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妻有新聞掲載記事一覧

  • 「昔人間」の嘆きですが…

    言の葉あれこれ

    松崎 房子 (元ゆずり葉編集委員)

     8月31日号の、長谷川好文さんの原稿を読んで、思わず共感を覚えた。辛うじて『コクル』、『セカチュウー』は想像できたと思った。でもあとは早速PCで検索、フーン? そうなんだ!短縮、省略さっぱりわからん。
     言葉はその時代時代に生きている文化だから、時の流れと共に変化するのは当然なのは、頭ではわかっているが…こう何もかも短縮・省略、もう一つアルファベット・カタカナでは伝わらないのでは。いや私のような世代だけか。
     そもそも言葉はコミュニケーション(意思疎通)のツール(手段)では?
    意思の疎通ができているとは言い難い。
     過ぎてきた歴史の中では無かった出来事・無かった文化があふれかえっていて、それを言い表すのに言葉・文字が格段に増え、一字一句、正確に話していては、埒が明かぬのかもしれない。
     不確かだが昔、聖書の中の逸話として『バベルの塔』を聞いたことがある。奢り高ぶった人間は、天に届く塔を作り神々に近づこうとした。それを諫めるために、神々は、塔作りをしている人間の言葉をめちゃめちゃにし、話が通じなくした、ということであった。その結果、世界中の言語が、大いに別れ、各国の言語が出来たという。
     人間は頭脳を駆使し、より便利に、より快適に、労することなく、手軽に・楽に何かを手にしようとする。こんなことを続けていると、どんな報いを受けるのだろう。昨今の異常気象も、その一つではないのか。
     バベルの塔同様、天の諫めに思えて仕方がない。現代とは格段に、時の流れが緩やかだった昔が好きだなと思う。
     今年の大河ドラマの平安時代とまではいわないが、明治大正の時代は、人々の行いが穏やかに思える。
     乱暴な言葉を使えば、自ずと行動・暮らし方が乱暴になる。戦中戦後のすさんだ時代は、言葉も荒んでいた。言葉の使い方で、暮らしぶりも、品性も変わる。
     つい先日〈サクッと〉〈もふもふ〉〈まったり〉を使う人が多くなってきたと紙上にあった。世界がどんどん広がるのだから、表現も広がるということか?時の流れに乗れるとは到底思えない。
     唱歌〈椰子の実〉がこよなく好きだ。同じ情感を覚えるのは〈演歌〉の歌詞が胸を打つ。流行語は使えなくても、美しい日本語を大切に、心豊かに暮らしたいと思う。
     昔人間の時間は、ゆっくり流れているものね。

    2024年9月21日号

  • 魚野川取水堰その1

    小林 幸一(津南案内人)

     中津川第一線工事の最深部である魚野川取水堰は、完成の僅か4年後の昭和2年に右岸の大規模な崩壊で埋没したと記録されています。写真は切明の崩落前のもので、中央奥に埋没した魚野川取水堰が写っており、左の高台は現在の雄川閣付近で、右下に切明沈砂池が見えます。
     昨年秋にその形跡でも無いかと和山の山田武雄さんに案内して頂きましたが、現在は大きな砂防ダムが造られ写真と見比べてもよく分かりません。
     この取水堰は、水位によって堰の高さが変わるローリングダムで穴藤の初代ダムはこの方式でした。
     次はもう少し上流に、その後に造られた堰提があるのでその付近を探してみると、左岸にベルリンのブランデンブルグ門のような石柱が見え、次に來る時は魚野川を渡って調べてみようと思いました。

    2024年9月21日号

  • 約束してください、自民党さん

     これほど茶番を見せられると、うんざりを通り越し、いいかげんにせい、などと大声を返したくなる。自民総裁選だ。かつてない候補乱立と話題にされ、囃し立てられている。その候補の言葉に共通して「ない言葉」がある。
     政権政党に席を置く自覚はあるのか。バラ色政策を次々に掲げ、あれもします、これもします…。ならば聞きたい。政権政党の自民の中枢にいながら、なぜその政策が実現できなかったのか、その言葉が9人には、全くない。
     耳ざわりの良い言葉の羅列を連日TVや新聞で目にする。なぜ、それが実現できなかったのか、その言葉があれば少なくとも信頼感の回復に結び付き、総裁選での太い選択肢になる可能性があり、シナリオにある衆院選への有権者心理への大きなアピールになるだろう。だが、全くない。
     ならば言いたい。9人が掲げる政策・公約を、誰が総裁・首相になってもすべて実現する、そう国民に約束してほしい。それが政権政党の総裁選の最低限の責任ではないのか。薄いバラ色政策が、より現実味を帯びた生活者支援の大きな国の政策になる。
     連日報道される総裁候補の言動は、生活者に寄り添う姿勢を見せるが、すぐに馬脚を露す軽さが目立つ。さらに見えるのは、新総裁選びは直後に執行するであろう衆院選の集票シンボル選びの様相だ。「選挙の顔」選びだろう。これこそ有権者を見下した取り組みだ。だからこそ、選ばれた新総裁・首相は9人が掲げる政策全てを実現する、この約束の言葉を求めたい。
     それにしても頼りない顔ぶれだ。あの激動期にこの国を作り上げた「角大福時代」を知る世代は感じているだろう。政局が混乱すると必ず出る待望論が「角さんのような政治家」。中卒の大蔵大臣が東大卒の官僚の心を鷲づかみにした言葉が、いま求められている。政治家は言葉だ。さて、さて…。

    2024年9月21日号

  • 繰入金再び増、迫られる改善

    「保育園増築後に大規模改修」示すが…

    町立津南病院

     「町の財務状況で一番課題になっているのは病院とニュー・グリーンピア津南」。桑原悠町長が議会答弁で言い切るように、津南町財政の最大課題がこの二つ。特に町立津南病院について「また赤字幅が増えて来ている。ただ財務状況が改善すれば、1千万円、2千万円のプラスになる。ここを何とかすれば(見直しで削減した)目の前の福祉予算など元に戻せる」と桑原町長は3月議会で語っており、病院経営改善が持続可能な町運営に必須であるとした。一方で9月議会では「保育園増築工事後の大規模改修を検討するよう指示している」と初めて建替え時期へ言及し方針を示すが、その場合、早くても5年後以降になる。さらに「介護医療院」創設の検討を明らかにしており、病院維持に向けた姿勢の一端を示す。ただ医師確保を含め、歴代町政の課題でもあった病院運営改善は成せるのか。2期目の桑原町政の手腕が問われている。(関連記事5面)

    2024年9月14日号

  • 「地域の宝」、水路埋め立てに警鐘

    十日町高生物部、ホトケドジョウ研究

    第48回全国総合文化祭で奨励賞

    第15回県高等学校自然科学系クラブ活動報告・研究発表会のポスター発表部門で希少淡水魚研究の「妻有地域に生息するホトケドジョウの特徴」が最優秀賞を受賞した十日町高校生物部。県代表として先月3~5日、岐阜県で行われた第48回全国高等学校総合文化祭(総文)に出場し3位に次ぐ奨励賞を受賞した。

    2024年9月14日号

  • 創り上げた先に人の喜ぶ姿が見える

    福原 久八郎さん(1956年生まれ)

     「白紙の状態から何かを創り上げるのが好きなんです」。十日町市中条にある桂公園こどもランドのすぐ前で織物業『フクハラ企画』を営む福原久八郎さん(68)。地域と共にゼロから創り上げた遊び場だ。「家族連れの子どもたちが元気に遊んでいるのを見ると、嬉しくなりますね」。

     1970年代、十日町織物業の隆盛期。地元織物会社で働きながら十日町高で学び、そのまま織物業界へ。就業しながら専門学校で染織技術を学んだ。「すでに働いて学んでいたので、学校で学ぶより実践のほうが高度でした」。織物の設計やデザインに携わり、「白紙」からものづくりする楽しさを体感した。
     1980年代に入ると織物業界が下降線に。「業界が低迷していくと、従業員や外注先が縮小され、職人さんにも仕事の打ち切りを伝えなければならなくて…」。抱え込んだ心苦しさが膨れあがっていった。「自分で会社を立ち上げれば…なんとかなるかも…」と考え32歳で独立。起業、『フクハラ企画』を立ち上げた。組合には加入せず、「身軽く、フリーで営業活動しました」。
     県内外の織物産地の職人とも積極的に交流し、人のつながりの輪を広げた。「それぞれ困っているところを補い合う。染める人が居ない、織る人が居ないってなれば、こっちでするよって。逆もありますね」。いまもパイプ役を担っている。
     「きもの産業が衰退しているのに起業なんて無謀だって言われましたけど、これまで関わってきた職人さんや十日町にない技法を持った職人さんと一緒に創り上げていくのは楽しかったですね」。

     起業した翌年に結婚。3人の子育てを通じて積極的に地域活動に関わった。「地域のイベントや困りごとなどの相談もよく受けましたね」。国宝出土の笹山遺跡で毎年開催の「じょうもん市」や市民体育祭などに様々なアイデアを出し、地域と共に創り上げていった。「なにか面白い事はできないかなぁーと創り上げるのが好きなんですが、それを喜んでくれる人を見るのが、もっと好きなんです」。
     福原さんには大切にしている思いがある。「趣味は自己満足で終わらせたくないと思っています」。近所から皐月(さつき)の植木20鉢余をもらい受けた。初心者ながら育ててみると次々に疑問が。それを解決していくと、次第に専門知識と技術を会得していき、「多様な植物の栽培にハマってしまいました」。「きれいに咲いた花を自分だけで見ているのはもったいない」と、プランターの花以外にも春は菜の花畑、夏は向日葵畑など辺りを四季折々の花で彩る。「綺麗だねって、喜ぶ人を見るのは本当に楽しく、嬉しいですね」。

     なにもない白紙状態から、考え、考え、試行を繰り返し、ものを創り上げ、人を喜ばせることが好きな福原さん。市内外の人気スポットになっている『桂公園こどもランド』もその一つ。地域の理解と協力で施設を管理し、「子どもたちが喜ぶものは何か、これを第一に考えました」。来園する子どもたちが笑顔で楽しんでほしいと、週末にはゴーカートやくじ引き。夏季にはウォータースライダープールなど設置。同時に家族で楽しめる様々なイベントを企画、実践している。
     福原さんの思いに共感し『お手伝いしたい』と、市内はじめ村上市や上越市などからボランティア協力する人も。「周りからは大変だねって言われますが、困難であるほど、それを乗り越え、創り上げた時は楽しい充実感があります。今後も自己満足に終わらず、周りを楽しませたいですね」。

    ▼バトンタッチします
     村山千奈さん

    2024年9月14日号

  • インターバル速足のすすめ

    健康寿命とは

    村山 朗 (会社員)

     日本人男性の平均寿命は81・41歳、健康寿命は72・68歳だそうです。後期高齢者間近の筆者にとっては毎日の健康が関心事ですし、やはり気になるのは健康寿命です。厚生労働省の定義では、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」とのこと。今のところ健康診断でいくつかイエローカードを出されてはいますが、日常生活が制限されることなく生活できています。 
     健康寿命を延ばすには、「①バランスの良い食事を意識する②運動習慣を持つ③検診で生活習慣病の早期発見・重症化予防に努める④喫煙をやめる⑤適正な体重を保つ⑥ストレスの少ない生活を目指す⑦社会的なつながりを構築する」だそうです。
     筆者はタバコを吸わないのでその点だけは問題ないですが、どれもこれも簡単にできそうにもなく、それだけでストレスです。特に難しいのが、運動習慣を持つこと。簡単そうに見えるウォーキングは、1日1万歩やらないと効果はないとこれまで言われており、そう思うだけで一歩が踏み出せません。ジムはお金がかかるし。
     そんな中で出会ったのが「ウォーキングの科学」という本です。信州大学元教授の著者・能勢博氏は前書きで「ウォーキングは健康に良い、ということは誰でも知っているが、どれぐらいの速度で、どれぐらいの頻度で、どれくらいの時間行えば、どんな効果が得られるのか、という疑問について明確に答えられる方は少ない」と述べています。詳しくは本書に譲るとして、「普通」に歩く1万歩はほとんど効果が得られない、という衝撃の事実も証拠に基づいて語られています。
     「インターバル速歩」とはごく大雑把に言うと3分間速足で歩き、そのあとゆっくりと3分間歩く、これを繰り返すこと。1日30分でいいのです。毎日でなくても構いません。著書の研究によれば「インターバル速歩」を行えば短時間で、体の負担も少なく、さほどお金もかけずに筋力の向上(体力の向上)が可能だそうです。
     著者は松本市と提携して「インターバル速歩」を実施群と非実施群に分け、1年以上の実証実験を行い、「インターバル速歩」が生活習慣病の防止に役立つことを証明しています。
     秋田県の由利本荘市では平成27年から「歩いてのばそう!! 健康寿命」を合言葉に「インターバル速歩」を導入し、その実施状況は由利本荘市のホームページで詳しく紹介されています。何でも三日坊主になりがちな筆者ですが、続けられるような気がします。

    2024年9月14日号

  • 中子氏子中

    照井 麻美(津南星空写真部)

     先月、津南町中子集落を見学させていただきました。
     最近は「中子の桜」としても有名な集落ですが、この集落の神社で珍しいものをご案内いただいたのでご紹介いたします。
     まず目に止まったのは神社の名前です。
    各集落に一つずつ神社があるのはこの地域では珍しくないですが、「仲郷神社」と書かれており、現在の中子ではなく「仲郷」と表記されていました。
     すぐお隣は「上郷」ですし、昔の人はどこかの郷と郷の間というような意味で仲郷となっていたのではないか、などと考えながら参拝いたしました。
     また、帰り際に鳥居の裏を見ると、鳥居を奉納された方のお名前が彫られているのですが、上から読んでも下から読んでも「中子氏子中」なのです。
     集落の方々が奉納しているので当たり前と言えば当たり前なのですが、普通に神社を参拝しているだけでは見落としがちなものだと感じました。
     何気なくある神社も改めて見てみると集落の歴史や新たな発見があるので、これからも少しずつ散策していきたいと思います。

    2024年9月14日号

  • 再編統合保育園は、全面移転改築を

     津南町の桑原悠町長は、いまある保育園5施設を統合し、5年後に1園化し町立保育園を一つにする方針を示した。構想は、現ひまわり保育園を増築する考えだが、移転し全面改築を考えてほしい。 その地は自然環境が良く、広大な町有地である。「なじょもん」のエリアだ。旧中津小を改修し、町埋蔵文化財センターができ、現なじょもん機能の多くがセンターに移る。あの一帯の町有地は、子どもたちの最高の遊び場、保育の場になる。
     「財政的に無理」、そう言葉が返ってくるだろう。だが、考えてほしいのは「目先の整備」ではなく30年後、50年後だ。先週号の本欄で「公共施設は防災拠点」と指摘した。あの地はドクターヘリのランデブーポイント、救急搬送の緊急離発着に活用されている。河岸段丘地の突端にあり、地形的にも視野が良く、広大な町有地の活用がそのままできる優位性は大きい。
     さらに芽出し論議が出ている町立津南病院の全面改築との関係性も浮上する。現場所での病院改築は、周辺の用地事情から相当なる困難性が伴うだろう。ならば、統合保育園を全面移転改築し、その跡地を町立病院改築に充てる方策は、ある意味で合理性がある。
     保育園改築は人口政策にも直結する。充分な用地、自然環境も良い、防災拠点化も可能だ。さらに全面改築を総木造で作り上げれば、それだけで津南町の子育てシンボルになる。あの保育園に入れたい、必ずや親は思うだろう。そう思わせる保育園が津南町に出来れば、若い子育て世代は移住を考えるだろう。保育士もあの保育園で働きたいと町外、県外から応募があるだろう。トップは「夢を語る」、さらに「夢を実現する」ことが行政ではないか。
     条件は整っている。紆余曲折の歩みをしてきた津南町の保育園再編整備、ここは発想の転換による行政事業の集中と選択だろう。どうですか、悠さん。

    2024年9月14日号

  • 十日町道路実現、さらに一歩

    地元協議会「連携し一刻も早く」

    用地買収調印式

     魚沼基幹病院と妻有地域を結ぶ「命の道」で、関越高速道と北陸道の2つの高速道と直接繋がることで物流や観光など経済活性化効果が期待される高規格道「上越魚沼地域振興快速道」。このうち十日町市と関越道直通ルートとなる「十日町道路」は同市北鐙坂-八箇を繋ぐ延長10・8㌔。すでにセンターライン標識の設置が行われ、3日には水沢地区伊達の用地1万5千平方㍍の用地買収がまとまったことを受け、地元の水沢地区インター推進協議会(川田一幸会長)と国交省・長岡国道事務所(岡村秀誠所長)が用地買収調印式を伊達公会堂で行った。「今回が第一弾。今後も連携し早い供用開始をめざしたい」としている。(地図は国交省資料を元に作成)

    2024年9月7日号

  • 「昔人間」の嘆きですが…

    言の葉あれこれ

    松崎 房子 (元ゆずり葉編集委員)

     8月31日号の、長谷川好文さんの原稿を読んで、思わず共感を覚えた。辛うじて『コクル』、『セカチュウー』は想像できたと思った。でもあとは早速PCで検索、フーン? そうなんだ!短縮、省略さっぱりわからん。
     言葉はその時代時代に生きている文化だから、時の流れと共に変化するのは当然なのは、頭ではわかっているが…こう何もかも短縮・省略、もう一つアルファベット・カタカナでは伝わらないのでは。いや私のような世代だけか。
     そもそも言葉はコミュニケーション(意思疎通)のツール(手段)では?
    意思の疎通ができているとは言い難い。
     過ぎてきた歴史の中では無かった出来事・無かった文化があふれかえっていて、それを言い表すのに言葉・文字が格段に増え、一字一句、正確に話していては、埒が明かぬのかもしれない。
     不確かだが昔、聖書の中の逸話として『バベルの塔』を聞いたことがある。奢り高ぶった人間は、天に届く塔を作り神々に近づこうとした。それを諫めるために、神々は、塔作りをしている人間の言葉をめちゃめちゃにし、話が通じなくした、ということであった。その結果、世界中の言語が、大いに別れ、各国の言語が出来たという。
     人間は頭脳を駆使し、より便利に、より快適に、労することなく、手軽に・楽に何かを手にしようとする。こんなことを続けていると、どんな報いを受けるのだろう。昨今の異常気象も、その一つではないのか。
     バベルの塔同様、天の諫めに思えて仕方がない。現代とは格段に、時の流れが緩やかだった昔が好きだなと思う。
     今年の大河ドラマの平安時代とまではいわないが、明治大正の時代は、人々の行いが穏やかに思える。
     乱暴な言葉を使えば、自ずと行動・暮らし方が乱暴になる。戦中戦後のすさんだ時代は、言葉も荒んでいた。言葉の使い方で、暮らしぶりも、品性も変わる。
     つい先日〈サクッと〉〈もふもふ〉〈まったり〉を使う人が多くなってきたと紙上にあった。世界がどんどん広がるのだから、表現も広がるということか?時の流れに乗れるとは到底思えない。
     唱歌〈椰子の実〉がこよなく好きだ。同じ情感を覚えるのは〈演歌〉の歌詞が胸を打つ。流行語は使えなくても、美しい日本語を大切に、心豊かに暮らしたいと思う。
     昔人間の時間は、ゆっくり流れているものね。

    2024年9月21日号

  • 魚野川取水堰その1

    小林 幸一(津南案内人)

     中津川第一線工事の最深部である魚野川取水堰は、完成の僅か4年後の昭和2年に右岸の大規模な崩壊で埋没したと記録されています。写真は切明の崩落前のもので、中央奥に埋没した魚野川取水堰が写っており、左の高台は現在の雄川閣付近で、右下に切明沈砂池が見えます。
     昨年秋にその形跡でも無いかと和山の山田武雄さんに案内して頂きましたが、現在は大きな砂防ダムが造られ写真と見比べてもよく分かりません。
     この取水堰は、水位によって堰の高さが変わるローリングダムで穴藤の初代ダムはこの方式でした。
     次はもう少し上流に、その後に造られた堰提があるのでその付近を探してみると、左岸にベルリンのブランデンブルグ門のような石柱が見え、次に來る時は魚野川を渡って調べてみようと思いました。

    2024年9月21日号

  • 約束してください、自民党さん

     これほど茶番を見せられると、うんざりを通り越し、いいかげんにせい、などと大声を返したくなる。自民総裁選だ。かつてない候補乱立と話題にされ、囃し立てられている。その候補の言葉に共通して「ない言葉」がある。
     政権政党に席を置く自覚はあるのか。バラ色政策を次々に掲げ、あれもします、これもします…。ならば聞きたい。政権政党の自民の中枢にいながら、なぜその政策が実現できなかったのか、その言葉が9人には、全くない。
     耳ざわりの良い言葉の羅列を連日TVや新聞で目にする。なぜ、それが実現できなかったのか、その言葉があれば少なくとも信頼感の回復に結び付き、総裁選での太い選択肢になる可能性があり、シナリオにある衆院選への有権者心理への大きなアピールになるだろう。だが、全くない。
     ならば言いたい。9人が掲げる政策・公約を、誰が総裁・首相になってもすべて実現する、そう国民に約束してほしい。それが政権政党の総裁選の最低限の責任ではないのか。薄いバラ色政策が、より現実味を帯びた生活者支援の大きな国の政策になる。
     連日報道される総裁候補の言動は、生活者に寄り添う姿勢を見せるが、すぐに馬脚を露す軽さが目立つ。さらに見えるのは、新総裁選びは直後に執行するであろう衆院選の集票シンボル選びの様相だ。「選挙の顔」選びだろう。これこそ有権者を見下した取り組みだ。だからこそ、選ばれた新総裁・首相は9人が掲げる政策全てを実現する、この約束の言葉を求めたい。
     それにしても頼りない顔ぶれだ。あの激動期にこの国を作り上げた「角大福時代」を知る世代は感じているだろう。政局が混乱すると必ず出る待望論が「角さんのような政治家」。中卒の大蔵大臣が東大卒の官僚の心を鷲づかみにした言葉が、いま求められている。政治家は言葉だ。さて、さて…。

    2024年9月21日号

  • 繰入金再び増、迫られる改善

    「保育園増築後に大規模改修」示すが…

    町立津南病院

     「町の財務状況で一番課題になっているのは病院とニュー・グリーンピア津南」。桑原悠町長が議会答弁で言い切るように、津南町財政の最大課題がこの二つ。特に町立津南病院について「また赤字幅が増えて来ている。ただ財務状況が改善すれば、1千万円、2千万円のプラスになる。ここを何とかすれば(見直しで削減した)目の前の福祉予算など元に戻せる」と桑原町長は3月議会で語っており、病院経営改善が持続可能な町運営に必須であるとした。一方で9月議会では「保育園増築工事後の大規模改修を検討するよう指示している」と初めて建替え時期へ言及し方針を示すが、その場合、早くても5年後以降になる。さらに「介護医療院」創設の検討を明らかにしており、病院維持に向けた姿勢の一端を示す。ただ医師確保を含め、歴代町政の課題でもあった病院運営改善は成せるのか。2期目の桑原町政の手腕が問われている。(関連記事5面)

    2024年9月14日号

  • 「地域の宝」、水路埋め立てに警鐘

    十日町高生物部、ホトケドジョウ研究

    第48回全国総合文化祭で奨励賞

    第15回県高等学校自然科学系クラブ活動報告・研究発表会のポスター発表部門で希少淡水魚研究の「妻有地域に生息するホトケドジョウの特徴」が最優秀賞を受賞した十日町高校生物部。県代表として先月3~5日、岐阜県で行われた第48回全国高等学校総合文化祭(総文)に出場し3位に次ぐ奨励賞を受賞した。

    2024年9月14日号

  • 創り上げた先に人の喜ぶ姿が見える

    福原 久八郎さん(1956年生まれ)

     「白紙の状態から何かを創り上げるのが好きなんです」。十日町市中条にある桂公園こどもランドのすぐ前で織物業『フクハラ企画』を営む福原久八郎さん(68)。地域と共にゼロから創り上げた遊び場だ。「家族連れの子どもたちが元気に遊んでいるのを見ると、嬉しくなりますね」。

     1970年代、十日町織物業の隆盛期。地元織物会社で働きながら十日町高で学び、そのまま織物業界へ。就業しながら専門学校で染織技術を学んだ。「すでに働いて学んでいたので、学校で学ぶより実践のほうが高度でした」。織物の設計やデザインに携わり、「白紙」からものづくりする楽しさを体感した。
     1980年代に入ると織物業界が下降線に。「業界が低迷していくと、従業員や外注先が縮小され、職人さんにも仕事の打ち切りを伝えなければならなくて…」。抱え込んだ心苦しさが膨れあがっていった。「自分で会社を立ち上げれば…なんとかなるかも…」と考え32歳で独立。起業、『フクハラ企画』を立ち上げた。組合には加入せず、「身軽く、フリーで営業活動しました」。
     県内外の織物産地の職人とも積極的に交流し、人のつながりの輪を広げた。「それぞれ困っているところを補い合う。染める人が居ない、織る人が居ないってなれば、こっちでするよって。逆もありますね」。いまもパイプ役を担っている。
     「きもの産業が衰退しているのに起業なんて無謀だって言われましたけど、これまで関わってきた職人さんや十日町にない技法を持った職人さんと一緒に創り上げていくのは楽しかったですね」。

     起業した翌年に結婚。3人の子育てを通じて積極的に地域活動に関わった。「地域のイベントや困りごとなどの相談もよく受けましたね」。国宝出土の笹山遺跡で毎年開催の「じょうもん市」や市民体育祭などに様々なアイデアを出し、地域と共に創り上げていった。「なにか面白い事はできないかなぁーと創り上げるのが好きなんですが、それを喜んでくれる人を見るのが、もっと好きなんです」。
     福原さんには大切にしている思いがある。「趣味は自己満足で終わらせたくないと思っています」。近所から皐月(さつき)の植木20鉢余をもらい受けた。初心者ながら育ててみると次々に疑問が。それを解決していくと、次第に専門知識と技術を会得していき、「多様な植物の栽培にハマってしまいました」。「きれいに咲いた花を自分だけで見ているのはもったいない」と、プランターの花以外にも春は菜の花畑、夏は向日葵畑など辺りを四季折々の花で彩る。「綺麗だねって、喜ぶ人を見るのは本当に楽しく、嬉しいですね」。

     なにもない白紙状態から、考え、考え、試行を繰り返し、ものを創り上げ、人を喜ばせることが好きな福原さん。市内外の人気スポットになっている『桂公園こどもランド』もその一つ。地域の理解と協力で施設を管理し、「子どもたちが喜ぶものは何か、これを第一に考えました」。来園する子どもたちが笑顔で楽しんでほしいと、週末にはゴーカートやくじ引き。夏季にはウォータースライダープールなど設置。同時に家族で楽しめる様々なイベントを企画、実践している。
     福原さんの思いに共感し『お手伝いしたい』と、市内はじめ村上市や上越市などからボランティア協力する人も。「周りからは大変だねって言われますが、困難であるほど、それを乗り越え、創り上げた時は楽しい充実感があります。今後も自己満足に終わらず、周りを楽しませたいですね」。

    ▼バトンタッチします
     村山千奈さん

    2024年9月14日号

  • インターバル速足のすすめ

    健康寿命とは

    村山 朗 (会社員)

     日本人男性の平均寿命は81・41歳、健康寿命は72・68歳だそうです。後期高齢者間近の筆者にとっては毎日の健康が関心事ですし、やはり気になるのは健康寿命です。厚生労働省の定義では、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」とのこと。今のところ健康診断でいくつかイエローカードを出されてはいますが、日常生活が制限されることなく生活できています。 
     健康寿命を延ばすには、「①バランスの良い食事を意識する②運動習慣を持つ③検診で生活習慣病の早期発見・重症化予防に努める④喫煙をやめる⑤適正な体重を保つ⑥ストレスの少ない生活を目指す⑦社会的なつながりを構築する」だそうです。
     筆者はタバコを吸わないのでその点だけは問題ないですが、どれもこれも簡単にできそうにもなく、それだけでストレスです。特に難しいのが、運動習慣を持つこと。簡単そうに見えるウォーキングは、1日1万歩やらないと効果はないとこれまで言われており、そう思うだけで一歩が踏み出せません。ジムはお金がかかるし。
     そんな中で出会ったのが「ウォーキングの科学」という本です。信州大学元教授の著者・能勢博氏は前書きで「ウォーキングは健康に良い、ということは誰でも知っているが、どれぐらいの速度で、どれぐらいの頻度で、どれくらいの時間行えば、どんな効果が得られるのか、という疑問について明確に答えられる方は少ない」と述べています。詳しくは本書に譲るとして、「普通」に歩く1万歩はほとんど効果が得られない、という衝撃の事実も証拠に基づいて語られています。
     「インターバル速歩」とはごく大雑把に言うと3分間速足で歩き、そのあとゆっくりと3分間歩く、これを繰り返すこと。1日30分でいいのです。毎日でなくても構いません。著書の研究によれば「インターバル速歩」を行えば短時間で、体の負担も少なく、さほどお金もかけずに筋力の向上(体力の向上)が可能だそうです。
     著者は松本市と提携して「インターバル速歩」を実施群と非実施群に分け、1年以上の実証実験を行い、「インターバル速歩」が生活習慣病の防止に役立つことを証明しています。
     秋田県の由利本荘市では平成27年から「歩いてのばそう!! 健康寿命」を合言葉に「インターバル速歩」を導入し、その実施状況は由利本荘市のホームページで詳しく紹介されています。何でも三日坊主になりがちな筆者ですが、続けられるような気がします。

    2024年9月14日号

  • 中子氏子中

    照井 麻美(津南星空写真部)

     先月、津南町中子集落を見学させていただきました。
     最近は「中子の桜」としても有名な集落ですが、この集落の神社で珍しいものをご案内いただいたのでご紹介いたします。
     まず目に止まったのは神社の名前です。
    各集落に一つずつ神社があるのはこの地域では珍しくないですが、「仲郷神社」と書かれており、現在の中子ではなく「仲郷」と表記されていました。
     すぐお隣は「上郷」ですし、昔の人はどこかの郷と郷の間というような意味で仲郷となっていたのではないか、などと考えながら参拝いたしました。
     また、帰り際に鳥居の裏を見ると、鳥居を奉納された方のお名前が彫られているのですが、上から読んでも下から読んでも「中子氏子中」なのです。
     集落の方々が奉納しているので当たり前と言えば当たり前なのですが、普通に神社を参拝しているだけでは見落としがちなものだと感じました。
     何気なくある神社も改めて見てみると集落の歴史や新たな発見があるので、これからも少しずつ散策していきたいと思います。

    2024年9月14日号

  • 再編統合保育園は、全面移転改築を

     津南町の桑原悠町長は、いまある保育園5施設を統合し、5年後に1園化し町立保育園を一つにする方針を示した。構想は、現ひまわり保育園を増築する考えだが、移転し全面改築を考えてほしい。 その地は自然環境が良く、広大な町有地である。「なじょもん」のエリアだ。旧中津小を改修し、町埋蔵文化財センターができ、現なじょもん機能の多くがセンターに移る。あの一帯の町有地は、子どもたちの最高の遊び場、保育の場になる。
     「財政的に無理」、そう言葉が返ってくるだろう。だが、考えてほしいのは「目先の整備」ではなく30年後、50年後だ。先週号の本欄で「公共施設は防災拠点」と指摘した。あの地はドクターヘリのランデブーポイント、救急搬送の緊急離発着に活用されている。河岸段丘地の突端にあり、地形的にも視野が良く、広大な町有地の活用がそのままできる優位性は大きい。
     さらに芽出し論議が出ている町立津南病院の全面改築との関係性も浮上する。現場所での病院改築は、周辺の用地事情から相当なる困難性が伴うだろう。ならば、統合保育園を全面移転改築し、その跡地を町立病院改築に充てる方策は、ある意味で合理性がある。
     保育園改築は人口政策にも直結する。充分な用地、自然環境も良い、防災拠点化も可能だ。さらに全面改築を総木造で作り上げれば、それだけで津南町の子育てシンボルになる。あの保育園に入れたい、必ずや親は思うだろう。そう思わせる保育園が津南町に出来れば、若い子育て世代は移住を考えるだろう。保育士もあの保育園で働きたいと町外、県外から応募があるだろう。トップは「夢を語る」、さらに「夢を実現する」ことが行政ではないか。
     条件は整っている。紆余曲折の歩みをしてきた津南町の保育園再編整備、ここは発想の転換による行政事業の集中と選択だろう。どうですか、悠さん。

    2024年9月14日号

  • 十日町道路実現、さらに一歩

    地元協議会「連携し一刻も早く」

    用地買収調印式

     魚沼基幹病院と妻有地域を結ぶ「命の道」で、関越高速道と北陸道の2つの高速道と直接繋がることで物流や観光など経済活性化効果が期待される高規格道「上越魚沼地域振興快速道」。このうち十日町市と関越道直通ルートとなる「十日町道路」は同市北鐙坂-八箇を繋ぐ延長10・8㌔。すでにセンターライン標識の設置が行われ、3日には水沢地区伊達の用地1万5千平方㍍の用地買収がまとまったことを受け、地元の水沢地区インター推進協議会(川田一幸会長)と国交省・長岡国道事務所(岡村秀誠所長)が用地買収調印式を伊達公会堂で行った。「今回が第一弾。今後も連携し早い供用開始をめざしたい」としている。(地図は国交省資料を元に作成)

    2024年9月7日号