厳冬期の原発事故、すでに「想定内」

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社説

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 不思議なものだ。年末の連続降雪、小正月前の低温と降雪、だがここ1週間ほど雪降りがない。「雪の苦労を忘れそう」、青空が広がり、長靴以外で道を歩ける、不思議と雪の苦労が薄らいでいく。だが道路脇の雪壁を見れば、すぐに現実に戻される妻有の冬だ。
 雪国は「もし災害が…」を常に考える必要がある。最たるは原発事故だろう。十日町市は30㌔圏UPZに一部が入り、津南町・栄村は50㌔圏だ。きょう25日、新潟県の原発事故避難訓練が十日町市川西地域である。再稼働論議が熱を帯びるなか、厳冬期の原発事故発生は、もはや「想定内」と考えるべきだろう。
 1年前の元日。能登半島地震が発生。甚大な被害、地震の直接犠牲者を災害関連死者数が上回った現実は、発生後の被災者救済の遅れを如実に物語っている。 国の責任は大きい。
 厳冬期の災害は、無雪期とは比較にならない数々の困難な障害を伴い、特に人命を奪う寒さは、それだけで深刻な命の危険性を増す。真冬に原発事故が発生した場合、避難路の確保は限られ、猛吹雪で車が立ち往生する以上に避難車両が集中し、渋滞で動かない車の中に居ること自体が危険で、多大な犠牲者を生み出しかねない深刻事態に陥る。
 柏崎刈羽原発の再稼働を県民投票で決める署名運動が続く。15万を超える見込みの署名の圧力は大きいが、県議会の条例制定可決が大前提だ。県内自治体トップから県民投票実施を期待する声が上がり始めている。十日町市・関口市長もその一人だ。
 新年度予算議会がこれから市町村で始まり、トップの見識・判断が問われる場面が多々あるだろう。花角知事は「信を問う」と再三、その姿勢を見せるが、内心ははかり知れない。だが県民投票が実施されれば、その結果が「県民の意志」と表明するだろう。原発問題は、いよいよ正念場を向かえている。

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