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妻有まるごと博物館一覧

  • 冬鳥イスカ

    南雲 敏夫(県自然観察指導員)

     赤い冬鳥のイスカ、尾根上のアカマツ林などに多く飛来していて、マツボックリなどかいっばい落ちていたらこの鳥がいると考えて良い。
     このイスカの最大の特徴はくちばしが上下に綺麗に合わさっていない事で、先端が大きく交差しています。鳥のくちばしの形もいろいろとありますが先が交差しているのには訳があります。
     この形はマツ類の球果から種子を取り出しやすいように進化したとも言われています。
     オスは真っ赤の体が鮮やかですが、メスはオスに比べたらとても地味な色合い。
     この仲間のベニマシコやオオマシコ、ナキイスカなどはオスは艶やかな赤色、メスは地味な黄褐色系の色合い。大きさは羽を広げると約28センチもあるので大きめに感じますね。
     冬場は他の鳥も一緒にいる事も多くて撮影時にはマヒワの群れやシジュウカラ、ヒガラ、ヤマガラなども近くにいてとても賑やかな状態でした。
     まだ見る事が可能ですので是非アカマツの周辺を捜して見てください。

    2024年2月24日号

  • セツブンソウ

    中沢 英正(県自然観察保護員)

     2月、陽射しにぬくもりを感じるようになると、野草好きの人にとって落ち着かない日々の始まりである。各地から花の便りが聞こえてくるからだ。そんな人たちの琴線をいち早く刺激するのがセツブンソウである。
     花期は早い。2月中旬から3月中旬で、それが名の由来となっている。
     分布は本州の関東以西で、残念ながら苗場山麓では見ることができない。この花に逢いたければ近場でも群馬県、栃木県、埼玉県や長野県の南部まで足を運ぶことになる。
     落葉広葉樹の疎林下で、礫が混じる場所を好む。夏には地上部が枯れてしまうスプリング・エフェメラル(春のはかない命)だ。
     草丈は5~10センチ、小さくて可愛い。花は径2センチほど、白い花びらに見えるのは萼片。花びらはしべを囲むように並ぶ黄色い部分で、先が二裂して蜜腺となる面白い形をしている(写真)。
     温暖化の影響で、新潟県でもいつか自生が見られるようになるのかも…。

    2024年2月17日号

  • 百周年を迎えて

    小林 幸一(津南案内人)

     大正13(1924)年10月、秋山郷電源開発の象徴ともいえる中津川第一発電所が首都圏に向けて送電を開始して今年で百周年を迎えます。
     水力発電所の立地条件には雪解け水を貯える広大な原生林と、何度も発電出来る落差のある地形、まさに苗場山麓ジオパークのエリアが発電の教科書に載っているような適地でした。
     苗場山麓ジオパークガイド部会では昨年から発電所工事で開削された軌道跡や船着き場跡などを巡り、今年は運用開始百周年の記念事業として新たな探索コースを考えています。
     その中でも町の中心部に近い芦ヶ崎の波止場では、護岸や岸に打ち込まれた係留金具や、岩の上で焼かれた燃えカスが、高熱で溶けガラス状のコーティングによって閉じ込められた焼却跡が見つかりました。中には小さな鉄くずやステンレス製の注射針のようなものが閉じ込められて、百年前のタイムカプセルのようです。
     せっかく見つけた痕跡や護岸も大水が出ると流出してしまいます。「苗場山麓の自然に親しむ会」では、一昨年の黒石の波止場の調査に続き、昨年は芦ヶ崎の波止場の現地測量を実施しました。これを機に近代化遺産の保存活動が始まることを期待します。

    2024年2月10日号

  • つらら(氷柱)

    照井 麻美(津南星空写真部)

     春を感じてしまうほど暖かな日がある今年の冬。
     この地域に住むとたくさん雪が降らないでと願う一方、必要以上に少ない積雪だとなにか物足りなさを感じてしまい、心のどこかで雪を期待している自分がいます。
     写真は数年前に秋山郷で撮ったものです。
     妻有地域ではつららというより、雪庇の方が多く見かけますが、屋根の融雪用に水を流している所や、川の水しぶきが飛ぶあたりに見かけることがあります。
     幼い頃はゲレンデに遊びに行くと親に怒られながら、小さなつららをキャンディーのようになめていたことを思い出します。
     ちなみに新潟県の上越や田上町ではつららのことを「かねっこり」という方言があるらしい。この地域でもそれ以外の呼び名があるのだろうか。
     また、新潟県から東北にかけて「つらら女・かね」と呼ばれる妖怪の話があるそうで、多くは冬の夜に独身男の家に女が訪ねてきて、寒いだろうとお風呂を進めると女は一向に出てこず、心配になり様子を見に行くと女の姿は消え、湯船に氷のかけらが浮かんでいたという。

    2024年2月3日号

  • カワガラス

    南雲 敏夫(県自然観察指導員)

     鳥の仲間でもっとも早く巣作りをする種で早い親鳥は2月中に開始する。カワガラスは漢字だと「河烏」と書き、渓流の流れに潜水して獲物を狙うカラスと言うが、実際はカラスの仲間ではなくてカワガラス属と言うまったく違う種である。
     確かに遠目で見ると真っ黒に見えるが実際は黒褐色、もちろん水中を歩く事もできると言う、鳥の仲間としては異色の存在。
     餌は主に水生昆虫の幼生や小魚、魚卵などを食べている。
     巣作りは、こちらではまだ冬の時期に始めるが、渓流の岩の隙間や砂防堰堤の穴などを使う。
     秋山郷では砂防堰堤の垂直の壁に空いている穴を使用しているのを見た事があるが、砂防堰堤の垂直の壁ならばヘビなどの一番の天敵を十分に防ぐ事ができると思われる。
     堰堤最初の頃は穴から水が出ていたと思うが、堰堤に土砂が溜まり穴がふさがれて水が出なくなれば絶好の営巣場所に早変わり…自然の要塞に巣を作り子育てするカワガラスの知恵…恐れ入りました。

    2024年1月27日号

  • カワラタケとチャウロコタケ

    中沢 英正(県自然観察保護員)

     森を歩くのは楽しい。冬は観察するものは限られるが嬉しい出会いもある。積雪が少ないと切り株や落枝についたキノコが目につく。
     お気に入りはカワラタケ(写真右)やチャウロコタケ(写真左)。革質のかたい傘を持ち、年中見ることができる。幾重にも重なって生える様子を瓦や鱗に見立てたものだ。
     どちらも白色腐朽菌と呼ばれ、材を白く腐らせる役目を担っている。
     このキノコたちに興味をひかれるのは傘の模様。傘は半円形や扇形で、同心円状に縞模様が入る。カワラタケの傘色は黒が多いが、茶、青、灰、黄などさまざまだ。チャウロコタケの傘は名前の通り茶系統である。双方とも個体によって縞模様に変化があるところが
    面白い。
     傘の模様は単なるおしゃれ…? それとも何か重要な意味が隠されているのだろうか。

    2024年1月20日号

  • 雪上宝探し

    小林 幸一(津南案内人)

     穏やかだった正月も過ぎ、久しぶりの雪がちらつく津南町・割野神社境内で、割野公民館雪上宝さがし大会が賑やかに行われました。雪の多い年は神社の鳥居の下をしゃがんでくぐり参拝することもありましたが、今年は雪が少なく、お宝と引き換えの木札を雪の中に埋めるのも大変です。
     最初は直ぐに見つかり景品と交換しますが、2回目、3回目となるとなかなか見つかりません。最後の木札がなかなか出てこないのでじゃんけん大会で景品を渡して締めくくりました。
     次の子供たちの行事は1月14日の鳥追いです。スゲボウシをかぶり午後4時に割野公民館を出発して集落を回り、かまくらの代わりに公民館でお菓子を食べたりゲームをしたりして過ごします。子供たちに本当のかまくらを体験させてやりたいですが、安全なかまくら作りの伝承も途絶えてきたようです。

    2024年1月13日号

  • 沖ノ原台地と夕日

    照井 麻美(津南星空写真部)

     新年あけましておめでとうございます。
     新年1本目の記事ということで、沖ノ原台地が太陽に照らされまっすぐな台地のシルエットが浮かび上がる一枚を選びました。
     世界有数の豪雪地であるこの地域では、雪が積もり、晴れた冬の日は最高の景色が広がります。
     この辺りで初日の出を見ることはなかなか難しいですが、太陽が山の奥から登り、沖ノ原台地に日が沈んでいくというまた違った味わいの朝を迎えることができるのは住んでいる者の特権と思っています。
     移住5年目を迎え、改めてこの地の素晴らしさに触れ、津南町に住めていることに大変嬉しく思うと同時に移住して間もない頃、心細くなった時に一人散歩に出てこの景色を眺め励まされたことが思い出されます。
     生活に慣れたとはいえ、まだまだ至らぬ点も多いですが、今では多くの方々に支えていただき、楽しく刺激的な毎日を送ることができています。
     壮大な自然をすぐそばに感じるこの地域の暮らしを今年も多くの方に広めていきたいと思っております。
     2024年も皆様にとって良い一年になることをお祈りしております。

    2024年1月6日号

  • ドクササコ

    中沢 英正(県自然観察保護員)

     キノコは古くから利用されてきた食材である。栽培されることも多く、エノキ、シイタケ、マイタケなどは鍋物に欠かせない具材となっている。
     「食」あれば「毒」あるのがキノコの世界。数ある毒キノコの中で絶対に食べたくないのが「ドクササコ」だ。名前からして怪しさがプンプン臭う。
     摂取後の症状が特異だ。手足の末端が赤く腫れ、焼け火箸を押し付けたような激痛に襲われる(末端紅痛症)。恐ろしいのはその痛みが昼夜を問わず一か月ほども続くことである。痛みに耐えかね患部を冷水に浸けてみたがふやけてしまい指先の骨が露出したこともあったという。
     食べてから発症するまでの潜伏期間が一週間ほどと遅い。そのためキノコが原因とはわからず風土病や祟りではと恐れられてきた。
     一見食べられそうな姿が曲者。横から見るとラッパ形で、傘の中央が窪んでいたら要注意である。

    2023年12月23日号

  • 陸の孤島からの脱出

    小林 幸一(津南案内人)

     切明は釜落から47キロに及んだ工事用軌道の終着駅で、中津川第一発電所の魚野川と雑魚川の要の位置にあり、ここから沈砂池を通った発電用水は真っ暗な地下水路に吸い込まれて高野山の貯水池に向かいます。
     写真には建設中の沈砂池と、対岸には宿舎や医者・巡査なども常駐した建物が写っています。
     町外の東電OBが、そのまた先輩から聞いたという昔話ですが、豪雪になると車で町まで向かえない、まさに陸の孤島だった切明発電所で業務にあたっていた職員が急病になり、このままでは人命にかかわると、流量を減らした水路に患者を乗せたボートを浮かべ決死の救出を行ったということです。
     映画「ホワイトアウト」さながらの豪雪地帯からの脱出劇ですが、入ったのは良いがいったい何処で地下水路を出たのか気になります。途中何ヵ所かある横坑のうち、考えられるのは前倉上の横坑から出たのか、高野山のダムまで流れ着き、横根方面から町に向かったのか不明ですが、当時の電力マンの苦労が偲ばれる逸話です。
     さて、厳冬期の秋山郷の工事現場では、何処も陸の孤島のようになりますが、地下水路が人や資材の行きかう動脈のようになっていたのではないでしょうか。

    2023年12月16日号

  • 冬鳥イスカ

    南雲 敏夫(県自然観察指導員)

     赤い冬鳥のイスカ、尾根上のアカマツ林などに多く飛来していて、マツボックリなどかいっばい落ちていたらこの鳥がいると考えて良い。
     このイスカの最大の特徴はくちばしが上下に綺麗に合わさっていない事で、先端が大きく交差しています。鳥のくちばしの形もいろいろとありますが先が交差しているのには訳があります。
     この形はマツ類の球果から種子を取り出しやすいように進化したとも言われています。
     オスは真っ赤の体が鮮やかですが、メスはオスに比べたらとても地味な色合い。
     この仲間のベニマシコやオオマシコ、ナキイスカなどはオスは艶やかな赤色、メスは地味な黄褐色系の色合い。大きさは羽を広げると約28センチもあるので大きめに感じますね。
     冬場は他の鳥も一緒にいる事も多くて撮影時にはマヒワの群れやシジュウカラ、ヒガラ、ヤマガラなども近くにいてとても賑やかな状態でした。
     まだ見る事が可能ですので是非アカマツの周辺を捜して見てください。

    2024年2月24日号

  • セツブンソウ

    中沢 英正(県自然観察保護員)

     2月、陽射しにぬくもりを感じるようになると、野草好きの人にとって落ち着かない日々の始まりである。各地から花の便りが聞こえてくるからだ。そんな人たちの琴線をいち早く刺激するのがセツブンソウである。
     花期は早い。2月中旬から3月中旬で、それが名の由来となっている。
     分布は本州の関東以西で、残念ながら苗場山麓では見ることができない。この花に逢いたければ近場でも群馬県、栃木県、埼玉県や長野県の南部まで足を運ぶことになる。
     落葉広葉樹の疎林下で、礫が混じる場所を好む。夏には地上部が枯れてしまうスプリング・エフェメラル(春のはかない命)だ。
     草丈は5~10センチ、小さくて可愛い。花は径2センチほど、白い花びらに見えるのは萼片。花びらはしべを囲むように並ぶ黄色い部分で、先が二裂して蜜腺となる面白い形をしている(写真)。
     温暖化の影響で、新潟県でもいつか自生が見られるようになるのかも…。

    2024年2月17日号

  • 百周年を迎えて

    小林 幸一(津南案内人)

     大正13(1924)年10月、秋山郷電源開発の象徴ともいえる中津川第一発電所が首都圏に向けて送電を開始して今年で百周年を迎えます。
     水力発電所の立地条件には雪解け水を貯える広大な原生林と、何度も発電出来る落差のある地形、まさに苗場山麓ジオパークのエリアが発電の教科書に載っているような適地でした。
     苗場山麓ジオパークガイド部会では昨年から発電所工事で開削された軌道跡や船着き場跡などを巡り、今年は運用開始百周年の記念事業として新たな探索コースを考えています。
     その中でも町の中心部に近い芦ヶ崎の波止場では、護岸や岸に打ち込まれた係留金具や、岩の上で焼かれた燃えカスが、高熱で溶けガラス状のコーティングによって閉じ込められた焼却跡が見つかりました。中には小さな鉄くずやステンレス製の注射針のようなものが閉じ込められて、百年前のタイムカプセルのようです。
     せっかく見つけた痕跡や護岸も大水が出ると流出してしまいます。「苗場山麓の自然に親しむ会」では、一昨年の黒石の波止場の調査に続き、昨年は芦ヶ崎の波止場の現地測量を実施しました。これを機に近代化遺産の保存活動が始まることを期待します。

    2024年2月10日号

  • つらら(氷柱)

    照井 麻美(津南星空写真部)

     春を感じてしまうほど暖かな日がある今年の冬。
     この地域に住むとたくさん雪が降らないでと願う一方、必要以上に少ない積雪だとなにか物足りなさを感じてしまい、心のどこかで雪を期待している自分がいます。
     写真は数年前に秋山郷で撮ったものです。
     妻有地域ではつららというより、雪庇の方が多く見かけますが、屋根の融雪用に水を流している所や、川の水しぶきが飛ぶあたりに見かけることがあります。
     幼い頃はゲレンデに遊びに行くと親に怒られながら、小さなつららをキャンディーのようになめていたことを思い出します。
     ちなみに新潟県の上越や田上町ではつららのことを「かねっこり」という方言があるらしい。この地域でもそれ以外の呼び名があるのだろうか。
     また、新潟県から東北にかけて「つらら女・かね」と呼ばれる妖怪の話があるそうで、多くは冬の夜に独身男の家に女が訪ねてきて、寒いだろうとお風呂を進めると女は一向に出てこず、心配になり様子を見に行くと女の姿は消え、湯船に氷のかけらが浮かんでいたという。

    2024年2月3日号

  • カワガラス

    南雲 敏夫(県自然観察指導員)

     鳥の仲間でもっとも早く巣作りをする種で早い親鳥は2月中に開始する。カワガラスは漢字だと「河烏」と書き、渓流の流れに潜水して獲物を狙うカラスと言うが、実際はカラスの仲間ではなくてカワガラス属と言うまったく違う種である。
     確かに遠目で見ると真っ黒に見えるが実際は黒褐色、もちろん水中を歩く事もできると言う、鳥の仲間としては異色の存在。
     餌は主に水生昆虫の幼生や小魚、魚卵などを食べている。
     巣作りは、こちらではまだ冬の時期に始めるが、渓流の岩の隙間や砂防堰堤の穴などを使う。
     秋山郷では砂防堰堤の垂直の壁に空いている穴を使用しているのを見た事があるが、砂防堰堤の垂直の壁ならばヘビなどの一番の天敵を十分に防ぐ事ができると思われる。
     堰堤最初の頃は穴から水が出ていたと思うが、堰堤に土砂が溜まり穴がふさがれて水が出なくなれば絶好の営巣場所に早変わり…自然の要塞に巣を作り子育てするカワガラスの知恵…恐れ入りました。

    2024年1月27日号

  • カワラタケとチャウロコタケ

    中沢 英正(県自然観察保護員)

     森を歩くのは楽しい。冬は観察するものは限られるが嬉しい出会いもある。積雪が少ないと切り株や落枝についたキノコが目につく。
     お気に入りはカワラタケ(写真右)やチャウロコタケ(写真左)。革質のかたい傘を持ち、年中見ることができる。幾重にも重なって生える様子を瓦や鱗に見立てたものだ。
     どちらも白色腐朽菌と呼ばれ、材を白く腐らせる役目を担っている。
     このキノコたちに興味をひかれるのは傘の模様。傘は半円形や扇形で、同心円状に縞模様が入る。カワラタケの傘色は黒が多いが、茶、青、灰、黄などさまざまだ。チャウロコタケの傘は名前の通り茶系統である。双方とも個体によって縞模様に変化があるところが
    面白い。
     傘の模様は単なるおしゃれ…? それとも何か重要な意味が隠されているのだろうか。

    2024年1月20日号

  • 雪上宝探し

    小林 幸一(津南案内人)

     穏やかだった正月も過ぎ、久しぶりの雪がちらつく津南町・割野神社境内で、割野公民館雪上宝さがし大会が賑やかに行われました。雪の多い年は神社の鳥居の下をしゃがんでくぐり参拝することもありましたが、今年は雪が少なく、お宝と引き換えの木札を雪の中に埋めるのも大変です。
     最初は直ぐに見つかり景品と交換しますが、2回目、3回目となるとなかなか見つかりません。最後の木札がなかなか出てこないのでじゃんけん大会で景品を渡して締めくくりました。
     次の子供たちの行事は1月14日の鳥追いです。スゲボウシをかぶり午後4時に割野公民館を出発して集落を回り、かまくらの代わりに公民館でお菓子を食べたりゲームをしたりして過ごします。子供たちに本当のかまくらを体験させてやりたいですが、安全なかまくら作りの伝承も途絶えてきたようです。

    2024年1月13日号

  • 沖ノ原台地と夕日

    照井 麻美(津南星空写真部)

     新年あけましておめでとうございます。
     新年1本目の記事ということで、沖ノ原台地が太陽に照らされまっすぐな台地のシルエットが浮かび上がる一枚を選びました。
     世界有数の豪雪地であるこの地域では、雪が積もり、晴れた冬の日は最高の景色が広がります。
     この辺りで初日の出を見ることはなかなか難しいですが、太陽が山の奥から登り、沖ノ原台地に日が沈んでいくというまた違った味わいの朝を迎えることができるのは住んでいる者の特権と思っています。
     移住5年目を迎え、改めてこの地の素晴らしさに触れ、津南町に住めていることに大変嬉しく思うと同時に移住して間もない頃、心細くなった時に一人散歩に出てこの景色を眺め励まされたことが思い出されます。
     生活に慣れたとはいえ、まだまだ至らぬ点も多いですが、今では多くの方々に支えていただき、楽しく刺激的な毎日を送ることができています。
     壮大な自然をすぐそばに感じるこの地域の暮らしを今年も多くの方に広めていきたいと思っております。
     2024年も皆様にとって良い一年になることをお祈りしております。

    2024年1月6日号

  • ドクササコ

    中沢 英正(県自然観察保護員)

     キノコは古くから利用されてきた食材である。栽培されることも多く、エノキ、シイタケ、マイタケなどは鍋物に欠かせない具材となっている。
     「食」あれば「毒」あるのがキノコの世界。数ある毒キノコの中で絶対に食べたくないのが「ドクササコ」だ。名前からして怪しさがプンプン臭う。
     摂取後の症状が特異だ。手足の末端が赤く腫れ、焼け火箸を押し付けたような激痛に襲われる(末端紅痛症)。恐ろしいのはその痛みが昼夜を問わず一か月ほども続くことである。痛みに耐えかね患部を冷水に浸けてみたがふやけてしまい指先の骨が露出したこともあったという。
     食べてから発症するまでの潜伏期間が一週間ほどと遅い。そのためキノコが原因とはわからず風土病や祟りではと恐れられてきた。
     一見食べられそうな姿が曲者。横から見るとラッパ形で、傘の中央が窪んでいたら要注意である。

    2023年12月23日号

  • 陸の孤島からの脱出

    小林 幸一(津南案内人)

     切明は釜落から47キロに及んだ工事用軌道の終着駅で、中津川第一発電所の魚野川と雑魚川の要の位置にあり、ここから沈砂池を通った発電用水は真っ暗な地下水路に吸い込まれて高野山の貯水池に向かいます。
     写真には建設中の沈砂池と、対岸には宿舎や医者・巡査なども常駐した建物が写っています。
     町外の東電OBが、そのまた先輩から聞いたという昔話ですが、豪雪になると車で町まで向かえない、まさに陸の孤島だった切明発電所で業務にあたっていた職員が急病になり、このままでは人命にかかわると、流量を減らした水路に患者を乗せたボートを浮かべ決死の救出を行ったということです。
     映画「ホワイトアウト」さながらの豪雪地帯からの脱出劇ですが、入ったのは良いがいったい何処で地下水路を出たのか気になります。途中何ヵ所かある横坑のうち、考えられるのは前倉上の横坑から出たのか、高野山のダムまで流れ着き、横根方面から町に向かったのか不明ですが、当時の電力マンの苦労が偲ばれる逸話です。
     さて、厳冬期の秋山郷の工事現場では、何処も陸の孤島のようになりますが、地下水路が人や資材の行きかう動脈のようになっていたのではないでしょうか。

    2023年12月16日号