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妻有新聞掲載記事一覧

  • 技術力アップで備え

    信濃川水防訓練

    国県消防ら連携で

     〇…水災害を防げ―。国交省や県、十日町市や津南町、さらに十日町地域消防や消防団などの連携を深め備える「信濃川水防訓練」は16日夜、津南町の中津川運動公園で行い、総勢140人余が参加。少し雨が降る悪天候の中で、河川水位上昇が長期間継続で堤防盛土が緩くなった時の応急処置「木流し工法」や堤防を越水する危険性がある時にビニールシートを敷いた上に土のうを積む「改良積み土のう工法」、さらに専門業者による「ブロック投入工法」の3訓練を行った。

    2024年5月25日号

  • 辻井伸行さんのピアノ演奏に思う

    たかき医院と魚沼基幹病院、新大病院が連携

    Vol 98

     「泣きながら歯を食いしばってなんてしていません。毎日笑いながらやっています」。先月、全国の産婦人科医が一堂に集まる日本産婦人科学会に行って来ました。今回、学会内の特別プログラムとして辻井伸行さんのピアノコンサートがあると聞き、こんな機会は無いと自分の休診を利用して、主にコンサートに参加してきました。
     コンサートは圧巻! 久しぶりにライブ演奏を聴いたというのもあるのでしょう。彼作曲のオリジナル曲から、よく知られているクラシックの曲まで、60分という短い時間の中でトークを交え、立て続けに10曲近く演奏してくださいました。あまりに感激して、しばらくの間YouTubeなどでプログラムにあったピアノ曲を何度も何度も聴きました。
     なぜ辻井伸行さんが学会でピアノコンサートを演奏して下さったかというと、彼のおじいさん、おじさん、お父さんは産婦人科医なのです。そのつながりで出演依頼があり、今回のコンサート開催に至ったのだと思います。
     コンサートに先立ち、会場にお父さんからの挨拶動画が流れました。自分の結婚から辻井伸行さんの誕生、目が見えないと分かった時、音楽が好きでおもちゃのピアノを与えたら、3歳でお母さんの歌うジングルベルに合わせて伴奏を弾いたこと、そこからピアノの道へ、などのお話をお聞きしました。
     その話の中で以前取材に来た記者さんが「歯を食いしばって1日に何時間も血へどを吐くような練習をされているのでしょうね?」と聞いてきた時に、お父さんが「1日に8時間も練習していますが、彼がそんな苦しい様子で練習している様子は、一度も見たこと無いですよ」と冒頭の話をしたとか。このお父さんの言葉はとても印象に残りました。
     私は、先月4月より院長に就任し、毎週木曜日は魚沼基幹病院より経験豊かな先生方と一緒に仕事を、さらに月に一度は週末には新潟大学病院からの先生をお招きして仕事のサポートをお願いすることになりました。
     私が過労でたかき医院を続けられなくなり、地域のお産できる病院を一つ潰してしまわない様にとの各方面からのご配慮です。
     気が小さい私は、どんな毎日になるのだろうかと、4月初めは原因の分からない胃の痛みに苛まれましたが、始まって見れば外部からいらっしゃる先生方に最新の医療技術のお話を聞いたり、患者様のことで気軽に相談出来たりと良いことばかりでした。
     特に基幹病院の先生方は優しく丁寧な先生ばかりで安心しました。患者様もわざわざ峠を越えなくても専門的な診療が受けられ、手術の相談やセカンドオピニオンなどが自宅近くで出来ることになったので、本当に良かったのではないかと思っています。
     3重苦のヘレン・ケラーの生前の言葉に「友達がいれば、毎日世界は変わります」があります。引っ込み思案な私ですが、新たな扉を開けてたくさんの方と知り合い、その手を借りながら毎日楽しく仕事を続けていきたいと思っています。
     ぜひその手を貸してくださるという方は、たかき医院の健闘を「産声を上げた働き方改革~医療現場のジレンマ~」、NST新潟総合テレビ5月25日午後2時からのドキュメンタリー番組でご覧ください! (たかき医院・仲栄美子院長)

    2024年5月25日号

  • 『四国八十八霊場、お遍路で「荷」を置く』

    高橋 勇さん(1953年生まれ)

     高校2年の夏。
    「自転車で友だちと大阪万博へ行っていいか」
    『だめだ』
    「校長がいいと言えば、行ってもいいか」

     時は1970年、大阪万博開催。父にダメ出しされたが、すぐに動いた。県立十日町高校、当時の校長は歴代に名を残す名物校長の深田虎雄校長。万博行きを直接聞いた。「いましか出来ないことだ、行ってこい」、それは明快だった。
     高校2年の夏休み。友と2人で自転車にテント、自炊道具、食糧など積み、早朝出発。野宿をしながら長野から木曽路、岐阜、滋賀を通り大阪へ。「行きに6日かかった。友だちの親戚が大阪に居るというので、そこに泊まるつもりで行ったが、なんと引っ越していた。不動産屋に頼み込んで、その空き家に泊めてもらったが、電気はストップ、水風呂に入った」。夏休み後半の高校の北海道修学旅行に間に合わなくなり、「仕方なく、列車で帰ってきた」。
     十高生徒会役員の時、校則廃止を求め直談判へ。その時の問答。
    「喫茶店に行ったことがあるか」
    『はい、行きました』
    「校則違反だな。今日か
    ら3日間停学だ」
     その日は金曜日。この日午後から停学となり、金曜、土曜、日曜の3日間の停学。これが後世に伝わる『深田裁定』。十高時代の出会いが、その後の人生観に影響している。当時の倫理社会の教諭・髙橋竹雄先生(現勝又)の影響で「倫社の高校教諭」をめざす。
     進学先は國學院大哲学科。学内を歩いていると少林寺拳法部の勧誘を受け入部。「そこは、あの漫画『花の応援団』そのままでした。オスッの毎日。理不尽、不条理、そんな世界だったが、自分が上になるようになり、そんな体質は変えた」。
     大学4年、新潟県教員試験を受けるが採用ならず。そんな時「父から連絡が来て、駐在さんが誘いにきたぞと、試験だけでも受けてみろと言われ、受験した」。当初、学生運動に対する機動隊に良いイメージはなかったが新卒で入る。そこで良い同期、尊敬できる教官と出会い不安は払拭した。

     警察官37年間、刑事畑を歩む。警察学校の指導巡査、関東管区機動隊なども勤務。「年間百体くらいの検死をした。先輩から『身内と思え』と繰り返し言われた」。事件はもちろん病死、溺死、事故死などあらゆる現場を経験。「退職したら遍路に行こうと決めていた」。それは現職時代に抱え背負った荷、まとわりついた『情念』を置いて来たかったから。
     10年前に退職。すぐに四国八十八霊場・遍路の旅に出た。退職の春、4月中旬から6月上旬まで、すべてを歩き通した。高野山での出会いは忘れがたい。「御朱印を推す職員の方だったが『高野山から歩き始め、再び高野山まで歩き通す遍路はほとんどいない。本当にやる気か』と親身になって教えてくれた。この人との出会いがなければ、歩き通せなかったかもしれない」。今もこの人とは交友が続いている。
     
     出会いは続く。現職もあと5年ほどになった頃。小出署勤務時代に通った英会話教室で活動を知る。浦佐・国際大学のベトナム留学生の「日本語チューター」(補佐指導者)活動をボランティアで務め、いまも続ける。
    ある日、自宅に女子留学生3人を招く。ベトナム料理を作ってくれ食卓を囲む。「私の母は恥ずかしがって食卓に来なかった。すると『なぜおばあさんはここに来ないのですか』と」。呼びに行き食卓に一緒に着くと「母に次々と言葉を掛け、すっかり打ち解けた。あ~こういう事かと分かりましたね」。年配者を大切にする、その気持ちを強く感じた。その後、結婚式に招待され、二度もベトナムへ行った。日本語チューターはもう15年目になる。
     さらに縁を感じる出会いは続く。地元川西・千手神社の奉賛会役員の誘いを受けた。県神社庁中魚沼支部の総代会副会長を務める。「でも、これ以上いろいろな役は引き受けない方がいいと家族に言われ、その日の朝、入会を断った。その日の昼、大学時代の友人で東京日野市の八坂神社の神主をしている友だちから本が贈られてきた。家族はそれを見て『これは何かの印、お告げかも』と言い、奉賛会役員を受けたんです。不思議な巡り合わせがあるもんですね。それにしても出会いは、おもしろい」。

    ◆バトンタッチします。「田邊武さん」

    2024年5月25日号

  • 6月議会で丁々発止を

    再び原発問題

     5月18日本紙の社説見出しは「6月議会、どうする原発問題」だった。
     昨年末から柏崎刈羽原発の再稼働手続きが再開され、今後は地元同意の可否が焦点となる。
     3月には刈羽村・柏崎市議会で、早期再稼働を求める請願が採択されている。県は3月24日、6、7号機を再稼働した場合の経済効果は10年間で4396億円と公表した。廃炉時、稼働停止時を大きく上回る。
     知事は「自身の見解を表明して、県民に信を問う」との考えを変えず、今はその時期ではないと言う。でも、経済効果公表など「前のめり」をアピールしている。
     社説の話に戻って、12・14日付け『新潟日報』は、県内市町村長、県議会議員、県選出国会議員への再稼働アンケート結果を載せた。概要は日報社ホームページでも見ることができる。
     ざっと見たところ、県議は全体として東電への信頼度が低く、「現時点での再稼働に慎重」。一方、市町村長、特に原発から30㎞圏外の方は「他人事」という印象だ。
     ほかに、「知事の『県民の信を問う』手法はどうすべきと考えるか?」の設問に対して、30市町村長のうち津南町を含む8市町長が「議会提案」と答えている。はて?
    「日本は議会制民主主義」(柏崎市)、「県民代表の県議会での議決による判断によるべき」(津南町)の建て前は正しい。8人の首長は普段から地元議会の判断を大いに尊重しているのだろう。
     だが、福島第一原発事故の過酷さを知った以上、議会だけで決めるというのはいかがか。
     地方自治は国政と同様に間接民主制だが、その中には直接請求制度のような直接民主主義的な手法が組み込まれている。そして、地方自治の本旨は住民自治のはず。
     1996年に旧・巻町で原発立地の是非を問う住民投票が行われ、「反対」60%余で原発建設は回避された。ここに学ぶべきことはないだろうか。
     福島には今も帰還困難区域がある。住んでいた方々は、避難命令であれ、「自主避難」であれ、家も家財も家畜も、生業(なりわい)も、それまでの人生もそこに残して、身一つで避難した。そのとき誰もが原発は安全でないと悟った。
     能登半島地震、尾身県議の会見以来、大地震への懸念、事故時の避難路確保が話題になる。だが、忘れてはいけないのが「核のごみ」だ。課題・問題だらけの原発再稼働。
     住民の生命、財産を守るのは政治の一番大切な役目。さあ、6月議会で丁々発止とやってほしい。

    2024年5月25日号

  • オオカメノキの芽吹き

    照井 麻美(津南星空写真部)

     日中との寒暖差がまだまだ厳しい5月、田植えで体調を崩されていないでしょうか。
     5月も終わりを迎えますが、山の上の方ではまだまだ雪が残る場所もあり、新緑の美しさとエネルギッシュな芽吹きを見ることができます。
     今回は芽吹いたばかりのオオカメノキをご紹介します。
     オオカメノキは森の中でよく見られ、名前の通り、亀の甲羅のような手のひらより少し小さめの丸々とした葉が特徴です。
     ブナ林で春を告げる葉としても有名で、コロンと丸く小さな新葉はまだまだ小さく親指大のかわいらしいサイズです。
     所々大きくなった葉は500円玉くらいのものもあり、木漏れ日が差し込むと葉脈がくっきりと浮かび上がりとても美しいです。
     私はこんな美しい自然が身近にあるこの地域がとても好きで、特に春は動植物と同じようにワクワクする季節です。
    他にも山の中にはイワカガミやコブシなどの美しい花々も咲き誇るようになりました。
     ぜひこの季節に、近くにある野山を歩いてみてはいかがでしょうか。

    2024年5月25日号

  • アメリカン風スタイルで賑わい

    人気のミニカー千台余、清水さん夫妻

    十日町市木落『MC★BASE』

     アメリカン風ベーシックミニカーがズラリ―。ミニカーの世界的ブランド『ホット・ウィール』を中心にアメリカン雑貨を展示販売する『MC★BASE(エムシーベース)』が人気を呼んでいる。十日町市木落集落の奥まった場所にある店内には60年代のアメリカンダイナー(大衆食堂)風の休憩室を設けてある。オーナーの建築士・清水弘幸さん(46)は「雰囲気を味わいに気軽に足を運んでほしい。憩いの場、交流の場になれば」と地域活性化の核にしていきたい考えだ。

    2024年5月25日号

  • 形骸化する選挙運動期間

     選挙は住民・有権者の思いがストレートに出る場だ。直近の選挙、栄村長選も、その結果が住民の思いだ。有権者数1200人余の、まさに「顔が見える1票」、「浮動票がない選挙」だが、その1票の重みは国政全国区の1票と同じだ。
     その告示当日、応援に来た県議が話した言葉が、選挙というものの核心を突いている。「1票の有権者の顔が見える選挙は、どの選挙も同じ。その顔をしっかり見ているのか、それが当落につながる」。今年、いよいよ衆院選があるのか。新潟新5区、ひょっとすると新潟知事選もあるかも。10ヵ月後には十日町市長選、市議選がある。
     「選挙は民主主義の必要コスト」ともいわれる。選挙は金がかかる、その意味ではない。民意をはかるには様々な手法があるが、ルールに則る選挙は、時間も、人も、費用も、相応のコストがかかる。だが、これなくして民意をストレートに具体化する術は、住民投票以外にはない。住民投票は条例制定から始まり、そのプロセスは多分に思惑が入り込む余地があり、テーマによってはあらぬ結果が出かねない。
     さて、その選挙。最近は期日前投票者が増加し、選挙期間の形骸化が進む。告示のその日から期日前投票ができる。ならば、選挙期間の意味がないのではないか。町村の場合、選挙期間はわずか5日間、市でも7日間しかない。これを選挙運動期間と言うなら、あまりにも市町村有権者をバカにしている。期日前投票の判断基準は何か。告示前にすでに投票先を決めていることは、そもそも選挙運動期間が不要ということか。まさに形骸化する選挙運動だ。
     かつて、公職選挙法は「立会演説会」開催を規定していた。それもない今の選挙は、何が投票の基準なのか、大いなる疑問を抱く。モヤモヤ感を抱きつつ、あるであろう衆院選、知事選、さらに市長選、市議選、どうする有権者だが、選挙のあり方を考える時だ。

    2024年5月25日号

  • 『古道』トレラン、広がる連携

    松代中学48人が運営スタッフ協力

    まつだい春の陣 第2回来月2日

     里山でかつて暮らしに欠かせない生活道だった『古道』を再活用したトレイルランニングコースを作り、昨年初開催の『越後まつだい春の陣』(新坂志保里実行委員長)。その取り組みは全国で注目を集め「スポーツ文化ツーリズムアワード2023」で最高賞のひとつ「スポーツツーリズム賞」を獲得。第2回は6月2日に開き、外国人含め4百人以上の出場を見込んでいる。今回は新たに、地元の松代中学(村山裕之校長、48人)が大会運営に協力するなど、より地域を巻き込んだ動きとなり、地域活力アップに一役買っている。

    2024年5月18日号

  • 中干しオフセット始動

    津南町とフェイガ―社連携協定

    水田7㌶で実証

     中干し期間延長でCO2(二酸化炭素)削減、環境配慮と農業者の新たな収入増の可能性に関心が集まる、昨年から農水省が取り組み開始の「水稲栽培における中干し期間延長のJクレジット制度」。津南町は同制度積極導入をねらいに、農業者のカーボンクレジット利用を支援する企業『株式会社フェイガー』(石崎貴紘代表、東京・港区)と16日、包括連携協定を締結。現在は町内の2農業法人(株式会社満作、株式会社えん)と1個人農家が中干しカーボーンクレジットに取り組む。同日は取り組み現場を桑原町長や石崎代表が訪ね、田植え作業を視察した。今年の実証を経て、さらに町内での取り組み拡大を図る方針だ。

    2024年5月18日号

  • 『夫が作ったこの家、思いがいっぱいです』

    北野一美さん(1941年生まれ)

     これは「我が一代記」だ。生まれ育った山梨から新潟・川西へ。親戚、友だちが一人もいない地での生活は、まさに「無我夢中」の人生だった。

     役場にも
    農協にも、
    商工会にも
    断られたと劇団制作の女性が訪ねて来た。ミュージカル劇団公演の思いを聞き、
    「よし、やってみよう」
    と決めた『ふ
    るさときゃらばん』川西町公演は、28年前の1995年。親戚も友だちも、誰一人知らない地に来た時の、当時の自分と重なった。
     公演費用260万円、千人の観客が必要。合併前の川西町人口は8千人余。「あの時、商工会女性部長でした。会員に川西町のイメージカラーをアンケートで聞いたんですが、灰色、黒など暗いイメージばかり」。
     そこで、「元気が出ることをやろうと声を掛け、それが劇団公演。1人1万円出資を広げ、その輪が広がって1枚3千円のチケットが千2百枚売れたんです」。劇団公演に取り組んだメンバーの『熱』を次につなげようと、旗揚げした町民劇団「かわにし夢きゃらばん」は今も続く。

    2024年5月18日号

  • 技術力アップで備え

    信濃川水防訓練

    国県消防ら連携で

     〇…水災害を防げ―。国交省や県、十日町市や津南町、さらに十日町地域消防や消防団などの連携を深め備える「信濃川水防訓練」は16日夜、津南町の中津川運動公園で行い、総勢140人余が参加。少し雨が降る悪天候の中で、河川水位上昇が長期間継続で堤防盛土が緩くなった時の応急処置「木流し工法」や堤防を越水する危険性がある時にビニールシートを敷いた上に土のうを積む「改良積み土のう工法」、さらに専門業者による「ブロック投入工法」の3訓練を行った。

    2024年5月25日号

  • 辻井伸行さんのピアノ演奏に思う

    たかき医院と魚沼基幹病院、新大病院が連携

    Vol 98

     「泣きながら歯を食いしばってなんてしていません。毎日笑いながらやっています」。先月、全国の産婦人科医が一堂に集まる日本産婦人科学会に行って来ました。今回、学会内の特別プログラムとして辻井伸行さんのピアノコンサートがあると聞き、こんな機会は無いと自分の休診を利用して、主にコンサートに参加してきました。
     コンサートは圧巻! 久しぶりにライブ演奏を聴いたというのもあるのでしょう。彼作曲のオリジナル曲から、よく知られているクラシックの曲まで、60分という短い時間の中でトークを交え、立て続けに10曲近く演奏してくださいました。あまりに感激して、しばらくの間YouTubeなどでプログラムにあったピアノ曲を何度も何度も聴きました。
     なぜ辻井伸行さんが学会でピアノコンサートを演奏して下さったかというと、彼のおじいさん、おじさん、お父さんは産婦人科医なのです。そのつながりで出演依頼があり、今回のコンサート開催に至ったのだと思います。
     コンサートに先立ち、会場にお父さんからの挨拶動画が流れました。自分の結婚から辻井伸行さんの誕生、目が見えないと分かった時、音楽が好きでおもちゃのピアノを与えたら、3歳でお母さんの歌うジングルベルに合わせて伴奏を弾いたこと、そこからピアノの道へ、などのお話をお聞きしました。
     その話の中で以前取材に来た記者さんが「歯を食いしばって1日に何時間も血へどを吐くような練習をされているのでしょうね?」と聞いてきた時に、お父さんが「1日に8時間も練習していますが、彼がそんな苦しい様子で練習している様子は、一度も見たこと無いですよ」と冒頭の話をしたとか。このお父さんの言葉はとても印象に残りました。
     私は、先月4月より院長に就任し、毎週木曜日は魚沼基幹病院より経験豊かな先生方と一緒に仕事を、さらに月に一度は週末には新潟大学病院からの先生をお招きして仕事のサポートをお願いすることになりました。
     私が過労でたかき医院を続けられなくなり、地域のお産できる病院を一つ潰してしまわない様にとの各方面からのご配慮です。
     気が小さい私は、どんな毎日になるのだろうかと、4月初めは原因の分からない胃の痛みに苛まれましたが、始まって見れば外部からいらっしゃる先生方に最新の医療技術のお話を聞いたり、患者様のことで気軽に相談出来たりと良いことばかりでした。
     特に基幹病院の先生方は優しく丁寧な先生ばかりで安心しました。患者様もわざわざ峠を越えなくても専門的な診療が受けられ、手術の相談やセカンドオピニオンなどが自宅近くで出来ることになったので、本当に良かったのではないかと思っています。
     3重苦のヘレン・ケラーの生前の言葉に「友達がいれば、毎日世界は変わります」があります。引っ込み思案な私ですが、新たな扉を開けてたくさんの方と知り合い、その手を借りながら毎日楽しく仕事を続けていきたいと思っています。
     ぜひその手を貸してくださるという方は、たかき医院の健闘を「産声を上げた働き方改革~医療現場のジレンマ~」、NST新潟総合テレビ5月25日午後2時からのドキュメンタリー番組でご覧ください! (たかき医院・仲栄美子院長)

    2024年5月25日号

  • 『四国八十八霊場、お遍路で「荷」を置く』

    高橋 勇さん(1953年生まれ)

     高校2年の夏。
    「自転車で友だちと大阪万博へ行っていいか」
    『だめだ』
    「校長がいいと言えば、行ってもいいか」

     時は1970年、大阪万博開催。父にダメ出しされたが、すぐに動いた。県立十日町高校、当時の校長は歴代に名を残す名物校長の深田虎雄校長。万博行きを直接聞いた。「いましか出来ないことだ、行ってこい」、それは明快だった。
     高校2年の夏休み。友と2人で自転車にテント、自炊道具、食糧など積み、早朝出発。野宿をしながら長野から木曽路、岐阜、滋賀を通り大阪へ。「行きに6日かかった。友だちの親戚が大阪に居るというので、そこに泊まるつもりで行ったが、なんと引っ越していた。不動産屋に頼み込んで、その空き家に泊めてもらったが、電気はストップ、水風呂に入った」。夏休み後半の高校の北海道修学旅行に間に合わなくなり、「仕方なく、列車で帰ってきた」。
     十高生徒会役員の時、校則廃止を求め直談判へ。その時の問答。
    「喫茶店に行ったことがあるか」
    『はい、行きました』
    「校則違反だな。今日か
    ら3日間停学だ」
     その日は金曜日。この日午後から停学となり、金曜、土曜、日曜の3日間の停学。これが後世に伝わる『深田裁定』。十高時代の出会いが、その後の人生観に影響している。当時の倫理社会の教諭・髙橋竹雄先生(現勝又)の影響で「倫社の高校教諭」をめざす。
     進学先は國學院大哲学科。学内を歩いていると少林寺拳法部の勧誘を受け入部。「そこは、あの漫画『花の応援団』そのままでした。オスッの毎日。理不尽、不条理、そんな世界だったが、自分が上になるようになり、そんな体質は変えた」。
     大学4年、新潟県教員試験を受けるが採用ならず。そんな時「父から連絡が来て、駐在さんが誘いにきたぞと、試験だけでも受けてみろと言われ、受験した」。当初、学生運動に対する機動隊に良いイメージはなかったが新卒で入る。そこで良い同期、尊敬できる教官と出会い不安は払拭した。

     警察官37年間、刑事畑を歩む。警察学校の指導巡査、関東管区機動隊なども勤務。「年間百体くらいの検死をした。先輩から『身内と思え』と繰り返し言われた」。事件はもちろん病死、溺死、事故死などあらゆる現場を経験。「退職したら遍路に行こうと決めていた」。それは現職時代に抱え背負った荷、まとわりついた『情念』を置いて来たかったから。
     10年前に退職。すぐに四国八十八霊場・遍路の旅に出た。退職の春、4月中旬から6月上旬まで、すべてを歩き通した。高野山での出会いは忘れがたい。「御朱印を推す職員の方だったが『高野山から歩き始め、再び高野山まで歩き通す遍路はほとんどいない。本当にやる気か』と親身になって教えてくれた。この人との出会いがなければ、歩き通せなかったかもしれない」。今もこの人とは交友が続いている。
     
     出会いは続く。現職もあと5年ほどになった頃。小出署勤務時代に通った英会話教室で活動を知る。浦佐・国際大学のベトナム留学生の「日本語チューター」(補佐指導者)活動をボランティアで務め、いまも続ける。
    ある日、自宅に女子留学生3人を招く。ベトナム料理を作ってくれ食卓を囲む。「私の母は恥ずかしがって食卓に来なかった。すると『なぜおばあさんはここに来ないのですか』と」。呼びに行き食卓に一緒に着くと「母に次々と言葉を掛け、すっかり打ち解けた。あ~こういう事かと分かりましたね」。年配者を大切にする、その気持ちを強く感じた。その後、結婚式に招待され、二度もベトナムへ行った。日本語チューターはもう15年目になる。
     さらに縁を感じる出会いは続く。地元川西・千手神社の奉賛会役員の誘いを受けた。県神社庁中魚沼支部の総代会副会長を務める。「でも、これ以上いろいろな役は引き受けない方がいいと家族に言われ、その日の朝、入会を断った。その日の昼、大学時代の友人で東京日野市の八坂神社の神主をしている友だちから本が贈られてきた。家族はそれを見て『これは何かの印、お告げかも』と言い、奉賛会役員を受けたんです。不思議な巡り合わせがあるもんですね。それにしても出会いは、おもしろい」。

    ◆バトンタッチします。「田邊武さん」

    2024年5月25日号

  • 6月議会で丁々発止を

    再び原発問題

     5月18日本紙の社説見出しは「6月議会、どうする原発問題」だった。
     昨年末から柏崎刈羽原発の再稼働手続きが再開され、今後は地元同意の可否が焦点となる。
     3月には刈羽村・柏崎市議会で、早期再稼働を求める請願が採択されている。県は3月24日、6、7号機を再稼働した場合の経済効果は10年間で4396億円と公表した。廃炉時、稼働停止時を大きく上回る。
     知事は「自身の見解を表明して、県民に信を問う」との考えを変えず、今はその時期ではないと言う。でも、経済効果公表など「前のめり」をアピールしている。
     社説の話に戻って、12・14日付け『新潟日報』は、県内市町村長、県議会議員、県選出国会議員への再稼働アンケート結果を載せた。概要は日報社ホームページでも見ることができる。
     ざっと見たところ、県議は全体として東電への信頼度が低く、「現時点での再稼働に慎重」。一方、市町村長、特に原発から30㎞圏外の方は「他人事」という印象だ。
     ほかに、「知事の『県民の信を問う』手法はどうすべきと考えるか?」の設問に対して、30市町村長のうち津南町を含む8市町長が「議会提案」と答えている。はて?
    「日本は議会制民主主義」(柏崎市)、「県民代表の県議会での議決による判断によるべき」(津南町)の建て前は正しい。8人の首長は普段から地元議会の判断を大いに尊重しているのだろう。
     だが、福島第一原発事故の過酷さを知った以上、議会だけで決めるというのはいかがか。
     地方自治は国政と同様に間接民主制だが、その中には直接請求制度のような直接民主主義的な手法が組み込まれている。そして、地方自治の本旨は住民自治のはず。
     1996年に旧・巻町で原発立地の是非を問う住民投票が行われ、「反対」60%余で原発建設は回避された。ここに学ぶべきことはないだろうか。
     福島には今も帰還困難区域がある。住んでいた方々は、避難命令であれ、「自主避難」であれ、家も家財も家畜も、生業(なりわい)も、それまでの人生もそこに残して、身一つで避難した。そのとき誰もが原発は安全でないと悟った。
     能登半島地震、尾身県議の会見以来、大地震への懸念、事故時の避難路確保が話題になる。だが、忘れてはいけないのが「核のごみ」だ。課題・問題だらけの原発再稼働。
     住民の生命、財産を守るのは政治の一番大切な役目。さあ、6月議会で丁々発止とやってほしい。

    2024年5月25日号

  • オオカメノキの芽吹き

    照井 麻美(津南星空写真部)

     日中との寒暖差がまだまだ厳しい5月、田植えで体調を崩されていないでしょうか。
     5月も終わりを迎えますが、山の上の方ではまだまだ雪が残る場所もあり、新緑の美しさとエネルギッシュな芽吹きを見ることができます。
     今回は芽吹いたばかりのオオカメノキをご紹介します。
     オオカメノキは森の中でよく見られ、名前の通り、亀の甲羅のような手のひらより少し小さめの丸々とした葉が特徴です。
     ブナ林で春を告げる葉としても有名で、コロンと丸く小さな新葉はまだまだ小さく親指大のかわいらしいサイズです。
     所々大きくなった葉は500円玉くらいのものもあり、木漏れ日が差し込むと葉脈がくっきりと浮かび上がりとても美しいです。
     私はこんな美しい自然が身近にあるこの地域がとても好きで、特に春は動植物と同じようにワクワクする季節です。
    他にも山の中にはイワカガミやコブシなどの美しい花々も咲き誇るようになりました。
     ぜひこの季節に、近くにある野山を歩いてみてはいかがでしょうか。

    2024年5月25日号

  • アメリカン風スタイルで賑わい

    人気のミニカー千台余、清水さん夫妻

    十日町市木落『MC★BASE』

     アメリカン風ベーシックミニカーがズラリ―。ミニカーの世界的ブランド『ホット・ウィール』を中心にアメリカン雑貨を展示販売する『MC★BASE(エムシーベース)』が人気を呼んでいる。十日町市木落集落の奥まった場所にある店内には60年代のアメリカンダイナー(大衆食堂)風の休憩室を設けてある。オーナーの建築士・清水弘幸さん(46)は「雰囲気を味わいに気軽に足を運んでほしい。憩いの場、交流の場になれば」と地域活性化の核にしていきたい考えだ。

    2024年5月25日号

  • 形骸化する選挙運動期間

     選挙は住民・有権者の思いがストレートに出る場だ。直近の選挙、栄村長選も、その結果が住民の思いだ。有権者数1200人余の、まさに「顔が見える1票」、「浮動票がない選挙」だが、その1票の重みは国政全国区の1票と同じだ。
     その告示当日、応援に来た県議が話した言葉が、選挙というものの核心を突いている。「1票の有権者の顔が見える選挙は、どの選挙も同じ。その顔をしっかり見ているのか、それが当落につながる」。今年、いよいよ衆院選があるのか。新潟新5区、ひょっとすると新潟知事選もあるかも。10ヵ月後には十日町市長選、市議選がある。
     「選挙は民主主義の必要コスト」ともいわれる。選挙は金がかかる、その意味ではない。民意をはかるには様々な手法があるが、ルールに則る選挙は、時間も、人も、費用も、相応のコストがかかる。だが、これなくして民意をストレートに具体化する術は、住民投票以外にはない。住民投票は条例制定から始まり、そのプロセスは多分に思惑が入り込む余地があり、テーマによってはあらぬ結果が出かねない。
     さて、その選挙。最近は期日前投票者が増加し、選挙期間の形骸化が進む。告示のその日から期日前投票ができる。ならば、選挙期間の意味がないのではないか。町村の場合、選挙期間はわずか5日間、市でも7日間しかない。これを選挙運動期間と言うなら、あまりにも市町村有権者をバカにしている。期日前投票の判断基準は何か。告示前にすでに投票先を決めていることは、そもそも選挙運動期間が不要ということか。まさに形骸化する選挙運動だ。
     かつて、公職選挙法は「立会演説会」開催を規定していた。それもない今の選挙は、何が投票の基準なのか、大いなる疑問を抱く。モヤモヤ感を抱きつつ、あるであろう衆院選、知事選、さらに市長選、市議選、どうする有権者だが、選挙のあり方を考える時だ。

    2024年5月25日号

  • 『古道』トレラン、広がる連携

    松代中学48人が運営スタッフ協力

    まつだい春の陣 第2回来月2日

     里山でかつて暮らしに欠かせない生活道だった『古道』を再活用したトレイルランニングコースを作り、昨年初開催の『越後まつだい春の陣』(新坂志保里実行委員長)。その取り組みは全国で注目を集め「スポーツ文化ツーリズムアワード2023」で最高賞のひとつ「スポーツツーリズム賞」を獲得。第2回は6月2日に開き、外国人含め4百人以上の出場を見込んでいる。今回は新たに、地元の松代中学(村山裕之校長、48人)が大会運営に協力するなど、より地域を巻き込んだ動きとなり、地域活力アップに一役買っている。

    2024年5月18日号

  • 中干しオフセット始動

    津南町とフェイガ―社連携協定

    水田7㌶で実証

     中干し期間延長でCO2(二酸化炭素)削減、環境配慮と農業者の新たな収入増の可能性に関心が集まる、昨年から農水省が取り組み開始の「水稲栽培における中干し期間延長のJクレジット制度」。津南町は同制度積極導入をねらいに、農業者のカーボンクレジット利用を支援する企業『株式会社フェイガー』(石崎貴紘代表、東京・港区)と16日、包括連携協定を締結。現在は町内の2農業法人(株式会社満作、株式会社えん)と1個人農家が中干しカーボーンクレジットに取り組む。同日は取り組み現場を桑原町長や石崎代表が訪ね、田植え作業を視察した。今年の実証を経て、さらに町内での取り組み拡大を図る方針だ。

    2024年5月18日号

  • 『夫が作ったこの家、思いがいっぱいです』

    北野一美さん(1941年生まれ)

     これは「我が一代記」だ。生まれ育った山梨から新潟・川西へ。親戚、友だちが一人もいない地での生活は、まさに「無我夢中」の人生だった。

     役場にも
    農協にも、
    商工会にも
    断られたと劇団制作の女性が訪ねて来た。ミュージカル劇団公演の思いを聞き、
    「よし、やってみよう」
    と決めた『ふ
    るさときゃらばん』川西町公演は、28年前の1995年。親戚も友だちも、誰一人知らない地に来た時の、当時の自分と重なった。
     公演費用260万円、千人の観客が必要。合併前の川西町人口は8千人余。「あの時、商工会女性部長でした。会員に川西町のイメージカラーをアンケートで聞いたんですが、灰色、黒など暗いイメージばかり」。
     そこで、「元気が出ることをやろうと声を掛け、それが劇団公演。1人1万円出資を広げ、その輪が広がって1枚3千円のチケットが千2百枚売れたんです」。劇団公演に取り組んだメンバーの『熱』を次につなげようと、旗揚げした町民劇団「かわにし夢きゃらばん」は今も続く。

    2024年5月18日号