六月のオピニオン担当では沖縄戦のことを書いた。そして八月六日は広島、九日は長崎に原爆が投下された。十五日は敗戦の日。いずれも七十九年前。特別な行動をするわけでもない。
かつては平和集会に出かけたり、署名運動に参加したりもしたが、昨今は何ら行動していないのを面目ない思いでいる。只々、毎年毎年、鎮魂の思いで八月の日々を書き続けている。
私が何をしなくても各地で鎮魂の供養を一年一年続けていくうちに、七十九年は『戦』のない世の中が続いている。戦争体験世代が少なくなっていくのは自明の理だが、精いっぱい『戦』はだめだ、と言い続けることを止めてはならないと強く思っている。
いろんな形で記録は積み重なっていく。時の政府に都合が悪くても、報道されなくても、新聞記事として、映画や文学・音楽・演劇あらゆる手段で記録は残される。
残された記録を次の世代がどう学び、どう生かして行くのかが問われる。
体験した者として、折に触れて書き残し、語り継いだつもりだが、どこまで伝わったのだろう。
戦火の中を逃げまどい、幸い生き残った我々も、戦地で無念の死を迎えた父たちも、願ったことはただ一つ『戦』の無い世の中に一日も早くなってほしいと願っただけだった。
欲望を言い募るときりがないが、ただただ、穏やかな日々が続くことだけだった。ささやかで健気な願いだ。それでいて、とてつもなく大変な願いであることがよくわかる。
いまも大きな戦争が世界中に少なくない。皆どうして? なぜ止められない? と思っているのに、エスカレートしている。世の中は高度に進化し、便利な世の中になっているはずなのに、どんどん悪くなっていくのは何故?
朝ドラを見ている。新しい憲法が発布され、今日よりは明日、よりよい日になるような気がしていた時代。自分の来し方とダブる。ささやかな喜びを見つけては、幸せを実感していた。無いない尽くしの日々、思いがけず手に入ったキャラメルを娘さんと、大切に大切に味わうシーンで、宝石でも扱うがごとき幸せな表情、よくわかる。
なんでも比較的たやすく手に入る現代では味わえない本当の幸せかも!
細やかで健気な幸せは、一人一人がしっかり守り育てて、少しずつお隣にひろげていくしか無いのかもしれない。
2024年8月10日号
とある場所での撮影だが、良くこんな木の上にそれもあちこちに上手く巣を作るもんだと感心する。
アオサギの他にもカワウの巣が急斜面のあちこちにあって、よくこんな足場の無いようなところに巣が作れるもんだと思わず感心するほどです。
けど、これだけ狭い場所に巣を作るとなると巣作りの時の場所争いがあちこち勃発してもおかしくないような気もしますよ。
巣材を隣の巣から巣の持ち主が居ない時にちょっと黙って頂いたりと…あるいは急斜面だから上から落ちてきた枝を巣材にできるし、とにかくにぎやかな団地になっています。
2024年8月10日号
地域に残る「空き家」。活用できれば資源、危険度が増せば防災面から警戒が必要になるのが現状。今年4月から「相続登記」が法律で義務化されたが、 所有者不明の土地や家は増加傾向にある。十日町市は所有者がいない略式代執行4棟、所有者判明の行政代執行3棟の計7棟を解体、撤去した。両代執行を合わせると費用は約3千万円。うち行政代執行の費用回収は3割程度。所有者がいない略式代執行は費用回収するめどがたっていないのが実情だ。津南町は代執行は行っていないが、放置空き家対策に初めて空き家除去費用補助制度(上限30万円)を整備し申込みを開始。一方、栄村は空き家バンク登録利用が多く移住者増に結びついている。高齢化、後継者不在に悩む中山間地にとって空き家問題対処は急務になっている。
2024年8月10日号
十日町を拠点として、着ることがなくなった不要な着物をスーツなどに生まれ変わらせ、ファッションショーで披露し販売など行っているデザイナー・杉浦充宜さん(34、十日町市上野)。東京で積み上げてきたキャリアを一度捨て、十日町の地での暮らしを選んだ。今年1月に自身のスタジオ「Mitsuyoshi Design Studio」を設立。
デザイナーとして積極活動。立ち上げてわずか半年で活躍の場を十日町から新潟に広げ、「今の目標は最高峰のパリでファッションショーを行うことです」。夢ではなく、明確な目標としてより鮮明な道筋を見据えている。
2024年8月10日号
先週3日の新聞各紙に注目した。前日2日、この国の政府の「地震調査研究推進本部」(地震本部)が公表した日本海・新潟県上越沖から兵庫県北方沖にかけての海域活断層の「長期評価」を初公表し、各新聞が翌日報じた。県紙・新潟日報トップ見出し「上越沖M8の断層帯」が衝撃的だ。地震本部のねらいは「前倒し公表で自治体の速やかな防災対策に活用するため」とし、この中では関心が高い地震発生率は評価せず、来年中頃に公表する方針だ。
柏崎刈羽原発の中越沖は今回の公表には含まれず、今後公表としているが、隣接地に存在する海域活断層の評価は、大きな意味を持つ。
公表の海域活断層は、これまでに公表されている範囲内で新たな活断層は含まれていない。だが、地震本部は「断層の有無が確認できていない場所がある」として、今回公表の活断層が全てではないとしている点に注目したい。
さらに中越沖、下越沖も今後公表されるが、最大の関心事は中越沖の海域活断層だろう。同じ2日に原子力規制委員会は日本原電(日本原子力発電)の敦賀原発の重要施設が活断層の上にあり、国の新基準で原発設置を禁じている事項に該当し、「審査不適合」を示し、事実上、敦賀原発の運転不許可を出した。
この事実は大きく、今後公表される中越沖の海域活断層の存在が明らかになり、それが柏崎刈羽原発に影響する場所となると、事はさらに重要局面を向えることになる。
これまで手薄だった日本海の海域活断層の調査が、ようやく表に出るようになり、これが世界最大級の原発、柏崎刈羽原発の存在に大きく影響していくことが想定される。地震本部が今回公表した意図を再度考えたい。『速やかな防災対策に…』、さらに『断層の有無が確認できていない場所がある』、ここに自治体、住民の防災意識を集中する必要がある。これも待ったなしだ。
2024年8月10日号
「小学校統合は、3年後の令和9年(2027)4月、遅くても入学者が激減する前の5年後の令和11年(2029)の方向で進めたい」。桑原悠町長は町内3小学校を津南小に1校化し、新しい統合小学校とする方針を初めて明かした。今年5月に上郷小と芦ヶ崎小保護者、さらに校区の保育園保護者のアンケートで6割以上が「統合を検討すべき」の結果、さらに「できるだけ早く」の意見を踏まえての決断を、先月29日は上郷小保護者、31日は芦ヶ崎小保護者を対象にした懇談会で示した。
2024年8月3日号
「音楽を楽しんで、元気になろう」。昭和23、24年生まれの6人組・親父バンドが先月20日、ラポート十日町で「真夏の夜の夢」をテーマにベンチャーズなど30曲余をノリノリで演奏し会場を盛り上げた。
2024年8月3日号
『社会に出て、孤独を感じたり、つまずいた時、近くの楽団に足を運んでみなさい。楽器があれば、どこにいても、つながることができるから』。
六日町高校3年の時、吹奏楽部の外部講師で指導してくれた魚沼吹奏楽団の指揮者の人が、卒業の時、送り出してくれた言葉だ。「いま、この言葉を実感しています」。
吹奏楽との出会いは十日町中学入学の時。小学時代に音楽部でクラリネットを演奏していた友だちが、中学で同じ吹奏楽部に入り、「私もクラリネットを…」と同じ楽器を選んだ。当時の部員は50人ほどの大所帯。この年に赴任してきた指導の音楽教諭は厳しかった。
「とにかく怖かったです。ですから余計なことなど考えず、私たちにとっては恐怖の対象ですから、みんなで団結して頑張ろうと、部活、部活の毎日でした」。そのチームワークが奏功し3年の時、十中は県大会を勝ち抜き、5年ぶりの西関東大会に出場。だが、この県大会では忘れられない思い出がある。
練習では一度もしたことがないタイプのミスをした。「曲の最初の方でクラリネットパートだけの部分があり、私は音を外してしまいました。明らかに分かるミスです。でもその後、メンバーみんなが何もなかったかのように、普段通りの良い演奏をしてくれました。いまもその時のことは鮮明に覚えています」。練習を通じても初めての痛恨のミスだった。だが結果は西関東出場。「ほんとに忘れられない、あの日、あの時です」。
高校進学。ここでも出会いが待っていた。進学先を考えていた中3の5月の連休。六日町高校吹奏楽部の定期演奏会があった。聴きに行くと、そこに十中時代の吹奏楽部の先輩の姿が。真っ白なブレザーに蝶ネクタイ姿で、ユーフォニュームを奏でていた。「なんて、かっこいいんだ」、進学先を決める大きな出会いだった。その年の秋には六高・吹奏楽部のクラリネットパートがアンサンブルコンテストで西関東大会出場を決め、「六高」に進学先を決めた。
「六高に入って、山を越えるとなにかが違う、そんな雰囲気を感じる時もありました」。だが、あの先輩の姿を追いかけ、すぐに吹奏楽部に入る。新たな環境での高校生活は、学業と部活の両立を迫られた。
1年の時、練習のし過ぎで腕に炎症を起し、1ヵ月ほど休部。「やめようかとも思いましたが、仲間に救われました」。休部中に県大会があり親が聴きに連れて行ってくれた。その日の夜、部活の友だちから『明日の部活に来なよ』と一本のメール。翌日部活に行くと、いつものように迎え入れてくれ、その1ヵ月後には、西関東大会に仲間たちと出場した。
転機はさらに来た。2年の冬。メンタル的に「もうやめよう」と思い詰めた時、自分の中で声が聞こえた。『仲間や顧問が悲しむだろうな。辞めたらきっと後悔するだろうなぁ』。いや、人のためにしているんじゃない、自分はどうなんだ? もう一人の自分の声が。『好きでいいんだ、やっぱり好きなんだ』。クラリネットへの自分の素直な気持ちに気がついた。
20歳の時、十日町市民吹奏楽団に正式入団。高校3年の時から市吹から声がかかり演奏会には参加していた。当時クラリネットは1人、いまでは9人まで増えている。「クラリネットは木管ですから、あったかい、丸い音です。音域が広く、伴奏もメロディーもできます。曲によっていろいろな役割を見せる楽器で、とても奥深いです。自分はクラリネットが好きなんだと、改めて最近感じています」。
六高の外部講師の言葉が、最近、実感としてよみがえる。「本当にそうだなぁと思います。音楽の力でしょうか、助けられています」。
▼バトンタッチします。
早川紅音さん
2024年8月3日号
新聞拾い読み。国外では米トランプ共和党大統領候補狙撃事件、それに続く現職バイデン大統領の民主党大統領候補辞退、パリオリンピック開催、国内に目を転じれば佐渡金山の世界文化遺産登録決定、地元では大地の芸術祭第9回展開催、と先月は各紙の一面をにぎわす様々なできことがありました。
米バイデン大統領の立候補辞退は一部で予想はされていたとはいえ、驚きました。事実上後継指名されたハリス副大統領は副大統領としての実績のなさが懸念されていましたが、その後民主党の有力者が次々と支持を表明し、候補者としてほぼ確定です。アメリカでは大統領を選ぶ過程で対立候補をバカ呼ばわりし、下品な演説をする人(個人の感想です)でも候補者として選ばれます。
地球を何回も破滅させるだけの核の発射ボタンを手にするかもしれない人が、小学生レベルの罵り合いを繰り広げるのは、まったく理解に苦しみます。
そしてさらに驚くのが、あのような国を二分するような大騒ぎを何ヵ月も続ける大統領選挙の投票率はせいぜい60%なんだそうです。日本と違い、投票するには自ら登録しなければならない制度のせいでしょうか。
それはさておき、ハリスと聞いた瞬間「ハリスの旋風(かぜ)」を思い出した御同輩は多かろうと思います(笑)。ハリスの旋風の国松少年のような猛進ぶりを発揮して風を起こし、アメリカ大統領まで上り詰めるか、大いに見ものです。
かたや日本の地方議会でのこと。せこい話といわないでほしい。日本人はここまで劣化してしまったのかと嘆くばかりです。宮城県の某町議会、校外学習で議会見学に来た小学生の感想文から、議事進行中にスマホゲームをしていたのがバレ、辞職勧告を受けて議員辞職したという話。その議員が筆者とほぼ同年配というのも更に驚きました。
いい年をして議事進行中にスマホゲームとは!まったく情けない限りです。おそらくいつもやっているので何の気もなくスマホに手を伸ばしてしまったのでしょう。
地方議会の議案は事前に委員会などで結論が出ていることが多く、スマホを見ていようが、居眠りしていようが、質問者以外は採決の時に意思表示できれば仕事になる?
ついスマホを見てしまうスマホ依存症は高齢世代にも広がっているようです。筆者も用もないのにスマホを見てしまうことがあるので、要注意。家族との食事中についスマホに手を伸ばしている読者の皆様、スマホ依存症は決して他人事ではありません。
2024年8月3日号
真夏、暑さでへばっている多くの植物を尻目に一際元気なのがクズである。道端や林縁などで我が物顔で蔓を伸ばしている。
繁殖力旺盛なこの蔓草は、人にとって厄介者だが、有用な存在でもある。
春先の若芽は山菜として。採っても採っても芽出してくるから長く利用できる。
梅雨時に成長した新蔓からは、光沢のある繊維が採れる。武士の裃や着物などの生地となった。
葉は牛馬の栄養たっぷりの飼料。乾燥させたものは藁などとの物々交換品であった。
夏に咲く花(写真)は薬に。乾燥品を煎じて服用すれば二日酔いに効く。肥満防止成分も含まれている。
秋、木質化した蔓はテゴなど物入れの材料に。縄の代用として冬囲い時などに利用された。
冬、地下茎には良質なデンプンが貯蔵される。「葛粉」である。細かく刻んで乾燥させたものが「葛根」で漢方薬に配合されている。
人の暮らしと深く結びついてきたクズだが、この先関係はどうなっていくのやら…。
2024年8月3日号
六月のオピニオン担当では沖縄戦のことを書いた。そして八月六日は広島、九日は長崎に原爆が投下された。十五日は敗戦の日。いずれも七十九年前。特別な行動をするわけでもない。
かつては平和集会に出かけたり、署名運動に参加したりもしたが、昨今は何ら行動していないのを面目ない思いでいる。只々、毎年毎年、鎮魂の思いで八月の日々を書き続けている。
私が何をしなくても各地で鎮魂の供養を一年一年続けていくうちに、七十九年は『戦』のない世の中が続いている。戦争体験世代が少なくなっていくのは自明の理だが、精いっぱい『戦』はだめだ、と言い続けることを止めてはならないと強く思っている。
いろんな形で記録は積み重なっていく。時の政府に都合が悪くても、報道されなくても、新聞記事として、映画や文学・音楽・演劇あらゆる手段で記録は残される。
残された記録を次の世代がどう学び、どう生かして行くのかが問われる。
体験した者として、折に触れて書き残し、語り継いだつもりだが、どこまで伝わったのだろう。
戦火の中を逃げまどい、幸い生き残った我々も、戦地で無念の死を迎えた父たちも、願ったことはただ一つ『戦』の無い世の中に一日も早くなってほしいと願っただけだった。
欲望を言い募るときりがないが、ただただ、穏やかな日々が続くことだけだった。ささやかで健気な願いだ。それでいて、とてつもなく大変な願いであることがよくわかる。
いまも大きな戦争が世界中に少なくない。皆どうして? なぜ止められない? と思っているのに、エスカレートしている。世の中は高度に進化し、便利な世の中になっているはずなのに、どんどん悪くなっていくのは何故?
朝ドラを見ている。新しい憲法が発布され、今日よりは明日、よりよい日になるような気がしていた時代。自分の来し方とダブる。ささやかな喜びを見つけては、幸せを実感していた。無いない尽くしの日々、思いがけず手に入ったキャラメルを娘さんと、大切に大切に味わうシーンで、宝石でも扱うがごとき幸せな表情、よくわかる。
なんでも比較的たやすく手に入る現代では味わえない本当の幸せかも!
細やかで健気な幸せは、一人一人がしっかり守り育てて、少しずつお隣にひろげていくしか無いのかもしれない。
2024年8月10日号
とある場所での撮影だが、良くこんな木の上にそれもあちこちに上手く巣を作るもんだと感心する。
アオサギの他にもカワウの巣が急斜面のあちこちにあって、よくこんな足場の無いようなところに巣が作れるもんだと思わず感心するほどです。
けど、これだけ狭い場所に巣を作るとなると巣作りの時の場所争いがあちこち勃発してもおかしくないような気もしますよ。
巣材を隣の巣から巣の持ち主が居ない時にちょっと黙って頂いたりと…あるいは急斜面だから上から落ちてきた枝を巣材にできるし、とにかくにぎやかな団地になっています。
2024年8月10日号
地域に残る「空き家」。活用できれば資源、危険度が増せば防災面から警戒が必要になるのが現状。今年4月から「相続登記」が法律で義務化されたが、 所有者不明の土地や家は増加傾向にある。十日町市は所有者がいない略式代執行4棟、所有者判明の行政代執行3棟の計7棟を解体、撤去した。両代執行を合わせると費用は約3千万円。うち行政代執行の費用回収は3割程度。所有者がいない略式代執行は費用回収するめどがたっていないのが実情だ。津南町は代執行は行っていないが、放置空き家対策に初めて空き家除去費用補助制度(上限30万円)を整備し申込みを開始。一方、栄村は空き家バンク登録利用が多く移住者増に結びついている。高齢化、後継者不在に悩む中山間地にとって空き家問題対処は急務になっている。
2024年8月10日号
十日町を拠点として、着ることがなくなった不要な着物をスーツなどに生まれ変わらせ、ファッションショーで披露し販売など行っているデザイナー・杉浦充宜さん(34、十日町市上野)。東京で積み上げてきたキャリアを一度捨て、十日町の地での暮らしを選んだ。今年1月に自身のスタジオ「Mitsuyoshi Design Studio」を設立。
デザイナーとして積極活動。立ち上げてわずか半年で活躍の場を十日町から新潟に広げ、「今の目標は最高峰のパリでファッションショーを行うことです」。夢ではなく、明確な目標としてより鮮明な道筋を見据えている。
2024年8月10日号
先週3日の新聞各紙に注目した。前日2日、この国の政府の「地震調査研究推進本部」(地震本部)が公表した日本海・新潟県上越沖から兵庫県北方沖にかけての海域活断層の「長期評価」を初公表し、各新聞が翌日報じた。県紙・新潟日報トップ見出し「上越沖M8の断層帯」が衝撃的だ。地震本部のねらいは「前倒し公表で自治体の速やかな防災対策に活用するため」とし、この中では関心が高い地震発生率は評価せず、来年中頃に公表する方針だ。
柏崎刈羽原発の中越沖は今回の公表には含まれず、今後公表としているが、隣接地に存在する海域活断層の評価は、大きな意味を持つ。
公表の海域活断層は、これまでに公表されている範囲内で新たな活断層は含まれていない。だが、地震本部は「断層の有無が確認できていない場所がある」として、今回公表の活断層が全てではないとしている点に注目したい。
さらに中越沖、下越沖も今後公表されるが、最大の関心事は中越沖の海域活断層だろう。同じ2日に原子力規制委員会は日本原電(日本原子力発電)の敦賀原発の重要施設が活断層の上にあり、国の新基準で原発設置を禁じている事項に該当し、「審査不適合」を示し、事実上、敦賀原発の運転不許可を出した。
この事実は大きく、今後公表される中越沖の海域活断層の存在が明らかになり、それが柏崎刈羽原発に影響する場所となると、事はさらに重要局面を向えることになる。
これまで手薄だった日本海の海域活断層の調査が、ようやく表に出るようになり、これが世界最大級の原発、柏崎刈羽原発の存在に大きく影響していくことが想定される。地震本部が今回公表した意図を再度考えたい。『速やかな防災対策に…』、さらに『断層の有無が確認できていない場所がある』、ここに自治体、住民の防災意識を集中する必要がある。これも待ったなしだ。
2024年8月10日号
「小学校統合は、3年後の令和9年(2027)4月、遅くても入学者が激減する前の5年後の令和11年(2029)の方向で進めたい」。桑原悠町長は町内3小学校を津南小に1校化し、新しい統合小学校とする方針を初めて明かした。今年5月に上郷小と芦ヶ崎小保護者、さらに校区の保育園保護者のアンケートで6割以上が「統合を検討すべき」の結果、さらに「できるだけ早く」の意見を踏まえての決断を、先月29日は上郷小保護者、31日は芦ヶ崎小保護者を対象にした懇談会で示した。
2024年8月3日号
「音楽を楽しんで、元気になろう」。昭和23、24年生まれの6人組・親父バンドが先月20日、ラポート十日町で「真夏の夜の夢」をテーマにベンチャーズなど30曲余をノリノリで演奏し会場を盛り上げた。
2024年8月3日号
『社会に出て、孤独を感じたり、つまずいた時、近くの楽団に足を運んでみなさい。楽器があれば、どこにいても、つながることができるから』。
六日町高校3年の時、吹奏楽部の外部講師で指導してくれた魚沼吹奏楽団の指揮者の人が、卒業の時、送り出してくれた言葉だ。「いま、この言葉を実感しています」。
吹奏楽との出会いは十日町中学入学の時。小学時代に音楽部でクラリネットを演奏していた友だちが、中学で同じ吹奏楽部に入り、「私もクラリネットを…」と同じ楽器を選んだ。当時の部員は50人ほどの大所帯。この年に赴任してきた指導の音楽教諭は厳しかった。
「とにかく怖かったです。ですから余計なことなど考えず、私たちにとっては恐怖の対象ですから、みんなで団結して頑張ろうと、部活、部活の毎日でした」。そのチームワークが奏功し3年の時、十中は県大会を勝ち抜き、5年ぶりの西関東大会に出場。だが、この県大会では忘れられない思い出がある。
練習では一度もしたことがないタイプのミスをした。「曲の最初の方でクラリネットパートだけの部分があり、私は音を外してしまいました。明らかに分かるミスです。でもその後、メンバーみんなが何もなかったかのように、普段通りの良い演奏をしてくれました。いまもその時のことは鮮明に覚えています」。練習を通じても初めての痛恨のミスだった。だが結果は西関東出場。「ほんとに忘れられない、あの日、あの時です」。
高校進学。ここでも出会いが待っていた。進学先を考えていた中3の5月の連休。六日町高校吹奏楽部の定期演奏会があった。聴きに行くと、そこに十中時代の吹奏楽部の先輩の姿が。真っ白なブレザーに蝶ネクタイ姿で、ユーフォニュームを奏でていた。「なんて、かっこいいんだ」、進学先を決める大きな出会いだった。その年の秋には六高・吹奏楽部のクラリネットパートがアンサンブルコンテストで西関東大会出場を決め、「六高」に進学先を決めた。
「六高に入って、山を越えるとなにかが違う、そんな雰囲気を感じる時もありました」。だが、あの先輩の姿を追いかけ、すぐに吹奏楽部に入る。新たな環境での高校生活は、学業と部活の両立を迫られた。
1年の時、練習のし過ぎで腕に炎症を起し、1ヵ月ほど休部。「やめようかとも思いましたが、仲間に救われました」。休部中に県大会があり親が聴きに連れて行ってくれた。その日の夜、部活の友だちから『明日の部活に来なよ』と一本のメール。翌日部活に行くと、いつものように迎え入れてくれ、その1ヵ月後には、西関東大会に仲間たちと出場した。
転機はさらに来た。2年の冬。メンタル的に「もうやめよう」と思い詰めた時、自分の中で声が聞こえた。『仲間や顧問が悲しむだろうな。辞めたらきっと後悔するだろうなぁ』。いや、人のためにしているんじゃない、自分はどうなんだ? もう一人の自分の声が。『好きでいいんだ、やっぱり好きなんだ』。クラリネットへの自分の素直な気持ちに気がついた。
20歳の時、十日町市民吹奏楽団に正式入団。高校3年の時から市吹から声がかかり演奏会には参加していた。当時クラリネットは1人、いまでは9人まで増えている。「クラリネットは木管ですから、あったかい、丸い音です。音域が広く、伴奏もメロディーもできます。曲によっていろいろな役割を見せる楽器で、とても奥深いです。自分はクラリネットが好きなんだと、改めて最近感じています」。
六高の外部講師の言葉が、最近、実感としてよみがえる。「本当にそうだなぁと思います。音楽の力でしょうか、助けられています」。
▼バトンタッチします。
早川紅音さん
2024年8月3日号
新聞拾い読み。国外では米トランプ共和党大統領候補狙撃事件、それに続く現職バイデン大統領の民主党大統領候補辞退、パリオリンピック開催、国内に目を転じれば佐渡金山の世界文化遺産登録決定、地元では大地の芸術祭第9回展開催、と先月は各紙の一面をにぎわす様々なできことがありました。
米バイデン大統領の立候補辞退は一部で予想はされていたとはいえ、驚きました。事実上後継指名されたハリス副大統領は副大統領としての実績のなさが懸念されていましたが、その後民主党の有力者が次々と支持を表明し、候補者としてほぼ確定です。アメリカでは大統領を選ぶ過程で対立候補をバカ呼ばわりし、下品な演説をする人(個人の感想です)でも候補者として選ばれます。
地球を何回も破滅させるだけの核の発射ボタンを手にするかもしれない人が、小学生レベルの罵り合いを繰り広げるのは、まったく理解に苦しみます。
そしてさらに驚くのが、あのような国を二分するような大騒ぎを何ヵ月も続ける大統領選挙の投票率はせいぜい60%なんだそうです。日本と違い、投票するには自ら登録しなければならない制度のせいでしょうか。
それはさておき、ハリスと聞いた瞬間「ハリスの旋風(かぜ)」を思い出した御同輩は多かろうと思います(笑)。ハリスの旋風の国松少年のような猛進ぶりを発揮して風を起こし、アメリカ大統領まで上り詰めるか、大いに見ものです。
かたや日本の地方議会でのこと。せこい話といわないでほしい。日本人はここまで劣化してしまったのかと嘆くばかりです。宮城県の某町議会、校外学習で議会見学に来た小学生の感想文から、議事進行中にスマホゲームをしていたのがバレ、辞職勧告を受けて議員辞職したという話。その議員が筆者とほぼ同年配というのも更に驚きました。
いい年をして議事進行中にスマホゲームとは!まったく情けない限りです。おそらくいつもやっているので何の気もなくスマホに手を伸ばしてしまったのでしょう。
地方議会の議案は事前に委員会などで結論が出ていることが多く、スマホを見ていようが、居眠りしていようが、質問者以外は採決の時に意思表示できれば仕事になる?
ついスマホを見てしまうスマホ依存症は高齢世代にも広がっているようです。筆者も用もないのにスマホを見てしまうことがあるので、要注意。家族との食事中についスマホに手を伸ばしている読者の皆様、スマホ依存症は決して他人事ではありません。
2024年8月3日号
真夏、暑さでへばっている多くの植物を尻目に一際元気なのがクズである。道端や林縁などで我が物顔で蔓を伸ばしている。
繁殖力旺盛なこの蔓草は、人にとって厄介者だが、有用な存在でもある。
春先の若芽は山菜として。採っても採っても芽出してくるから長く利用できる。
梅雨時に成長した新蔓からは、光沢のある繊維が採れる。武士の裃や着物などの生地となった。
葉は牛馬の栄養たっぷりの飼料。乾燥させたものは藁などとの物々交換品であった。
夏に咲く花(写真)は薬に。乾燥品を煎じて服用すれば二日酔いに効く。肥満防止成分も含まれている。
秋、木質化した蔓はテゴなど物入れの材料に。縄の代用として冬囲い時などに利用された。
冬、地下茎には良質なデンプンが貯蔵される。「葛粉」である。細かく刻んで乾燥させたものが「葛根」で漢方薬に配合されている。
人の暮らしと深く結びついてきたクズだが、この先関係はどうなっていくのやら…。
2024年8月3日号