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妻有新聞掲載記事一覧

  • 3年後「町内1小学校」に

    芦ヶ崎・上郷統合、新たな「津南小」に

    桑原町長

     「小学校統合は、3年後の令和9年(2027)4月、遅くても入学者が激減する前の5年後の令和11年(2029)の方向で進めたい」。桑原悠町長は町内3小学校を津南小に1校化し、新しい統合小学校とする方針を初めて明かした。今年5月に上郷小と芦ヶ崎小保護者、さらに校区の保育園保護者のアンケートで6割以上が「統合を検討すべき」の結果、さらに「できるだけ早く」の意見を踏まえての決断を、先月29日は上郷小保護者、31日は芦ヶ崎小保護者を対象にした懇談会で示した。

    2024年8月3日号

  • ノリノリ、親父バンドが真夏の夜に

    高校仲間の6人、青春時代に戻って演奏

     「音楽を楽しんで、元気になろう」。昭和23、24年生まれの6人組・親父バンドが先月20日、ラポート十日町で「真夏の夜の夢」をテーマにベンチャーズなど30曲余をノリノリで演奏し会場を盛り上げた。

    2024年8月3日号

  • 「音楽の力、助けられています」

    酒井 彩音さん(1996年生まれ)

     『社会に出て、孤独を感じたり、つまずいた時、近くの楽団に足を運んでみなさい。楽器があれば、どこにいても、つながることができるから』。 
    六日町高校3年の時、吹奏楽部の外部講師で指導してくれた魚沼吹奏楽団の指揮者の人が、卒業の時、送り出してくれた言葉だ。「いま、この言葉を実感しています」。

     吹奏楽との出会いは十日町中学入学の時。小学時代に音楽部でクラリネットを演奏していた友だちが、中学で同じ吹奏楽部に入り、「私もクラリネットを…」と同じ楽器を選んだ。当時の部員は50人ほどの大所帯。この年に赴任してきた指導の音楽教諭は厳しかった。
     「とにかく怖かったです。ですから余計なことなど考えず、私たちにとっては恐怖の対象ですから、みんなで団結して頑張ろうと、部活、部活の毎日でした」。そのチームワークが奏功し3年の時、十中は県大会を勝ち抜き、5年ぶりの西関東大会に出場。だが、この県大会では忘れられない思い出がある。
     練習では一度もしたことがないタイプのミスをした。「曲の最初の方でクラリネットパートだけの部分があり、私は音を外してしまいました。明らかに分かるミスです。でもその後、メンバーみんなが何もなかったかのように、普段通りの良い演奏をしてくれました。いまもその時のことは鮮明に覚えています」。練習を通じても初めての痛恨のミスだった。だが結果は西関東出場。「ほんとに忘れられない、あの日、あの時です」。

     高校進学。ここでも出会いが待っていた。進学先を考えていた中3の5月の連休。六日町高校吹奏楽部の定期演奏会があった。聴きに行くと、そこに十中時代の吹奏楽部の先輩の姿が。真っ白なブレザーに蝶ネクタイ姿で、ユーフォニュームを奏でていた。「なんて、かっこいいんだ」、進学先を決める大きな出会いだった。その年の秋には六高・吹奏楽部のクラリネットパートがアンサンブルコンテストで西関東大会出場を決め、「六高」に進学先を決めた。
     「六高に入って、山を越えるとなにかが違う、そんな雰囲気を感じる時もありました」。だが、あの先輩の姿を追いかけ、すぐに吹奏楽部に入る。新たな環境での高校生活は、学業と部活の両立を迫られた。 
     1年の時、練習のし過ぎで腕に炎症を起し、1ヵ月ほど休部。「やめようかとも思いましたが、仲間に救われました」。休部中に県大会があり親が聴きに連れて行ってくれた。その日の夜、部活の友だちから『明日の部活に来なよ』と一本のメール。翌日部活に行くと、いつものように迎え入れてくれ、その1ヵ月後には、西関東大会に仲間たちと出場した。
     転機はさらに来た。2年の冬。メンタル的に「もうやめよう」と思い詰めた時、自分の中で声が聞こえた。『仲間や顧問が悲しむだろうな。辞めたらきっと後悔するだろうなぁ』。いや、人のためにしているんじゃない、自分はどうなんだ? もう一人の自分の声が。『好きでいいんだ、やっぱり好きなんだ』。クラリネットへの自分の素直な気持ちに気がついた。

     20歳の時、十日町市民吹奏楽団に正式入団。高校3年の時から市吹から声がかかり演奏会には参加していた。当時クラリネットは1人、いまでは9人まで増えている。「クラリネットは木管ですから、あったかい、丸い音です。音域が広く、伴奏もメロディーもできます。曲によっていろいろな役割を見せる楽器で、とても奥深いです。自分はクラリネットが好きなんだと、改めて最近感じています」。
     六高の外部講師の言葉が、最近、実感としてよみがえる。「本当にそうだなぁと思います。音楽の力でしょうか、助けられています」。

    ▼バトンタッチします。
     早川紅音さん

    2024年8月3日号

  • 米国大統領選から我が家のスマホ問題まで、やれやれ

    世の移ろい、嘆き事多し

    村山 朗 (会社員)

     新聞拾い読み。国外では米トランプ共和党大統領候補狙撃事件、それに続く現職バイデン大統領の民主党大統領候補辞退、パリオリンピック開催、国内に目を転じれば佐渡金山の世界文化遺産登録決定、地元では大地の芸術祭第9回展開催、と先月は各紙の一面をにぎわす様々なできことがありました。
     米バイデン大統領の立候補辞退は一部で予想はされていたとはいえ、驚きました。事実上後継指名されたハリス副大統領は副大統領としての実績のなさが懸念されていましたが、その後民主党の有力者が次々と支持を表明し、候補者としてほぼ確定です。アメリカでは大統領を選ぶ過程で対立候補をバカ呼ばわりし、下品な演説をする人(個人の感想です)でも候補者として選ばれます。
     地球を何回も破滅させるだけの核の発射ボタンを手にするかもしれない人が、小学生レベルの罵り合いを繰り広げるのは、まったく理解に苦しみます。
     そしてさらに驚くのが、あのような国を二分するような大騒ぎを何ヵ月も続ける大統領選挙の投票率はせいぜい60%なんだそうです。日本と違い、投票するには自ら登録しなければならない制度のせいでしょうか。
     それはさておき、ハリスと聞いた瞬間「ハリスの旋風(かぜ)」を思い出した御同輩は多かろうと思います(笑)。ハリスの旋風の国松少年のような猛進ぶりを発揮して風を起こし、アメリカ大統領まで上り詰めるか、大いに見ものです。
     かたや日本の地方議会でのこと。せこい話といわないでほしい。日本人はここまで劣化してしまったのかと嘆くばかりです。宮城県の某町議会、校外学習で議会見学に来た小学生の感想文から、議事進行中にスマホゲームをしていたのがバレ、辞職勧告を受けて議員辞職したという話。その議員が筆者とほぼ同年配というのも更に驚きました。 
     いい年をして議事進行中にスマホゲームとは!まったく情けない限りです。おそらくいつもやっているので何の気もなくスマホに手を伸ばしてしまったのでしょう。
     地方議会の議案は事前に委員会などで結論が出ていることが多く、スマホを見ていようが、居眠りしていようが、質問者以外は採決の時に意思表示できれば仕事になる?
     ついスマホを見てしまうスマホ依存症は高齢世代にも広がっているようです。筆者も用もないのにスマホを見てしまうことがあるので、要注意。家族との食事中についスマホに手を伸ばしている読者の皆様、スマホ依存症は決して他人事ではありません。

    2024年8月3日号

  • ク ズ

    中沢 英正(県自然観察保護員)

     真夏、暑さでへばっている多くの植物を尻目に一際元気なのがクズである。道端や林縁などで我が物顔で蔓を伸ばしている。
     繁殖力旺盛なこの蔓草は、人にとって厄介者だが、有用な存在でもある。
     春先の若芽は山菜として。採っても採っても芽出してくるから長く利用できる。
     梅雨時に成長した新蔓からは、光沢のある繊維が採れる。武士の裃や着物などの生地となった。
     葉は牛馬の栄養たっぷりの飼料。乾燥させたものは藁などとの物々交換品であった。
     夏に咲く花(写真)は薬に。乾燥品を煎じて服用すれば二日酔いに効く。肥満防止成分も含まれている。
     秋、木質化した蔓はテゴなど物入れの材料に。縄の代用として冬囲い時などに利用された。
     冬、地下茎には良質なデンプンが貯蔵される。「葛粉」である。細かく刻んで乾燥させたものが「葛根」で漢方薬に配合されている。
     人の暮らしと深く結びついてきたクズだが、この先関係はどうなっていくのやら…。

    2024年8月3日号

  • 『ねぼすけ』、新たな名物に

    無泥どじょう育てる鈴木常治さん

    屋外養殖場増設、露店出店スタート

     『ねぼすけ』。一風変わった名称で、十日町産『どじょう』養殖が始まっている。取り組むのは十日町市中里地域の鈴木常治さん(51、重地)。5年余前から雪国の湧水を活用した無泥どじょうの養殖を開始。今年から少しずつ東京の高級日本料理店などへの出荷がスタート。「まだ始まったばかりです。『ねぼすけ』が十日町名産となり、この地に来れば美味しいどじょうが食べられると言われるようになれば嬉しいですね」。現在は年百㌔余の生産量だが、屋外養殖場を増やし1㌧余の増産を視野に入れる。

    2024年8月3日号

  • 「どうする教育」、3市町村が直面

     十日町市、津南町、栄村は、期せずして同じ課題に直面している。それは教育。表面的には学校再編だが、その取り組みに通底するのは、「どうする教育」だろう。国が規定する6・3・3制など教育行政、教育システムは制度疲労を見せ、その現場では現状に合わない事態が続発している。教育行政は10年後、20年後という表現を多用するが、それはその時の「ご都合」の場合が多い。ここはまさに「教育は百年の計」で、抜本改革が求められる。
     人口千5百人余、年間出生数がひと桁に落ち込んでいる栄村は、2年後の実現をめざし、小中の義務教育課程を一体化する文科省認可・義務教育学校の開校をめざす。人口規模、子の推移から当然の帰結に見える。だが、これまでのプロセスには自治体の大小を超えた「熱い取り組み」がある。自主参加の子育て世代が「未来の子たちに最高の教育環境を創ろう」とワークショップを定期開催。その意見の出し合いがまもなく結実する。
     津南町は保育園再編を通じ小学校再編を視野に入れる。「地元の意見が第一」と今週29日から保育園・小学校エリアを対象に住民説明会・意見交換会を開いている。年間出生数30人前後と1クラスに満たない現状から相当な改革が必要だ。義務教育学校、文科省の教育特区活用で学年を超えた教科授業の導入、特認校で町外通学の受入れなど「実践的な津南町教育」を提唱してほしい。
     中学校再編で課題に直面する十日町市。自治体合併の余波が出ている。児童生徒数は年々減少、地域意識を超えた視点が求められ、それを上回る「教育の質の提唱」が求められる。県立高校との連携、専門教科教諭の相互交流、小中高の一貫教育システムなど、十日町市の規模だから出来る教育改革に果敢に挑んでほしい。
     制度疲労する教育行政。その影響を受ける児童生徒、待ったなしである。

    2024年8月3日号

  • 「再稼働」、不安尽きず

    国説明会で「核のごみはどうする」疑義も

    柏崎刈羽原子力発電所

     東京電力・柏崎刈羽原子力発電所の6、7号機再稼働に向けた動きが強まっている。東電は地元自治体の再稼働同意がないまま4月に異例の核燃料装填を行うなど、再稼働を急ぐ姿勢を見せる。柏崎市や刈羽村は再稼働容認の姿勢だが、重要となるのが立地県の「新潟県の同意」。花角英世知事は「県民に信を問う」姿勢を示し続けている。県主催で柏崎刈羽原発に対しての国の取り組み説明会が半径30㌔圏内(UPZ)7自治体で15日の長岡市から随時開催。2会場目の十日町市は20日に行い、地元はじめ魚沼エリアなどから67人が参集。「未来永劫どうにもならない核のごみを残すことになる。再稼働は絶対にしてはいけない」など、最終処分方法が決まらないままの再稼働を懸念する声が次々と上がった。

    2024年7月27日号

  • 「ヒロシマ」、目を背けない

    妻有中学生18人が平和式典に

     広島と長崎に世界で初めて原爆が落とされて79年。悲惨な原爆被害を学ぼうと20日、原水爆禁止十日町市協議会と十日町市教委は両平和記念式典に参加する中学生らを対象に派遣事前学習会「とおかまち市民楽校」を開いた。今夏、広島を訪ねる生徒たちは「戦争の恐ろしさや平和の大切さについて深く学び、被爆した人たちの思いを多くの人に伝えていきたいです」などと話した。

    2024年7月27日号

  • 「吹奏楽、生活のメリハリに」

    黒島 有彩さん(2002年生まれ)

     続けていることで、感性が増し、気づきと学びがある。小学4年の時、「なんとなく…なんです」、十日町小の吹奏楽部に入る。この『なんとなく』の出会いが、いま仕事以外の生活時間で、大部分を占めている音楽活動、吹奏楽につながっている。十日町高校3年で入った「十日町市
    民吹奏楽団」、早や7年目に入っている。「今年、創立50周年なんです。12月に記念の定期演奏会があります」。

     小学時代は打楽器・パーカッションを担当したが、中学からトロンボ
    ーンに。「体験で吹いたら音が出たんです。よしっ、これをやろうと、すぐに決めまし
    た」。進んだ十日町高校でも迷わず吹奏
    楽部に入り、部活動優先の高校生活。「そうですね、お正月とお盆くらいしか休まず、高校時代は部活、部活でした。
    3年で部活引退後、市吹に入り、そのままずっと続けています」。
     十日町市民吹奏楽団は1974年、十高吹奏楽部卒業生など有志12人で設立。翌年、十日町市消防音楽隊と合流。以降、同校吹奏楽部卒業生や市外から移住の吹奏楽経験者などが入り、今年50周年を向かえている。12月1日には創立50周年記念定期演奏会をホームグラウンドでもある越後妻有文化ホール・段十ろうで開く。
     その50周年を記念し、プロの作曲家・清水大輔氏に「十日町市民吹奏楽団のテーマ曲」を作曲依頼し、12月の記念定期演奏会で初演する計画だ。
     「6月のサマーコンサートの時、清水先生が来られて私たちの演奏を聞き、お話しなどして、市吹のイメージを感じていただきました。どんな曲になるか、いまから楽しみです」。秋には完成し、12月の記念演奏会に向けて練習を重ねる。
     9月には南魚沼市「さわらびホール」で、首都圏のプロ集団「オフトボーン・カルテット」と一緒に演奏する。市吹トロンボーン奏者7人が共演する。「昨年からご一緒させていただいています。プロの方との演奏はとても刺激になります。音の出し方や演奏スタイル、楽曲の感じ方など、技術も感性も参考になりますし、とても良い刺激になります」。同カルテットの知人が妻有地域の中学音楽教師で、その人の仲介などで実現している共演だ。

     川西と松之山の国保診療所の医療事務が日々の業務。ローテーションで両診療所に勤務する。診療所運営を支える医療事務は細部に渡る業務。市吹の活動は仕事とのリセットにもなっている。「そうですね、全く違う
    分野ですから生活のリセットと共に気分転換にもなっています」。市吹は毎週2回のほか各パート練習を積んでいる。
     「私は高校3年から市吹に入りましたが、親子や兄弟、姉妹、祖父と孫など、高校生から70代まで幅広いメンバーですから、面白く、雰囲気ある吹奏楽になっています。私も姉がクラリネットで入っています」。

     先ずは9月22日、さわらびホールでの「オフトボーン・カルテット」との共演。さらに12月1日の創立50周年定期演奏会。「メンバーの人たちとの練習は楽しいです。目標があると気持ちも入りますし、自分の生活のメリハリにもなっていますね」。

    ▼バトンタッチします。
     酒井彩音さん

    2024年7月27日号

  • 3年後「町内1小学校」に

    芦ヶ崎・上郷統合、新たな「津南小」に

    桑原町長

     「小学校統合は、3年後の令和9年(2027)4月、遅くても入学者が激減する前の5年後の令和11年(2029)の方向で進めたい」。桑原悠町長は町内3小学校を津南小に1校化し、新しい統合小学校とする方針を初めて明かした。今年5月に上郷小と芦ヶ崎小保護者、さらに校区の保育園保護者のアンケートで6割以上が「統合を検討すべき」の結果、さらに「できるだけ早く」の意見を踏まえての決断を、先月29日は上郷小保護者、31日は芦ヶ崎小保護者を対象にした懇談会で示した。

    2024年8月3日号

  • ノリノリ、親父バンドが真夏の夜に

    高校仲間の6人、青春時代に戻って演奏

     「音楽を楽しんで、元気になろう」。昭和23、24年生まれの6人組・親父バンドが先月20日、ラポート十日町で「真夏の夜の夢」をテーマにベンチャーズなど30曲余をノリノリで演奏し会場を盛り上げた。

    2024年8月3日号

  • 「音楽の力、助けられています」

    酒井 彩音さん(1996年生まれ)

     『社会に出て、孤独を感じたり、つまずいた時、近くの楽団に足を運んでみなさい。楽器があれば、どこにいても、つながることができるから』。 
    六日町高校3年の時、吹奏楽部の外部講師で指導してくれた魚沼吹奏楽団の指揮者の人が、卒業の時、送り出してくれた言葉だ。「いま、この言葉を実感しています」。

     吹奏楽との出会いは十日町中学入学の時。小学時代に音楽部でクラリネットを演奏していた友だちが、中学で同じ吹奏楽部に入り、「私もクラリネットを…」と同じ楽器を選んだ。当時の部員は50人ほどの大所帯。この年に赴任してきた指導の音楽教諭は厳しかった。
     「とにかく怖かったです。ですから余計なことなど考えず、私たちにとっては恐怖の対象ですから、みんなで団結して頑張ろうと、部活、部活の毎日でした」。そのチームワークが奏功し3年の時、十中は県大会を勝ち抜き、5年ぶりの西関東大会に出場。だが、この県大会では忘れられない思い出がある。
     練習では一度もしたことがないタイプのミスをした。「曲の最初の方でクラリネットパートだけの部分があり、私は音を外してしまいました。明らかに分かるミスです。でもその後、メンバーみんなが何もなかったかのように、普段通りの良い演奏をしてくれました。いまもその時のことは鮮明に覚えています」。練習を通じても初めての痛恨のミスだった。だが結果は西関東出場。「ほんとに忘れられない、あの日、あの時です」。

     高校進学。ここでも出会いが待っていた。進学先を考えていた中3の5月の連休。六日町高校吹奏楽部の定期演奏会があった。聴きに行くと、そこに十中時代の吹奏楽部の先輩の姿が。真っ白なブレザーに蝶ネクタイ姿で、ユーフォニュームを奏でていた。「なんて、かっこいいんだ」、進学先を決める大きな出会いだった。その年の秋には六高・吹奏楽部のクラリネットパートがアンサンブルコンテストで西関東大会出場を決め、「六高」に進学先を決めた。
     「六高に入って、山を越えるとなにかが違う、そんな雰囲気を感じる時もありました」。だが、あの先輩の姿を追いかけ、すぐに吹奏楽部に入る。新たな環境での高校生活は、学業と部活の両立を迫られた。 
     1年の時、練習のし過ぎで腕に炎症を起し、1ヵ月ほど休部。「やめようかとも思いましたが、仲間に救われました」。休部中に県大会があり親が聴きに連れて行ってくれた。その日の夜、部活の友だちから『明日の部活に来なよ』と一本のメール。翌日部活に行くと、いつものように迎え入れてくれ、その1ヵ月後には、西関東大会に仲間たちと出場した。
     転機はさらに来た。2年の冬。メンタル的に「もうやめよう」と思い詰めた時、自分の中で声が聞こえた。『仲間や顧問が悲しむだろうな。辞めたらきっと後悔するだろうなぁ』。いや、人のためにしているんじゃない、自分はどうなんだ? もう一人の自分の声が。『好きでいいんだ、やっぱり好きなんだ』。クラリネットへの自分の素直な気持ちに気がついた。

     20歳の時、十日町市民吹奏楽団に正式入団。高校3年の時から市吹から声がかかり演奏会には参加していた。当時クラリネットは1人、いまでは9人まで増えている。「クラリネットは木管ですから、あったかい、丸い音です。音域が広く、伴奏もメロディーもできます。曲によっていろいろな役割を見せる楽器で、とても奥深いです。自分はクラリネットが好きなんだと、改めて最近感じています」。
     六高の外部講師の言葉が、最近、実感としてよみがえる。「本当にそうだなぁと思います。音楽の力でしょうか、助けられています」。

    ▼バトンタッチします。
     早川紅音さん

    2024年8月3日号

  • 米国大統領選から我が家のスマホ問題まで、やれやれ

    世の移ろい、嘆き事多し

    村山 朗 (会社員)

     新聞拾い読み。国外では米トランプ共和党大統領候補狙撃事件、それに続く現職バイデン大統領の民主党大統領候補辞退、パリオリンピック開催、国内に目を転じれば佐渡金山の世界文化遺産登録決定、地元では大地の芸術祭第9回展開催、と先月は各紙の一面をにぎわす様々なできことがありました。
     米バイデン大統領の立候補辞退は一部で予想はされていたとはいえ、驚きました。事実上後継指名されたハリス副大統領は副大統領としての実績のなさが懸念されていましたが、その後民主党の有力者が次々と支持を表明し、候補者としてほぼ確定です。アメリカでは大統領を選ぶ過程で対立候補をバカ呼ばわりし、下品な演説をする人(個人の感想です)でも候補者として選ばれます。
     地球を何回も破滅させるだけの核の発射ボタンを手にするかもしれない人が、小学生レベルの罵り合いを繰り広げるのは、まったく理解に苦しみます。
     そしてさらに驚くのが、あのような国を二分するような大騒ぎを何ヵ月も続ける大統領選挙の投票率はせいぜい60%なんだそうです。日本と違い、投票するには自ら登録しなければならない制度のせいでしょうか。
     それはさておき、ハリスと聞いた瞬間「ハリスの旋風(かぜ)」を思い出した御同輩は多かろうと思います(笑)。ハリスの旋風の国松少年のような猛進ぶりを発揮して風を起こし、アメリカ大統領まで上り詰めるか、大いに見ものです。
     かたや日本の地方議会でのこと。せこい話といわないでほしい。日本人はここまで劣化してしまったのかと嘆くばかりです。宮城県の某町議会、校外学習で議会見学に来た小学生の感想文から、議事進行中にスマホゲームをしていたのがバレ、辞職勧告を受けて議員辞職したという話。その議員が筆者とほぼ同年配というのも更に驚きました。 
     いい年をして議事進行中にスマホゲームとは!まったく情けない限りです。おそらくいつもやっているので何の気もなくスマホに手を伸ばしてしまったのでしょう。
     地方議会の議案は事前に委員会などで結論が出ていることが多く、スマホを見ていようが、居眠りしていようが、質問者以外は採決の時に意思表示できれば仕事になる?
     ついスマホを見てしまうスマホ依存症は高齢世代にも広がっているようです。筆者も用もないのにスマホを見てしまうことがあるので、要注意。家族との食事中についスマホに手を伸ばしている読者の皆様、スマホ依存症は決して他人事ではありません。

    2024年8月3日号

  • ク ズ

    中沢 英正(県自然観察保護員)

     真夏、暑さでへばっている多くの植物を尻目に一際元気なのがクズである。道端や林縁などで我が物顔で蔓を伸ばしている。
     繁殖力旺盛なこの蔓草は、人にとって厄介者だが、有用な存在でもある。
     春先の若芽は山菜として。採っても採っても芽出してくるから長く利用できる。
     梅雨時に成長した新蔓からは、光沢のある繊維が採れる。武士の裃や着物などの生地となった。
     葉は牛馬の栄養たっぷりの飼料。乾燥させたものは藁などとの物々交換品であった。
     夏に咲く花(写真)は薬に。乾燥品を煎じて服用すれば二日酔いに効く。肥満防止成分も含まれている。
     秋、木質化した蔓はテゴなど物入れの材料に。縄の代用として冬囲い時などに利用された。
     冬、地下茎には良質なデンプンが貯蔵される。「葛粉」である。細かく刻んで乾燥させたものが「葛根」で漢方薬に配合されている。
     人の暮らしと深く結びついてきたクズだが、この先関係はどうなっていくのやら…。

    2024年8月3日号

  • 『ねぼすけ』、新たな名物に

    無泥どじょう育てる鈴木常治さん

    屋外養殖場増設、露店出店スタート

     『ねぼすけ』。一風変わった名称で、十日町産『どじょう』養殖が始まっている。取り組むのは十日町市中里地域の鈴木常治さん(51、重地)。5年余前から雪国の湧水を活用した無泥どじょうの養殖を開始。今年から少しずつ東京の高級日本料理店などへの出荷がスタート。「まだ始まったばかりです。『ねぼすけ』が十日町名産となり、この地に来れば美味しいどじょうが食べられると言われるようになれば嬉しいですね」。現在は年百㌔余の生産量だが、屋外養殖場を増やし1㌧余の増産を視野に入れる。

    2024年8月3日号

  • 「どうする教育」、3市町村が直面

     十日町市、津南町、栄村は、期せずして同じ課題に直面している。それは教育。表面的には学校再編だが、その取り組みに通底するのは、「どうする教育」だろう。国が規定する6・3・3制など教育行政、教育システムは制度疲労を見せ、その現場では現状に合わない事態が続発している。教育行政は10年後、20年後という表現を多用するが、それはその時の「ご都合」の場合が多い。ここはまさに「教育は百年の計」で、抜本改革が求められる。
     人口千5百人余、年間出生数がひと桁に落ち込んでいる栄村は、2年後の実現をめざし、小中の義務教育課程を一体化する文科省認可・義務教育学校の開校をめざす。人口規模、子の推移から当然の帰結に見える。だが、これまでのプロセスには自治体の大小を超えた「熱い取り組み」がある。自主参加の子育て世代が「未来の子たちに最高の教育環境を創ろう」とワークショップを定期開催。その意見の出し合いがまもなく結実する。
     津南町は保育園再編を通じ小学校再編を視野に入れる。「地元の意見が第一」と今週29日から保育園・小学校エリアを対象に住民説明会・意見交換会を開いている。年間出生数30人前後と1クラスに満たない現状から相当な改革が必要だ。義務教育学校、文科省の教育特区活用で学年を超えた教科授業の導入、特認校で町外通学の受入れなど「実践的な津南町教育」を提唱してほしい。
     中学校再編で課題に直面する十日町市。自治体合併の余波が出ている。児童生徒数は年々減少、地域意識を超えた視点が求められ、それを上回る「教育の質の提唱」が求められる。県立高校との連携、専門教科教諭の相互交流、小中高の一貫教育システムなど、十日町市の規模だから出来る教育改革に果敢に挑んでほしい。
     制度疲労する教育行政。その影響を受ける児童生徒、待ったなしである。

    2024年8月3日号

  • 「再稼働」、不安尽きず

    国説明会で「核のごみはどうする」疑義も

    柏崎刈羽原子力発電所

     東京電力・柏崎刈羽原子力発電所の6、7号機再稼働に向けた動きが強まっている。東電は地元自治体の再稼働同意がないまま4月に異例の核燃料装填を行うなど、再稼働を急ぐ姿勢を見せる。柏崎市や刈羽村は再稼働容認の姿勢だが、重要となるのが立地県の「新潟県の同意」。花角英世知事は「県民に信を問う」姿勢を示し続けている。県主催で柏崎刈羽原発に対しての国の取り組み説明会が半径30㌔圏内(UPZ)7自治体で15日の長岡市から随時開催。2会場目の十日町市は20日に行い、地元はじめ魚沼エリアなどから67人が参集。「未来永劫どうにもならない核のごみを残すことになる。再稼働は絶対にしてはいけない」など、最終処分方法が決まらないままの再稼働を懸念する声が次々と上がった。

    2024年7月27日号

  • 「ヒロシマ」、目を背けない

    妻有中学生18人が平和式典に

     広島と長崎に世界で初めて原爆が落とされて79年。悲惨な原爆被害を学ぼうと20日、原水爆禁止十日町市協議会と十日町市教委は両平和記念式典に参加する中学生らを対象に派遣事前学習会「とおかまち市民楽校」を開いた。今夏、広島を訪ねる生徒たちは「戦争の恐ろしさや平和の大切さについて深く学び、被爆した人たちの思いを多くの人に伝えていきたいです」などと話した。

    2024年7月27日号

  • 「吹奏楽、生活のメリハリに」

    黒島 有彩さん(2002年生まれ)

     続けていることで、感性が増し、気づきと学びがある。小学4年の時、「なんとなく…なんです」、十日町小の吹奏楽部に入る。この『なんとなく』の出会いが、いま仕事以外の生活時間で、大部分を占めている音楽活動、吹奏楽につながっている。十日町高校3年で入った「十日町市
    民吹奏楽団」、早や7年目に入っている。「今年、創立50周年なんです。12月に記念の定期演奏会があります」。

     小学時代は打楽器・パーカッションを担当したが、中学からトロンボ
    ーンに。「体験で吹いたら音が出たんです。よしっ、これをやろうと、すぐに決めまし
    た」。進んだ十日町高校でも迷わず吹奏
    楽部に入り、部活動優先の高校生活。「そうですね、お正月とお盆くらいしか休まず、高校時代は部活、部活でした。
    3年で部活引退後、市吹に入り、そのままずっと続けています」。
     十日町市民吹奏楽団は1974年、十高吹奏楽部卒業生など有志12人で設立。翌年、十日町市消防音楽隊と合流。以降、同校吹奏楽部卒業生や市外から移住の吹奏楽経験者などが入り、今年50周年を向かえている。12月1日には創立50周年記念定期演奏会をホームグラウンドでもある越後妻有文化ホール・段十ろうで開く。
     その50周年を記念し、プロの作曲家・清水大輔氏に「十日町市民吹奏楽団のテーマ曲」を作曲依頼し、12月の記念定期演奏会で初演する計画だ。
     「6月のサマーコンサートの時、清水先生が来られて私たちの演奏を聞き、お話しなどして、市吹のイメージを感じていただきました。どんな曲になるか、いまから楽しみです」。秋には完成し、12月の記念演奏会に向けて練習を重ねる。
     9月には南魚沼市「さわらびホール」で、首都圏のプロ集団「オフトボーン・カルテット」と一緒に演奏する。市吹トロンボーン奏者7人が共演する。「昨年からご一緒させていただいています。プロの方との演奏はとても刺激になります。音の出し方や演奏スタイル、楽曲の感じ方など、技術も感性も参考になりますし、とても良い刺激になります」。同カルテットの知人が妻有地域の中学音楽教師で、その人の仲介などで実現している共演だ。

     川西と松之山の国保診療所の医療事務が日々の業務。ローテーションで両診療所に勤務する。診療所運営を支える医療事務は細部に渡る業務。市吹の活動は仕事とのリセットにもなっている。「そうですね、全く違う
    分野ですから生活のリセットと共に気分転換にもなっています」。市吹は毎週2回のほか各パート練習を積んでいる。
     「私は高校3年から市吹に入りましたが、親子や兄弟、姉妹、祖父と孫など、高校生から70代まで幅広いメンバーですから、面白く、雰囲気ある吹奏楽になっています。私も姉がクラリネットで入っています」。

     先ずは9月22日、さわらびホールでの「オフトボーン・カルテット」との共演。さらに12月1日の創立50周年定期演奏会。「メンバーの人たちとの練習は楽しいです。目標があると気持ちも入りますし、自分の生活のメリハリにもなっていますね」。

    ▼バトンタッチします。
     酒井彩音さん

    2024年7月27日号