国県道、市町村道の除排雪は当たり前だ。土木分野の公共事業は冬期間、休眠状態が多く、その「事業力」をこの地に暮らす住民の暮らしを支える除排雪に導入する、それが「冬の公共事業」。建築・建設・土木の事業者の多くは、雪処理する小型から大型重機や除排雪機械を持つ。これを公共事業としてフル活用する方策はできないか。
今回の大雪で十日町市、津南町は豪雪対策本部を立ち上げた。さらに国災害救助法の適用で除排雪費用など国費対応になる。ただ対象はいわゆる生活弱者、限られた世帯だ。一方で対象外の「準対象者」といえる除排雪困難者は多い。高齢者世帯、様々な事情で親子だけの世帯など救済対象外の世帯も大雪が生活を圧迫し、経済的な困窮度を増している。だが、なかなか声を上げられないのが現実だ。
春になり雪が融けると、この苦しみを忘れてしまう雪国。昭和の56豪雪、59豪雪、平成の18年豪雪など過去の積雪記録を見れば、あの日・あの時の雪の労苦がよみがえるが、実感としては遠い過去になってしまう。だが、忘れてしまうとされる雪の苦労は今後、さらに増す状況にあるという。
全国的な大雪ニュースで関心度が増しているのが今後の気象予測。地球温暖化が言われた当時、同時に小さなニュースが流れた。雪の降り方の将来予想だ。『雪そのものは少なくなる傾向だが、一方で日本海の海水温の上昇で水蒸気を含んだ雲が連続的に大量発生し、冬はそこに寒気が入り込むと、局地的にこれまで以上の大雪が度々発生する確率が高い』。今冬はまさにこれが大当たり。1週間余り降り続けた雪で、積雪3㍍超えの地域が続出している。来季も可能性が高いという。
「冬の公共事業」、どうシステム化するか、行政の知恵の出し所だ。暮らしやすい雪国づくり、まさに国の地方創生事業になるのでは。
2025年2月15日号
流通は、その流れが正しく流れるから成り立っている。途中で目詰まりしたら「動脈硬化」、流れが滞る。昨秋から続く消費者が求める米価の高騰は、どうも動脈硬化があったようだ。いまさらの感があるが、国は備蓄米の放出方針を決めた。どこが動脈硬化したのか。管轄の農水省は「売り渋り」という表現で一部のコメ生産者を含めた集荷業者が「コメをため込んでいる」状況を、ようやく示した。昨秋は凶作ではなくほぼ平年並みの収量があり、例年通りなら消費者米価も例年通りのはずだった。だが、そうではなかった。
流通は、その言葉通り生産品や商品が流れ通るプロセスであり、その流れは各段階の信頼関係が大前提でスムースに流れる。だが昨秋から続く米価の高騰は、明らかに「おかしい」と感じる出来事だった。
店頭から米が姿を消し「お一人様一袋限定」のチラシが張られ、米不足に拍車を掛けた「コメ騒動」。その高値がその後も続き、高値状態はいまも続く。やっと国が動き出した結果が「備蓄米放出」。ならば並行して今回のコメ騒動の「真相究明」も、早急にすべきではないか。
コメ騒動は新たな不安要素を流通市場にもたらしている。米と同じように生活必需品の流通段階のどこかで「商品を抱きかかえ」、一時的な品薄状態を生み出せば、その商品は価格高騰を招くだろう。いま、多くの販売品の値上ラッシュだが、こうした「内部事情」はないのか、疑心暗鬼になってしまう。
かつて「キャベツの嬬恋」といわれ、その日の市場価格を左右する出荷量を誇った群馬県の産地。農産物では出荷調整し、価格暴落を防いでいるが、生活必需品で今回のコメ騒動のような「仕掛け」がないのか。流通という信頼関係で成り立つ経済構造のシステムが、一つの「動脈硬化」により、その信頼性が落ちているのでは。そう感じるコメ騒動の顛末だ。
2025年2月8日号
今春4月、十日町市と栄村では行政の節目となる選挙がある。人口4万7126人の十日町市は市長選・市議選。村議選がある栄村は人口1560人。投票日は1週間違い。だがその選挙期間は十日町市7日間、栄村はわずか5日間。公選法の規定だが、これには毎回大きな疑問を抱く。選挙という同じ行為ながら市と町村で選挙期間が違う、この根本部分を問題視する言葉を、自治体議会で聞いたことがない。
市長選と市議選の同時選の十日町市は4月20日告示、27日投票、選挙期間7日間。栄村は前週4月15日告示、20日投票、わずか5日間。津南町の町長選・町議選も5日間。国政選挙とはそのベースが違うので単純比較できないが、市町村選挙は同じ土俵だ。それが選挙期間が違うのは納得できない。憲法は選挙権を保障し、『選挙は自由に行われ、直接代表者を選ぶことができる』とある。区別化はおかしい。
4年に一度の選挙のたび、この疑問を抱きつつも、なぜ? なぜ? と、選ばれる側から疑問の言葉は聞いたことがない。「民主主義のコスト・教室」とも形容される身近な選挙。形骸化する選挙期間中の運動の味気なさは、この期間設定にもあるのではないか。まず、ここを問題提起したい。
告示まで3ヵ月を切っている両市村の選挙。前哨戦は低調だ。十日町市は現定数24を5人削減し、改選定数19という「狭き門」の市議選。だが女性新人の声が出ない。市内活動の多くが女性が源泉になっているなか、市政への関心は高く、十日町市の「元気印」の名乗りが待たれる。市長選は現職の5選表明のカウントダウンの段階で、新人との一騎打ちが濃厚。栄村議選は定数10、有権者すべての顔が見える地域事情だけに、難しい選挙でもあるが、女性新人の名乗りが近いようだ。
身近な選挙はその自治体の元気印のバロメーターだ。春はもうすぐ。
2025年2月1日号
不思議なものだ。年末の連続降雪、小正月前の低温と降雪、だがここ1週間ほど雪降りがない。「雪の苦労を忘れそう」、青空が広がり、長靴以外で道を歩ける、不思議と雪の苦労が薄らいでいく。だが道路脇の雪壁を見れば、すぐに現実に戻される妻有の冬だ。
雪国は「もし災害が…」を常に考える必要がある。最たるは原発事故だろう。十日町市は30㌔圏UPZに一部が入り、津南町・栄村は50㌔圏だ。きょう25日、新潟県の原発事故避難訓練が十日町市川西地域である。再稼働論議が熱を帯びるなか、厳冬期の原発事故発生は、もはや「想定内」と考えるべきだろう。
1年前の元日。能登半島地震が発生。甚大な被害、地震の直接犠牲者を災害関連死者数が上回った現実は、発生後の被災者救済の遅れを如実に物語っている。 国の責任は大きい。
厳冬期の災害は、無雪期とは比較にならない数々の困難な障害を伴い、特に人命を奪う寒さは、それだけで深刻な命の危険性を増す。真冬に原発事故が発生した場合、避難路の確保は限られ、猛吹雪で車が立ち往生する以上に避難車両が集中し、渋滞で動かない車の中に居ること自体が危険で、多大な犠牲者を生み出しかねない深刻事態に陥る。
柏崎刈羽原発の再稼働を県民投票で決める署名運動が続く。15万を超える見込みの署名の圧力は大きいが、県議会の条例制定可決が大前提だ。県内自治体トップから県民投票実施を期待する声が上がり始めている。十日町市・関口市長もその一人だ。
新年度予算議会がこれから市町村で始まり、トップの見識・判断が問われる場面が多々あるだろう。花角知事は「信を問う」と再三、その姿勢を見せるが、内心ははかり知れない。だが県民投票が実施されれば、その結果が「県民の意志」と表明するだろう。原発問題は、いよいよ正念場を向かえている。
2025年1月25日号
ハローワークに行ったら、こんな求人があった。「十日間市議会議員募集、月額報酬34万円、年間報酬500万円超、年4回の定例市議会、ほかに臨時議会、委員会活動など。募集締切4月20日午後5時、応募資格25歳以上」。いよいよそういう時代になったか…しげしげと募集資料を見ていると誰かが肩を叩いてきた、振り返ると、そこには…。そこで目が覚めた。かなり遅い初夢だった。
今春、その十日町市議選がある。任期満了は4月30日。その前週4月20日告示、27日投票だ。12月14日号の「十日町市の時計が止まっている」には多くの声を頂いた。いやいや、そもそも「時計が狂っている」との声も届き、今春同時選となる市長選、市議選が始まっている証左と受け止めた。
その市議選、なかなか動きがない。ということは現職の多くが再出馬することでもある。今期限りで引退する現職はこれまでに3人、と言われているが、確実な退任表明は副議長・宮沢幸子氏だけ。巷間、飛び交う情報と本人確認が取れている引退現職は他に2人だけ。他の現職は「再出馬」のようだ。一方の新人。これまでに3人が表明し、新たに2人の具体名が巷間で飛び交っている。だが、女性の名は聞かれない。
現定数24、それを5人削減し、改選定数は19。このまま現職再出馬、新人擁立となれば、稀に見る激戦市議選となる様相だ。さらに3月市議会で議員報酬改定が可決すれば、月額報酬34万円となり、年報酬は500万円を超える。県内では低賃金地域で知られる十日町地域で、この500万円は決して少ない額ではないだろう。
初夢の妄想は、一笑できない現実がそこにある。失業中のあなた、転職を考えているあなた、Uターンを考えているあなた、女性をもっと市議会へと思うあなた、「市議業のすすめ」だ。手を上げるチャンスが目の前にある。
2025年1月18日号
有効署名数の4倍近い思いが集まっている。柏崎刈羽原発再稼働の是非を問う県民投票を求める署名運動の集計が7日公表され、市町村選管で署名簿審査が行われている。有効署名3万6千を上回ることは確実で、「県民投票で決める会」は3月中旬までに有効署名を基に花角知事に県民投票条例制定を直接請求する。知事による条例案提案を受け、県議会は4月中の臨時県議会で採決することになる。
2ヵ月間取り組んだ署名活動。だが柏崎市など4市村は来月1日まで続ける関係で、知事への直接請求は3月になる。請求を受け知事は意見書を付け、県民投票条例案を県議会に提案する。
柏崎刈羽原発再稼働の是非を問う県民投票条例制定を求める運動は2012年にも行われた。だが県議会は条例案を否決した。当時の署名を大きく上回る県民の強い思いを、県議会・県議はどう受け止め、採決に臨み、賛否を下すか、最大の焦点になる。当時の県議会で自民代表で述べた尾身孝昭県議の姿がTVで流れている。『原発事業は国策であり国が責任を持って判断すべきこと』と論点すり替えしている。今回、この論理は通用しない。全国の原発で再稼働論議の判決が出ており、再稼働では地元同意が最大の判断要素になっている。それだけに地元県議会の採否には、重大な責任が伴う。
署名運動で関心が高まる原発再稼働。年末から年始にかけて、当事者たる県議の挨拶言葉からは原発の言葉が消えている。意識の裏返しだろうが、4月の臨時県会まで時間がある。どうだろう、県議自ら住民の声を聞いては。
それとも、県民・市民・町民が地元県議への直接行動で「再稼働、どう思いますか?」と詰め寄ることもできる。幸い、尾身県議も小山県議も、魚沼エリアの県議も、事務所を構えている。「おじゃまします」と、新年挨拶がてら、訪ねてみてはいかがか。
2025年1月11日号
流れが来ている、そう感じる数字に驚いた。新潟県立中高一貫校が誕生して23年。その県は「当初の目的は達成した」と中高一貫校のあり方を全面的に見直す方針を打ち出した。それは「閉校」であり「再編」であり、高校の統廃合だ。
その中高一貫校のひとつ、開校19年の津南中等教育学校の今年4月入学の選抜志願者倍率は「1・41」。定員80に対し113人の入学希望者が集まった。この数字はしっかりと、深く考え、次なる行動を起さなくてはならない驚異の数字だ。
「先ずは定員を上回ること」、地元に津南中等を持つ津南町の桑原悠町長は、見直しの県方針が出て以降、機会があるごとに述べている。その日頃のジャブが効いたのか、1倍を大きく上回る志願倍率になった。新潟県教委は10年先を見越した中高一貫校を含む「高校再編」を示し、その具体的な取り組み方針プランを3月、公表する方針だ。今回の津南中等の「実績」は、軽々に3月プランに「再編校」として載せられない数字の実績だが、県は3年ごとに見直す方針。この定員超過をこの先も維持するには、やはり「広域連携の運動」が必要だろう。
十日町・津南エリア、さらに南魚沼・湯沢・北魚エリア。この全魚沼エリア唯一の県立中高一貫校が津南中等校。新潟県内公立高校の大学進学率でも、トップ3の常連校になっている。教育関係者は「あの県境で、通学に不便な地の学校が、なぜ…」と首を傾げる津南中等校の実績である。生徒と先生の関係性の良さ、それが学習効果を上げ、生徒の自主性が育ち、「夢の実現」の通り、目標突破を果たしている。それを支える地元津南町の支援。通学補助、学生宿舎の設置など、まさに「官学協働モデル」が津南中等校と言える。
広域連携の時だろう。県へのアピールの好機。先ずは隣人から。桑原町長、関口市長とのスクラムの時ですよ。
2025年1月4日号
津南町の季節がやって来た。毎日の天気予報、全国の積雪状況が流れ、「津南町では…」と冬型が強いほどその呼称が頻繁に流れる。このチャンスを生かさない手はない。これまでも「好機」は毎冬訪れていたが、その動きはまだ見られない。労せずして…ではないが、このネームバリュー効果、津南町という名を売る宣伝効果を大きい。今冬、雪が多い予報だけに、またチャンスが巡って来た。
「ふるさと納税」。自治体間競争がさらに過熱気味だ。この「津南町では…」を、ふるさと納税につなげる方策を考える価値があるのでは。あの「平成18年豪雪」、2006年の冬、津南町の呼称は世界に流れた。フランス・ルモンド紙が取り上げ、通信社や個人配信を経由しアメリカにも流れた。ふるさと納税開始の2年前だったが津南町は「人が暮らす大豪雪地」として世界に知られ、その地は、世界から来訪者が集う大地の芸術祭の地でもある。
事業実現の資金確保のCF・クラウドファンディングにも役立ちそうだ。雪で困る豪雪地という側面より、雪を産業につなぐ事業化ならばCFへの関心度は高く、あの津南町という知名度が奏功するだろう。その先に明確なビジネスプランがあれば、継続的な事業展開も可能だし、関心度は高い。
桑原悠町長は2期目就任後、他分野の事業民間や実業家と連携協定を結び、津南町という自治体の可能性を広げている。その分野の先にどう経済が見えて来るのか、どう道筋をどう付けるのか、そこの真価が問われている。すでに37歳町長の町は、知られる存在となり、次なる関心の視点は「次は何をするのか」だろう。
この冬、冬型が強まれば連日のように「津南町」が出るだろう。まさに「好機」だ。このチャンスを逃す手はない。
知恵とアイデアの出し所だ。
さて、どう出るか津南町。
2024年12月21日号
来年4月末に市長選がある十日町市。来年6月末に許可権が満了するJR東・宮中取水ダムの水利権。市長選と同じく任期満了となる十日町市議会。動きがピタッと止まっている。時計の針を止めているのは誰か。いやいや、そもそも「十日町の時計」は動いていたのか…など、巷間話しは様々な憶測を呼んでいる。
JR東の水利権更新は、今回は10年前と事を大きく異にしている。不正取水による水利権取り消し後、新たに取得した水利権。来年の更新期はいわゆる「一般的な更新」、関係者はこれを「単純更新」と言う。いやいや単純なことなどこの案件にはない、というのが多くの市民感情だろう。来年の更新は、新規取得に比べ格段に事務手続きが簡素で、許可権者の国交省が地元新潟県知事に意見を求め、知事がOKを出せば、そのまま更新許可される。知事は地元の意見を聞くことができるが、聞く必要が無いと判断すれば、十日町市の意見は求めなくていい、そういう「単純更新」だ。
「発電の地元還元を」。来年4月の市長選に挑む新人が掲げる政策だ。JR東・宮中取水ダムで発電する信濃川発電所(小千谷市)。その関係する両自治体への「地元還元」を求め、両市関係者が連携して動いている。市民の間には「そうだよなぁ」と、ジワリと共感が広がりつつある。この論議もない十日町市議会の12月定例会だ。
任期満了の市長に対し、その進退を問うこともしない市議会だ。9日から12日までの一般質問では、誰もその進退を問わない、これはどうしたことか。ここでも「十日町の時計」は止まっている。いや止められているのか。
改選迫る市議会。動き始めているが、新人の名乗りがない。やはり時計が止まっている。大丈夫か、十日町市。
アナログ時計はネジを巻く。昨今のデジタル時計は止まっても分からない。
2024年12月14日号
取り組み方法の違いは、その前段の「理念」の違いなのだろう。十日町市・津南町・栄村がいま共通して取り組む政課題の一つに「小中学校の再編」がある。そこに臨む行政姿勢に違いが見える。小学校17校、中学校10校を持つ十日町市は当初の学校再編への市民疑問を受け、再編計画をリセットし、新たな検討委員会による学校再編の方向性を地図に落とし込み、市民に提示している。二度目の再編案は10年先を見るが、行政・市教委主導というより、市民がリードし、協議している。
長野県最北の自治体、津南町と隣接の栄村は小学校1校、中学校1校を一体化する「文科省認定の義務教育学校」新設をめざす。その取り組みは村民参加のワークショップ方式。すでに22回を開き、その時々のテーマで村民主導で意見を交わし、ついに新設校の「校名」選定の段階まで来ている。一貫しているのは「村民が自ら作り上げる学校」。村教委は下支えに徹し、村民の主体性、自主性に重点を置く。全く新しい義務教育学校を作る、その大きな一歩の「校名」選びをいま全村対象に行っている。否が応でも関心が高まり、同時に教育内容も独自色を出す取り組みが平行して始まっている。県内外から問い合わせがある。
5年後までに小学校を町立1校にする方針を打ち出す津南町。その学校は「対等統合」という町教委の方針だが、「校名は今の津南小学校」、校歌も校章もそのままという。上郷小・芦ヶ崎小校区からは「対等統合ならなぜ新設小学校として校名や校歌を作らないのか」、疑問の声が出ている。津南町の学校再編は11年前に検討会が答申の内容をベースに学校再編を進めている。時代の変化、住民意識の変化があるなか、なぜ…と疑問が膨らむは町民たちだ。
同じ行政課題に、こうもアプローチが違うのはなぜか。12月議会が始まる。住民代表の議員の出番ですぞ。
2024年12月7日号
国県道、市町村道の除排雪は当たり前だ。土木分野の公共事業は冬期間、休眠状態が多く、その「事業力」をこの地に暮らす住民の暮らしを支える除排雪に導入する、それが「冬の公共事業」。建築・建設・土木の事業者の多くは、雪処理する小型から大型重機や除排雪機械を持つ。これを公共事業としてフル活用する方策はできないか。
今回の大雪で十日町市、津南町は豪雪対策本部を立ち上げた。さらに国災害救助法の適用で除排雪費用など国費対応になる。ただ対象はいわゆる生活弱者、限られた世帯だ。一方で対象外の「準対象者」といえる除排雪困難者は多い。高齢者世帯、様々な事情で親子だけの世帯など救済対象外の世帯も大雪が生活を圧迫し、経済的な困窮度を増している。だが、なかなか声を上げられないのが現実だ。
春になり雪が融けると、この苦しみを忘れてしまう雪国。昭和の56豪雪、59豪雪、平成の18年豪雪など過去の積雪記録を見れば、あの日・あの時の雪の労苦がよみがえるが、実感としては遠い過去になってしまう。だが、忘れてしまうとされる雪の苦労は今後、さらに増す状況にあるという。
全国的な大雪ニュースで関心度が増しているのが今後の気象予測。地球温暖化が言われた当時、同時に小さなニュースが流れた。雪の降り方の将来予想だ。『雪そのものは少なくなる傾向だが、一方で日本海の海水温の上昇で水蒸気を含んだ雲が連続的に大量発生し、冬はそこに寒気が入り込むと、局地的にこれまで以上の大雪が度々発生する確率が高い』。今冬はまさにこれが大当たり。1週間余り降り続けた雪で、積雪3㍍超えの地域が続出している。来季も可能性が高いという。
「冬の公共事業」、どうシステム化するか、行政の知恵の出し所だ。暮らしやすい雪国づくり、まさに国の地方創生事業になるのでは。
2025年2月15日号
流通は、その流れが正しく流れるから成り立っている。途中で目詰まりしたら「動脈硬化」、流れが滞る。昨秋から続く消費者が求める米価の高騰は、どうも動脈硬化があったようだ。いまさらの感があるが、国は備蓄米の放出方針を決めた。どこが動脈硬化したのか。管轄の農水省は「売り渋り」という表現で一部のコメ生産者を含めた集荷業者が「コメをため込んでいる」状況を、ようやく示した。昨秋は凶作ではなくほぼ平年並みの収量があり、例年通りなら消費者米価も例年通りのはずだった。だが、そうではなかった。
流通は、その言葉通り生産品や商品が流れ通るプロセスであり、その流れは各段階の信頼関係が大前提でスムースに流れる。だが昨秋から続く米価の高騰は、明らかに「おかしい」と感じる出来事だった。
店頭から米が姿を消し「お一人様一袋限定」のチラシが張られ、米不足に拍車を掛けた「コメ騒動」。その高値がその後も続き、高値状態はいまも続く。やっと国が動き出した結果が「備蓄米放出」。ならば並行して今回のコメ騒動の「真相究明」も、早急にすべきではないか。
コメ騒動は新たな不安要素を流通市場にもたらしている。米と同じように生活必需品の流通段階のどこかで「商品を抱きかかえ」、一時的な品薄状態を生み出せば、その商品は価格高騰を招くだろう。いま、多くの販売品の値上ラッシュだが、こうした「内部事情」はないのか、疑心暗鬼になってしまう。
かつて「キャベツの嬬恋」といわれ、その日の市場価格を左右する出荷量を誇った群馬県の産地。農産物では出荷調整し、価格暴落を防いでいるが、生活必需品で今回のコメ騒動のような「仕掛け」がないのか。流通という信頼関係で成り立つ経済構造のシステムが、一つの「動脈硬化」により、その信頼性が落ちているのでは。そう感じるコメ騒動の顛末だ。
2025年2月8日号
今春4月、十日町市と栄村では行政の節目となる選挙がある。人口4万7126人の十日町市は市長選・市議選。村議選がある栄村は人口1560人。投票日は1週間違い。だがその選挙期間は十日町市7日間、栄村はわずか5日間。公選法の規定だが、これには毎回大きな疑問を抱く。選挙という同じ行為ながら市と町村で選挙期間が違う、この根本部分を問題視する言葉を、自治体議会で聞いたことがない。
市長選と市議選の同時選の十日町市は4月20日告示、27日投票、選挙期間7日間。栄村は前週4月15日告示、20日投票、わずか5日間。津南町の町長選・町議選も5日間。国政選挙とはそのベースが違うので単純比較できないが、市町村選挙は同じ土俵だ。それが選挙期間が違うのは納得できない。憲法は選挙権を保障し、『選挙は自由に行われ、直接代表者を選ぶことができる』とある。区別化はおかしい。
4年に一度の選挙のたび、この疑問を抱きつつも、なぜ? なぜ? と、選ばれる側から疑問の言葉は聞いたことがない。「民主主義のコスト・教室」とも形容される身近な選挙。形骸化する選挙期間中の運動の味気なさは、この期間設定にもあるのではないか。まず、ここを問題提起したい。
告示まで3ヵ月を切っている両市村の選挙。前哨戦は低調だ。十日町市は現定数24を5人削減し、改選定数19という「狭き門」の市議選。だが女性新人の声が出ない。市内活動の多くが女性が源泉になっているなか、市政への関心は高く、十日町市の「元気印」の名乗りが待たれる。市長選は現職の5選表明のカウントダウンの段階で、新人との一騎打ちが濃厚。栄村議選は定数10、有権者すべての顔が見える地域事情だけに、難しい選挙でもあるが、女性新人の名乗りが近いようだ。
身近な選挙はその自治体の元気印のバロメーターだ。春はもうすぐ。
2025年2月1日号
不思議なものだ。年末の連続降雪、小正月前の低温と降雪、だがここ1週間ほど雪降りがない。「雪の苦労を忘れそう」、青空が広がり、長靴以外で道を歩ける、不思議と雪の苦労が薄らいでいく。だが道路脇の雪壁を見れば、すぐに現実に戻される妻有の冬だ。
雪国は「もし災害が…」を常に考える必要がある。最たるは原発事故だろう。十日町市は30㌔圏UPZに一部が入り、津南町・栄村は50㌔圏だ。きょう25日、新潟県の原発事故避難訓練が十日町市川西地域である。再稼働論議が熱を帯びるなか、厳冬期の原発事故発生は、もはや「想定内」と考えるべきだろう。
1年前の元日。能登半島地震が発生。甚大な被害、地震の直接犠牲者を災害関連死者数が上回った現実は、発生後の被災者救済の遅れを如実に物語っている。 国の責任は大きい。
厳冬期の災害は、無雪期とは比較にならない数々の困難な障害を伴い、特に人命を奪う寒さは、それだけで深刻な命の危険性を増す。真冬に原発事故が発生した場合、避難路の確保は限られ、猛吹雪で車が立ち往生する以上に避難車両が集中し、渋滞で動かない車の中に居ること自体が危険で、多大な犠牲者を生み出しかねない深刻事態に陥る。
柏崎刈羽原発の再稼働を県民投票で決める署名運動が続く。15万を超える見込みの署名の圧力は大きいが、県議会の条例制定可決が大前提だ。県内自治体トップから県民投票実施を期待する声が上がり始めている。十日町市・関口市長もその一人だ。
新年度予算議会がこれから市町村で始まり、トップの見識・判断が問われる場面が多々あるだろう。花角知事は「信を問う」と再三、その姿勢を見せるが、内心ははかり知れない。だが県民投票が実施されれば、その結果が「県民の意志」と表明するだろう。原発問題は、いよいよ正念場を向かえている。
2025年1月25日号
ハローワークに行ったら、こんな求人があった。「十日間市議会議員募集、月額報酬34万円、年間報酬500万円超、年4回の定例市議会、ほかに臨時議会、委員会活動など。募集締切4月20日午後5時、応募資格25歳以上」。いよいよそういう時代になったか…しげしげと募集資料を見ていると誰かが肩を叩いてきた、振り返ると、そこには…。そこで目が覚めた。かなり遅い初夢だった。
今春、その十日町市議選がある。任期満了は4月30日。その前週4月20日告示、27日投票だ。12月14日号の「十日町市の時計が止まっている」には多くの声を頂いた。いやいや、そもそも「時計が狂っている」との声も届き、今春同時選となる市長選、市議選が始まっている証左と受け止めた。
その市議選、なかなか動きがない。ということは現職の多くが再出馬することでもある。今期限りで引退する現職はこれまでに3人、と言われているが、確実な退任表明は副議長・宮沢幸子氏だけ。巷間、飛び交う情報と本人確認が取れている引退現職は他に2人だけ。他の現職は「再出馬」のようだ。一方の新人。これまでに3人が表明し、新たに2人の具体名が巷間で飛び交っている。だが、女性の名は聞かれない。
現定数24、それを5人削減し、改選定数は19。このまま現職再出馬、新人擁立となれば、稀に見る激戦市議選となる様相だ。さらに3月市議会で議員報酬改定が可決すれば、月額報酬34万円となり、年報酬は500万円を超える。県内では低賃金地域で知られる十日町地域で、この500万円は決して少ない額ではないだろう。
初夢の妄想は、一笑できない現実がそこにある。失業中のあなた、転職を考えているあなた、Uターンを考えているあなた、女性をもっと市議会へと思うあなた、「市議業のすすめ」だ。手を上げるチャンスが目の前にある。
2025年1月18日号
有効署名数の4倍近い思いが集まっている。柏崎刈羽原発再稼働の是非を問う県民投票を求める署名運動の集計が7日公表され、市町村選管で署名簿審査が行われている。有効署名3万6千を上回ることは確実で、「県民投票で決める会」は3月中旬までに有効署名を基に花角知事に県民投票条例制定を直接請求する。知事による条例案提案を受け、県議会は4月中の臨時県議会で採決することになる。
2ヵ月間取り組んだ署名活動。だが柏崎市など4市村は来月1日まで続ける関係で、知事への直接請求は3月になる。請求を受け知事は意見書を付け、県民投票条例案を県議会に提案する。
柏崎刈羽原発再稼働の是非を問う県民投票条例制定を求める運動は2012年にも行われた。だが県議会は条例案を否決した。当時の署名を大きく上回る県民の強い思いを、県議会・県議はどう受け止め、採決に臨み、賛否を下すか、最大の焦点になる。当時の県議会で自民代表で述べた尾身孝昭県議の姿がTVで流れている。『原発事業は国策であり国が責任を持って判断すべきこと』と論点すり替えしている。今回、この論理は通用しない。全国の原発で再稼働論議の判決が出ており、再稼働では地元同意が最大の判断要素になっている。それだけに地元県議会の採否には、重大な責任が伴う。
署名運動で関心が高まる原発再稼働。年末から年始にかけて、当事者たる県議の挨拶言葉からは原発の言葉が消えている。意識の裏返しだろうが、4月の臨時県会まで時間がある。どうだろう、県議自ら住民の声を聞いては。
それとも、県民・市民・町民が地元県議への直接行動で「再稼働、どう思いますか?」と詰め寄ることもできる。幸い、尾身県議も小山県議も、魚沼エリアの県議も、事務所を構えている。「おじゃまします」と、新年挨拶がてら、訪ねてみてはいかがか。
2025年1月11日号
流れが来ている、そう感じる数字に驚いた。新潟県立中高一貫校が誕生して23年。その県は「当初の目的は達成した」と中高一貫校のあり方を全面的に見直す方針を打ち出した。それは「閉校」であり「再編」であり、高校の統廃合だ。
その中高一貫校のひとつ、開校19年の津南中等教育学校の今年4月入学の選抜志願者倍率は「1・41」。定員80に対し113人の入学希望者が集まった。この数字はしっかりと、深く考え、次なる行動を起さなくてはならない驚異の数字だ。
「先ずは定員を上回ること」、地元に津南中等を持つ津南町の桑原悠町長は、見直しの県方針が出て以降、機会があるごとに述べている。その日頃のジャブが効いたのか、1倍を大きく上回る志願倍率になった。新潟県教委は10年先を見越した中高一貫校を含む「高校再編」を示し、その具体的な取り組み方針プランを3月、公表する方針だ。今回の津南中等の「実績」は、軽々に3月プランに「再編校」として載せられない数字の実績だが、県は3年ごとに見直す方針。この定員超過をこの先も維持するには、やはり「広域連携の運動」が必要だろう。
十日町・津南エリア、さらに南魚沼・湯沢・北魚エリア。この全魚沼エリア唯一の県立中高一貫校が津南中等校。新潟県内公立高校の大学進学率でも、トップ3の常連校になっている。教育関係者は「あの県境で、通学に不便な地の学校が、なぜ…」と首を傾げる津南中等校の実績である。生徒と先生の関係性の良さ、それが学習効果を上げ、生徒の自主性が育ち、「夢の実現」の通り、目標突破を果たしている。それを支える地元津南町の支援。通学補助、学生宿舎の設置など、まさに「官学協働モデル」が津南中等校と言える。
広域連携の時だろう。県へのアピールの好機。先ずは隣人から。桑原町長、関口市長とのスクラムの時ですよ。
2025年1月4日号
津南町の季節がやって来た。毎日の天気予報、全国の積雪状況が流れ、「津南町では…」と冬型が強いほどその呼称が頻繁に流れる。このチャンスを生かさない手はない。これまでも「好機」は毎冬訪れていたが、その動きはまだ見られない。労せずして…ではないが、このネームバリュー効果、津南町という名を売る宣伝効果を大きい。今冬、雪が多い予報だけに、またチャンスが巡って来た。
「ふるさと納税」。自治体間競争がさらに過熱気味だ。この「津南町では…」を、ふるさと納税につなげる方策を考える価値があるのでは。あの「平成18年豪雪」、2006年の冬、津南町の呼称は世界に流れた。フランス・ルモンド紙が取り上げ、通信社や個人配信を経由しアメリカにも流れた。ふるさと納税開始の2年前だったが津南町は「人が暮らす大豪雪地」として世界に知られ、その地は、世界から来訪者が集う大地の芸術祭の地でもある。
事業実現の資金確保のCF・クラウドファンディングにも役立ちそうだ。雪で困る豪雪地という側面より、雪を産業につなぐ事業化ならばCFへの関心度は高く、あの津南町という知名度が奏功するだろう。その先に明確なビジネスプランがあれば、継続的な事業展開も可能だし、関心度は高い。
桑原悠町長は2期目就任後、他分野の事業民間や実業家と連携協定を結び、津南町という自治体の可能性を広げている。その分野の先にどう経済が見えて来るのか、どう道筋をどう付けるのか、そこの真価が問われている。すでに37歳町長の町は、知られる存在となり、次なる関心の視点は「次は何をするのか」だろう。
この冬、冬型が強まれば連日のように「津南町」が出るだろう。まさに「好機」だ。このチャンスを逃す手はない。
知恵とアイデアの出し所だ。
さて、どう出るか津南町。
2024年12月21日号
来年4月末に市長選がある十日町市。来年6月末に許可権が満了するJR東・宮中取水ダムの水利権。市長選と同じく任期満了となる十日町市議会。動きがピタッと止まっている。時計の針を止めているのは誰か。いやいや、そもそも「十日町の時計」は動いていたのか…など、巷間話しは様々な憶測を呼んでいる。
JR東の水利権更新は、今回は10年前と事を大きく異にしている。不正取水による水利権取り消し後、新たに取得した水利権。来年の更新期はいわゆる「一般的な更新」、関係者はこれを「単純更新」と言う。いやいや単純なことなどこの案件にはない、というのが多くの市民感情だろう。来年の更新は、新規取得に比べ格段に事務手続きが簡素で、許可権者の国交省が地元新潟県知事に意見を求め、知事がOKを出せば、そのまま更新許可される。知事は地元の意見を聞くことができるが、聞く必要が無いと判断すれば、十日町市の意見は求めなくていい、そういう「単純更新」だ。
「発電の地元還元を」。来年4月の市長選に挑む新人が掲げる政策だ。JR東・宮中取水ダムで発電する信濃川発電所(小千谷市)。その関係する両自治体への「地元還元」を求め、両市関係者が連携して動いている。市民の間には「そうだよなぁ」と、ジワリと共感が広がりつつある。この論議もない十日町市議会の12月定例会だ。
任期満了の市長に対し、その進退を問うこともしない市議会だ。9日から12日までの一般質問では、誰もその進退を問わない、これはどうしたことか。ここでも「十日町の時計」は止まっている。いや止められているのか。
改選迫る市議会。動き始めているが、新人の名乗りがない。やはり時計が止まっている。大丈夫か、十日町市。
アナログ時計はネジを巻く。昨今のデジタル時計は止まっても分からない。
2024年12月14日号
取り組み方法の違いは、その前段の「理念」の違いなのだろう。十日町市・津南町・栄村がいま共通して取り組む政課題の一つに「小中学校の再編」がある。そこに臨む行政姿勢に違いが見える。小学校17校、中学校10校を持つ十日町市は当初の学校再編への市民疑問を受け、再編計画をリセットし、新たな検討委員会による学校再編の方向性を地図に落とし込み、市民に提示している。二度目の再編案は10年先を見るが、行政・市教委主導というより、市民がリードし、協議している。
長野県最北の自治体、津南町と隣接の栄村は小学校1校、中学校1校を一体化する「文科省認定の義務教育学校」新設をめざす。その取り組みは村民参加のワークショップ方式。すでに22回を開き、その時々のテーマで村民主導で意見を交わし、ついに新設校の「校名」選定の段階まで来ている。一貫しているのは「村民が自ら作り上げる学校」。村教委は下支えに徹し、村民の主体性、自主性に重点を置く。全く新しい義務教育学校を作る、その大きな一歩の「校名」選びをいま全村対象に行っている。否が応でも関心が高まり、同時に教育内容も独自色を出す取り組みが平行して始まっている。県内外から問い合わせがある。
5年後までに小学校を町立1校にする方針を打ち出す津南町。その学校は「対等統合」という町教委の方針だが、「校名は今の津南小学校」、校歌も校章もそのままという。上郷小・芦ヶ崎小校区からは「対等統合ならなぜ新設小学校として校名や校歌を作らないのか」、疑問の声が出ている。津南町の学校再編は11年前に検討会が答申の内容をベースに学校再編を進めている。時代の変化、住民意識の変化があるなか、なぜ…と疑問が膨らむは町民たちだ。
同じ行政課題に、こうもアプローチが違うのはなぜか。12月議会が始まる。住民代表の議員の出番ですぞ。
2024年12月7日号