばれます。
地球を何回も破滅させるだけの核の発射ボタンを手にするかもしれない人が、小学生レベルの罵り合いを繰り広げるのは、まったく理解に苦しみます。
そしてさらに驚くのが、あのような国を二分するような大騒ぎを何ヵ月も続ける大統領選挙の投票率はせいぜい60%なんだそうです。日本と違い、投票するには自ら登録しなければならない制度のせいでしょうか。
それはさておき、ハリスと聞いた瞬間「ハリスの旋風(かぜ)」を思い出した御同輩は多かろうと思います(笑)。ハリスの旋風の国松少年のような猛進ぶりを発揮して風を起こし、アメリカ大統領まで上り詰めるか、大いに見ものです。
かたや日本の地方議会でのこと。せこい話といわないでほしい。日本人はここまで劣化してしまったのかと嘆くばかりです。宮城県の某町議会、校外学習で議会見学に来た小学生の感想文から、議事進行中にスマホゲームをしていたのがバレ、辞職勧告を受けて議員辞職したという話。その議員が筆者とほぼ同年配というのも更に驚きました。
いい年をして議事進行中にスマホゲームとは!まったく情けない限りです。おそらくいつもやっているので何の気もなくスマホに手を伸ばしてしまったのでしょう。
地方議会の議案は事前に委員会などで結論が出ていることが多く、スマホを見ていようが、居眠りしていようが、質問者以外は採決の時に意思表示できれば仕事になる?
ついスマホを見てしまうスマホ依存症は高齢世代にも広がっているようです。筆者も用もないのにスマホを見てしまうことがあるので、要注意。家族との食事中についスマホに手を伸ばしている読者の皆様、スマホ依存症は決して他人事ではありません。
2024年8月3日号
真夏、暑さでへばっている多くの植物を尻目に一際元気なのがクズである。道端や林縁などで我が物顔で蔓を伸ばしている。
繁殖力旺盛なこの蔓草は、人にとって厄介者だが、有用な存在でもある。
春先の若芽は山菜として。採っても採っても芽出してくるから長く利用できる。
梅雨時に成長した新蔓からは、光沢のある繊維が採れる。武士の裃や着物などの生地となった。
葉は牛馬の栄養たっぷりの飼料。乾燥させたものは藁などとの物々交換品であった。
夏に咲く花(写真)は薬に。乾燥品を煎じて服用すれば二日酔いに効く。肥満防止成分も含まれている。
秋、木質化した蔓はテゴなど物入れの材料に。縄の代用として冬囲い時などに利用された。
冬、地下茎には良質なデンプンが貯蔵される。「葛粉」である。細かく刻んで乾燥させたものが「葛根」で漢方薬に配合されている。
人の暮らしと深く結びついてきたクズだが、この先関係はどうなっていくのやら…。
2024年8月3日号
『ねぼすけ』。一風変わった名称で、十日町産『どじょう』養殖が始まっている。取り組むのは十日町市中里地域の鈴木常治さん(51、重地)。5年余前から雪国の湧水を活用した無泥どじょうの養殖を開始。今年から少しずつ東京の高級日本料理店などへの出荷がスタート。「まだ始まったばかりです。『ねぼすけ』が十日町名産となり、この地に来れば美味しいどじょうが食べられると言われるようになれば嬉しいですね」。現在は年百㌔余の生産量だが、屋外養殖場を増やし1㌧余の増産を視野に入れる。
2024年8月3日号
十日町市、津南町、栄村は、期せずして同じ課題に直面している。それは教育。表面的には学校再編だが、その取り組みに通底するのは、「どうする教育」だろう。国が規定する6・3・3制など教育行政、教育システムは制度疲労を見せ、その現場では現状に合わない事態が続発している。教育行政は10年後、20年後という表現を多用するが、それはその時の「ご都合」の場合が多い。ここはまさに「教育は百年の計」で、抜本改革が求められる。
人口千5百人余、年間出生数がひと桁に落ち込んでいる栄村は、2年後の実現をめざし、小中の義務教育課程を一体化する文科省認可・義務教育学校の開校をめざす。人口規模、子の推移から当然の帰結に見える。だが、これまでのプロセスには自治体の大小を超えた「熱い取り組み」がある。自主参加の子育て世代が「未来の子たちに最高の教育環境を創ろう」とワークショップを定期開催。その意見の出し合いがまもなく結実する。
津南町は保育園再編を通じ小学校再編を視野に入れる。「地元の意見が第一」と今週29日から保育園・小学校エリアを対象に住民説明会・意見交換会を開いている。年間出生数30人前後と1クラスに満たない現状から相当な改革が必要だ。義務教育学校、文科省の教育特区活用で学年を超えた教科授業の導入、特認校で町外通学の受入れなど「実践的な津南町教育」を提唱してほしい。
中学校再編で課題に直面する十日町市。自治体合併の余波が出ている。児童生徒数は年々減少、地域意識を超えた視点が求められ、それを上回る「教育の質の提唱」が求められる。県立高校との連携、専門教科教諭の相互交流、小中高の一貫教育システムなど、十日町市の規模だから出来る教育改革に果敢に挑んでほしい。
制度疲労する教育行政。その影響を受ける児童生徒、待ったなしである。
2024年8月3日号
東京電力・柏崎刈羽原子力発電所の6、7号機再稼働に向けた動きが強まっている。東電は地元自治体の再稼働同意がないまま4月に異例の核燃料装填を行うなど、再稼働を急ぐ姿勢を見せる。柏崎市や刈羽村は再稼働容認の姿勢だが、重要となるのが立地県の「新潟県の同意」。花角英世知事は「県民に信を問う」姿勢を示し続けている。県主催で柏崎刈羽原発に対しての国の取り組み説明会が半径30㌔圏内(UPZ)7自治体で15日の長岡市から随時開催。2会場目の十日町市は20日に行い、地元はじめ魚沼エリアなどから67人が参集。「未来永劫どうにもならない核のごみを残すことになる。再稼働は絶対にしてはいけない」など、最終処分方法が決まらないままの再稼働を懸念する声が次々と上がった。
2024年7月27日号
広島と長崎に世界で初めて原爆が落とされて79年。悲惨な原爆被害を学ぼうと20日、原水爆禁止十日町市協議会と十日町市教委は両平和記念式典に参加する中学生らを対象に派遣事前学習会「とおかまち市民楽校」を開いた。今夏、広島を訪ねる生徒たちは「戦争の恐ろしさや平和の大切さについて深く学び、被爆した人たちの思いを多くの人に伝えていきたいです」などと話した。
2024年7月27日号
続けていることで、感性が増し、気づきと学びがある。小学4年の時、「なんとなく…なんです」、十日町小の吹奏楽部に入る。この『なんとなく』の出会いが、いま仕事以外の生活時間で、大部分を占めている音楽活動、吹奏楽につながっている。十日町高校3年で入った「十日町市
民吹奏楽団」、早や7年目に入っている。「今年、創立50周年なんです。12月に記念の定期演奏会があります」。
小学時代は打楽器・パーカッションを担当したが、中学からトロンボ
ーンに。「体験で吹いたら音が出たんです。よしっ、これをやろうと、すぐに決めまし
た」。進んだ十日町高校でも迷わず吹奏
楽部に入り、部活動優先の高校生活。「そうですね、お正月とお盆くらいしか休まず、高校時代は部活、部活でした。
3年で部活引退後、市吹に入り、そのままずっと続けています」。
十日町市民吹奏楽団は1974年、十高吹奏楽部卒業生など有志12人で設立。翌年、十日町市消防音楽隊と合流。以降、同校吹奏楽部卒業生や市外から移住の吹奏楽経験者などが入り、今年50周年を向かえている。12月1日には創立50周年記念定期演奏会をホームグラウンドでもある越後妻有文化ホール・段十ろうで開く。
その50周年を記念し、プロの作曲家・清水大輔氏に「十日町市民吹奏楽団のテーマ曲」を作曲依頼し、12月の記念定期演奏会で初演する計画だ。
「6月のサマーコンサートの時、清水先生が来られて私たちの演奏を聞き、お話しなどして、市吹のイメージを感じていただきました。どんな曲になるか、いまから楽しみです」。秋には完成し、12月の記念演奏会に向けて練習を重ねる。
9月には南魚沼市「さわらびホール」で、首都圏のプロ集団「オフトボーン・カルテット」と一緒に演奏する。市吹トロンボーン奏者7人が共演する。「昨年からご一緒させていただいています。プロの方との演奏はとても刺激になります。音の出し方や演奏スタイル、楽曲の感じ方など、技術も感性も参考になりますし、とても良い刺激になります」。同カルテットの知人が妻有地域の中学音楽教師で、その人の仲介などで実現している共演だ。
川西と松之山の国保診療所の医療事務が日々の業務。ローテーションで両診療所に勤務する。診療所運営を支える医療事務は細部に渡る業務。市吹の活動は仕事とのリセットにもなっている。「そうですね、全く違う
分野ですから生活のリセットと共に気分転換にもなっています」。市吹は毎週2回のほか各パート練習を積んでいる。
「私は高校3年から市吹に入りましたが、親子や兄弟、姉妹、祖父と孫など、高校生から70代まで幅広いメンバーですから、面白く、雰囲気ある吹奏楽になっています。私も姉がクラリネットで入っています」。
先ずは9月22日、さわらびホールでの「オフトボーン・カルテット」との共演。さらに12月1日の創立50周年定期演奏会。「メンバーの人たちとの練習は楽しいです。目標があると気持ちも入りますし、自分の生活のメリハリにもなっていますね」。
▼バトンタッチします。
酒井彩音さん
2024年7月27日号
新潟県三条市に設立された三条市立大学に先日行ってきました。地域の特徴を活かした「ものづくり」に特化した工学系の公立大学です。
上越新幹線の停車駅・燕三条駅から徒歩で約10分、整備中の土地の一画に、今までの大学のイメージをくつがえす開放的で明るい雰囲気の建物が建っています。
大学には一般開放されている食堂があり、美味しそうな定食やカレーなどが並び、地元ボランティアの方がお手伝いをされていました。食堂に女子学生の姿が多いと感じたところ、同じ屋根の下、隣は三条看護•医療•歯科衛生専門学校とのことでした。
三条市立大学の1学年の学生数は80名。全員が一同に集まれるホールは前面がガラス張りで、その先に弥彦山の全貌が一枚の絵画のように現れ、ホール名に地元企業の経営者だった方の名前が付けられていました。地元のためにと多額の寄付をされたそうです。
校内に、天井が高く、実習用の大きな機械がいくつも設置されている広い空間があり、上の方から、その空間を見渡せられるようになっていました。そこは、先生や学生から〝劇場〟と呼ばれており、機械を扱う際、危険がないように緊張感を持って動きに注意を払い、かつ美しく振る舞うことを学ぶのだそうです。
個々の教室が並ぶ廊下を歩くと、教室との壁が半透明となっており、学生が熱心に講義を聞いたりディスカッションをしたりしている様子が感じられます。情報処理を学ぶ教室の机やパソコンの配置などにも細かい工夫がなされていました。
今年で4年生まで揃い、毎年の入学の倍率は5倍を超えているとのことです。この数字は、少子化で受験生が減っているなか、全国的にみてもたいへん高い数字です。
人気の理由は、やはり地域の特徴を活かした学び舎であることで、ここでしか実現できない教育を実施していることだと思います。
「ものづくり」が盛んな地域という特徴を活かしていることから、地元企業からの期待も大きく、様々な協力を得られています。学生の実習の受け入れに協力している地元企業が百社を超えていることは驚きですし、学生奨学金の支援をしている地元企業もあります。
来春、大学は初めての卒業生を送り出す予定で、それまでに学生時代にできる経験の多くの機会を得られ、そして、なるべく多くの学生が地元での就職を希望することを地域は望んでいることでしょう。
これからも、学生と大学と地元とのよき関係をつくりながら歩んでほしいと思いました。
2024年7月27日号
苗場山麓ジオパークで復活した中津川左岸のトレイルコースの中で、今回は大赤沢の対岸の秋山林道から矢櫃村跡までのコースを歩きました。
ブナ林を下るコースは快適に整備され40分ほどで矢櫃村跡に到着。村跡には天明の飢饉で途絶えた供養塔と住居跡とみられる石垣が残っているだけで、そこでどのような暮らしをしていたのか、その形跡は深い森に飲み込まれていました。
そこから少し下ると矢櫃橋があり、現在の橋跡と100年程前の写真を見比べ、橋が何処にかかっていたのか見回すと、川の流れは変わっていますがほとんど同じ位置に架かっていたようです。
古い写真は小赤沢秋山館発行のもので、要約すると「この断崖清流を眺めればどんな人でも爽快で歓声を上げない人はいないだろう。歴史の言い伝えに寄ればこの岩の洞穴の中に内大臣は弓矢と甲冑を秘蔵したとゆうのでこの呼び名がある」と書かれています。
苗場山麓ジオパークの中津川左岸ルートの終点にしては対岸の大赤沢に渡れないのが残念です。徳島県祖谷のかずら橋などは世界から観光客が訪れていますので、残された鉄骨製の塔やワイヤーを元にちょっと工夫をしてスリル満点の橋にすれば小赤沢までの歴史ある旧道復活と新たな観光資源となることでしょう。
2024年7月27日号
県外からの山村留学生と地元の子たちが一緒に取り組める活動として25年余前に松之山・旧浦田小学校で始まった太鼓活動を、当時関わった人たちが引き継ぎ15年前に『うらだ屋太鼓』を立ち上げ、今につなげている。当時高校生だった指導者の南雲紘海さん(30)。山村留学生で地元定住した仲間も加わり、太鼓活動の伝統を次の世代に引き継ぐため、さらに活動の輪を広げている。来月11日の浦田地区盆踊りで「うらだ屋」が太鼓演奏し、盛り上げる計画だ。
2024年7月27日号
新聞拾い読み。国外では米トランプ共和党大統領候補狙撃事件、それに続く現職バイデン大統領の民主党大統領候補辞退、パリオリンピック開催、国内に目を転じれば佐渡金山の世界文化遺産登録決定、地元では大地の芸術祭第9回展開催、と先月は各紙の一面をにぎわす様々なできことがありました。
米バイデン大統領の立候補辞退は一部で予想はされていたとはいえ、驚きました。事実上後継指名されたハリス副大統領は副大統領としての実績のなさが懸念されていましたが、その後民主党の有力者が次々と支持を表明し、候補者としてほぼ確定です。アメリカでは大統領を選ぶ過程で対立候補をバカ呼ばわりし、下品な演説をする人(個人の感想です)でも候補者として選ばれます。
地球を何回も破滅させるだけの核の発射ボタンを手にするかもしれない人が、小学生レベルの罵り合いを繰り広げるのは、まったく理解に苦しみます。
そしてさらに驚くのが、あのような国を二分するような大騒ぎを何ヵ月も続ける大統領選挙の投票率はせいぜい60%なんだそうです。日本と違い、投票するには自ら登録しなければならない制度のせいでしょうか。
それはさておき、ハリスと聞いた瞬間「ハリスの旋風(かぜ)」を思い出した御同輩は多かろうと思います(笑)。ハリスの旋風の国松少年のような猛進ぶりを発揮して風を起こし、アメリカ大統領まで上り詰めるか、大いに見ものです。
かたや日本の地方議会でのこと。せこい話といわないでほしい。日本人はここまで劣化してしまったのかと嘆くばかりです。宮城県の某町議会、校外学習で議会見学に来た小学生の感想文から、議事進行中にスマホゲームをしていたのがバレ、辞職勧告を受けて議員辞職したという話。その議員が筆者とほぼ同年配というのも更に驚きました。
いい年をして議事進行中にスマホゲームとは!まったく情けない限りです。おそらくいつもやっているので何の気もなくスマホに手を伸ばしてしまったのでしょう。
地方議会の議案は事前に委員会などで結論が出ていることが多く、スマホを見ていようが、居眠りしていようが、質問者以外は採決の時に意思表示できれば仕事になる?
ついスマホを見てしまうスマホ依存症は高齢世代にも広がっているようです。筆者も用もないのにスマホを見てしまうことがあるので、要注意。家族との食事中についスマホに手を伸ばしている読者の皆様、スマホ依存症は決して他人事ではありません。
2024年8月3日号
真夏、暑さでへばっている多くの植物を尻目に一際元気なのがクズである。道端や林縁などで我が物顔で蔓を伸ばしている。
繁殖力旺盛なこの蔓草は、人にとって厄介者だが、有用な存在でもある。
春先の若芽は山菜として。採っても採っても芽出してくるから長く利用できる。
梅雨時に成長した新蔓からは、光沢のある繊維が採れる。武士の裃や着物などの生地となった。
葉は牛馬の栄養たっぷりの飼料。乾燥させたものは藁などとの物々交換品であった。
夏に咲く花(写真)は薬に。乾燥品を煎じて服用すれば二日酔いに効く。肥満防止成分も含まれている。
秋、木質化した蔓はテゴなど物入れの材料に。縄の代用として冬囲い時などに利用された。
冬、地下茎には良質なデンプンが貯蔵される。「葛粉」である。細かく刻んで乾燥させたものが「葛根」で漢方薬に配合されている。
人の暮らしと深く結びついてきたクズだが、この先関係はどうなっていくのやら…。
2024年8月3日号
『ねぼすけ』。一風変わった名称で、十日町産『どじょう』養殖が始まっている。取り組むのは十日町市中里地域の鈴木常治さん(51、重地)。5年余前から雪国の湧水を活用した無泥どじょうの養殖を開始。今年から少しずつ東京の高級日本料理店などへの出荷がスタート。「まだ始まったばかりです。『ねぼすけ』が十日町名産となり、この地に来れば美味しいどじょうが食べられると言われるようになれば嬉しいですね」。現在は年百㌔余の生産量だが、屋外養殖場を増やし1㌧余の増産を視野に入れる。
2024年8月3日号
十日町市、津南町、栄村は、期せずして同じ課題に直面している。それは教育。表面的には学校再編だが、その取り組みに通底するのは、「どうする教育」だろう。国が規定する6・3・3制など教育行政、教育システムは制度疲労を見せ、その現場では現状に合わない事態が続発している。教育行政は10年後、20年後という表現を多用するが、それはその時の「ご都合」の場合が多い。ここはまさに「教育は百年の計」で、抜本改革が求められる。
人口千5百人余、年間出生数がひと桁に落ち込んでいる栄村は、2年後の実現をめざし、小中の義務教育課程を一体化する文科省認可・義務教育学校の開校をめざす。人口規模、子の推移から当然の帰結に見える。だが、これまでのプロセスには自治体の大小を超えた「熱い取り組み」がある。自主参加の子育て世代が「未来の子たちに最高の教育環境を創ろう」とワークショップを定期開催。その意見の出し合いがまもなく結実する。
津南町は保育園再編を通じ小学校再編を視野に入れる。「地元の意見が第一」と今週29日から保育園・小学校エリアを対象に住民説明会・意見交換会を開いている。年間出生数30人前後と1クラスに満たない現状から相当な改革が必要だ。義務教育学校、文科省の教育特区活用で学年を超えた教科授業の導入、特認校で町外通学の受入れなど「実践的な津南町教育」を提唱してほしい。
中学校再編で課題に直面する十日町市。自治体合併の余波が出ている。児童生徒数は年々減少、地域意識を超えた視点が求められ、それを上回る「教育の質の提唱」が求められる。県立高校との連携、専門教科教諭の相互交流、小中高の一貫教育システムなど、十日町市の規模だから出来る教育改革に果敢に挑んでほしい。
制度疲労する教育行政。その影響を受ける児童生徒、待ったなしである。
2024年8月3日号
東京電力・柏崎刈羽原子力発電所の6、7号機再稼働に向けた動きが強まっている。東電は地元自治体の再稼働同意がないまま4月に異例の核燃料装填を行うなど、再稼働を急ぐ姿勢を見せる。柏崎市や刈羽村は再稼働容認の姿勢だが、重要となるのが立地県の「新潟県の同意」。花角英世知事は「県民に信を問う」姿勢を示し続けている。県主催で柏崎刈羽原発に対しての国の取り組み説明会が半径30㌔圏内(UPZ)7自治体で15日の長岡市から随時開催。2会場目の十日町市は20日に行い、地元はじめ魚沼エリアなどから67人が参集。「未来永劫どうにもならない核のごみを残すことになる。再稼働は絶対にしてはいけない」など、最終処分方法が決まらないままの再稼働を懸念する声が次々と上がった。
2024年7月27日号
広島と長崎に世界で初めて原爆が落とされて79年。悲惨な原爆被害を学ぼうと20日、原水爆禁止十日町市協議会と十日町市教委は両平和記念式典に参加する中学生らを対象に派遣事前学習会「とおかまち市民楽校」を開いた。今夏、広島を訪ねる生徒たちは「戦争の恐ろしさや平和の大切さについて深く学び、被爆した人たちの思いを多くの人に伝えていきたいです」などと話した。
2024年7月27日号
続けていることで、感性が増し、気づきと学びがある。小学4年の時、「なんとなく…なんです」、十日町小の吹奏楽部に入る。この『なんとなく』の出会いが、いま仕事以外の生活時間で、大部分を占めている音楽活動、吹奏楽につながっている。十日町高校3年で入った「十日町市
民吹奏楽団」、早や7年目に入っている。「今年、創立50周年なんです。12月に記念の定期演奏会があります」。
小学時代は打楽器・パーカッションを担当したが、中学からトロンボ
ーンに。「体験で吹いたら音が出たんです。よしっ、これをやろうと、すぐに決めまし
た」。進んだ十日町高校でも迷わず吹奏
楽部に入り、部活動優先の高校生活。「そうですね、お正月とお盆くらいしか休まず、高校時代は部活、部活でした。
3年で部活引退後、市吹に入り、そのままずっと続けています」。
十日町市民吹奏楽団は1974年、十高吹奏楽部卒業生など有志12人で設立。翌年、十日町市消防音楽隊と合流。以降、同校吹奏楽部卒業生や市外から移住の吹奏楽経験者などが入り、今年50周年を向かえている。12月1日には創立50周年記念定期演奏会をホームグラウンドでもある越後妻有文化ホール・段十ろうで開く。
その50周年を記念し、プロの作曲家・清水大輔氏に「十日町市民吹奏楽団のテーマ曲」を作曲依頼し、12月の記念定期演奏会で初演する計画だ。
「6月のサマーコンサートの時、清水先生が来られて私たちの演奏を聞き、お話しなどして、市吹のイメージを感じていただきました。どんな曲になるか、いまから楽しみです」。秋には完成し、12月の記念演奏会に向けて練習を重ねる。
9月には南魚沼市「さわらびホール」で、首都圏のプロ集団「オフトボーン・カルテット」と一緒に演奏する。市吹トロンボーン奏者7人が共演する。「昨年からご一緒させていただいています。プロの方との演奏はとても刺激になります。音の出し方や演奏スタイル、楽曲の感じ方など、技術も感性も参考になりますし、とても良い刺激になります」。同カルテットの知人が妻有地域の中学音楽教師で、その人の仲介などで実現している共演だ。
川西と松之山の国保診療所の医療事務が日々の業務。ローテーションで両診療所に勤務する。診療所運営を支える医療事務は細部に渡る業務。市吹の活動は仕事とのリセットにもなっている。「そうですね、全く違う
分野ですから生活のリセットと共に気分転換にもなっています」。市吹は毎週2回のほか各パート練習を積んでいる。
「私は高校3年から市吹に入りましたが、親子や兄弟、姉妹、祖父と孫など、高校生から70代まで幅広いメンバーですから、面白く、雰囲気ある吹奏楽になっています。私も姉がクラリネットで入っています」。
先ずは9月22日、さわらびホールでの「オフトボーン・カルテット」との共演。さらに12月1日の創立50周年定期演奏会。「メンバーの人たちとの練習は楽しいです。目標があると気持ちも入りますし、自分の生活のメリハリにもなっていますね」。
▼バトンタッチします。
酒井彩音さん
2024年7月27日号
新潟県三条市に設立された三条市立大学に先日行ってきました。地域の特徴を活かした「ものづくり」に特化した工学系の公立大学です。
上越新幹線の停車駅・燕三条駅から徒歩で約10分、整備中の土地の一画に、今までの大学のイメージをくつがえす開放的で明るい雰囲気の建物が建っています。
大学には一般開放されている食堂があり、美味しそうな定食やカレーなどが並び、地元ボランティアの方がお手伝いをされていました。食堂に女子学生の姿が多いと感じたところ、同じ屋根の下、隣は三条看護•医療•歯科衛生専門学校とのことでした。
三条市立大学の1学年の学生数は80名。全員が一同に集まれるホールは前面がガラス張りで、その先に弥彦山の全貌が一枚の絵画のように現れ、ホール名に地元企業の経営者だった方の名前が付けられていました。地元のためにと多額の寄付をされたそうです。
校内に、天井が高く、実習用の大きな機械がいくつも設置されている広い空間があり、上の方から、その空間を見渡せられるようになっていました。そこは、先生や学生から〝劇場〟と呼ばれており、機械を扱う際、危険がないように緊張感を持って動きに注意を払い、かつ美しく振る舞うことを学ぶのだそうです。
個々の教室が並ぶ廊下を歩くと、教室との壁が半透明となっており、学生が熱心に講義を聞いたりディスカッションをしたりしている様子が感じられます。情報処理を学ぶ教室の机やパソコンの配置などにも細かい工夫がなされていました。
今年で4年生まで揃い、毎年の入学の倍率は5倍を超えているとのことです。この数字は、少子化で受験生が減っているなか、全国的にみてもたいへん高い数字です。
人気の理由は、やはり地域の特徴を活かした学び舎であることで、ここでしか実現できない教育を実施していることだと思います。
「ものづくり」が盛んな地域という特徴を活かしていることから、地元企業からの期待も大きく、様々な協力を得られています。学生の実習の受け入れに協力している地元企業が百社を超えていることは驚きですし、学生奨学金の支援をしている地元企業もあります。
来春、大学は初めての卒業生を送り出す予定で、それまでに学生時代にできる経験の多くの機会を得られ、そして、なるべく多くの学生が地元での就職を希望することを地域は望んでいることでしょう。
これからも、学生と大学と地元とのよき関係をつくりながら歩んでほしいと思いました。
2024年7月27日号
苗場山麓ジオパークで復活した中津川左岸のトレイルコースの中で、今回は大赤沢の対岸の秋山林道から矢櫃村跡までのコースを歩きました。
ブナ林を下るコースは快適に整備され40分ほどで矢櫃村跡に到着。村跡には天明の飢饉で途絶えた供養塔と住居跡とみられる石垣が残っているだけで、そこでどのような暮らしをしていたのか、その形跡は深い森に飲み込まれていました。
そこから少し下ると矢櫃橋があり、現在の橋跡と100年程前の写真を見比べ、橋が何処にかかっていたのか見回すと、川の流れは変わっていますがほとんど同じ位置に架かっていたようです。
古い写真は小赤沢秋山館発行のもので、要約すると「この断崖清流を眺めればどんな人でも爽快で歓声を上げない人はいないだろう。歴史の言い伝えに寄ればこの岩の洞穴の中に内大臣は弓矢と甲冑を秘蔵したとゆうのでこの呼び名がある」と書かれています。
苗場山麓ジオパークの中津川左岸ルートの終点にしては対岸の大赤沢に渡れないのが残念です。徳島県祖谷のかずら橋などは世界から観光客が訪れていますので、残された鉄骨製の塔やワイヤーを元にちょっと工夫をしてスリル満点の橋にすれば小赤沢までの歴史ある旧道復活と新たな観光資源となることでしょう。
2024年7月27日号
県外からの山村留学生と地元の子たちが一緒に取り組める活動として25年余前に松之山・旧浦田小学校で始まった太鼓活動を、当時関わった人たちが引き継ぎ15年前に『うらだ屋太鼓』を立ち上げ、今につなげている。当時高校生だった指導者の南雲紘海さん(30)。山村留学生で地元定住した仲間も加わり、太鼓活動の伝統を次の世代に引き継ぐため、さらに活動の輪を広げている。来月11日の浦田地区盆踊りで「うらだ屋」が太鼓演奏し、盛り上げる計画だ。
2024年7月27日号