日本活断層学会の会長・鈴木康弘氏(名古屋大減災連携研究センター教授)は、「過去100年の間で、日本で起きた活断層地震の最大規模が能登半島地震(マグニチュード7・6)だった」と、今年元日発生の地震を月刊誌・世界3月号の「能登半島地震と活断層」で述べている。
この中で今回の地震を「想定外?」と大きな疑問符を付けている。その疑問符は、震源地の海底活断層において、産業技術総合研究所が認定していた海底活断層が、長さ20数㌔の短い断層としているのに対し、鈴木氏は今回の能登半島地震は「90㌔を超える長い活断層が活動した」と調査結果で指摘。この先には佐渡がある。つまり、柏崎刈羽原発の沖合に近い場所になり、認定されている海域の海底活断層への影響が視野に入り、原発と海底活断層の関係がクローズアップしている。
原発と活断層は、原発建設前の立地場所問題の前から論議され、研究者によって見解の相違が起き、発電事業者は「影響はない」知見を取り上げ、原発事業を進めてきた歴史がある。今回の能登半島地震により、これまであまり詳細データがない海底活断層に関心が集まり、早急な調査が必要な事態になっている。詳細調査はこれからの原発が立地するのは海岸沿いだけに、海底部分の活断層の存在の有無が、原子力防災の大きな要素になっている。
原子力防災の不備の一つは、事故時の避難方法にある。今冬は小雪で実感が湧きにくいが、ここ多雪地域の冬場の道路事情は「大雪が降ればひと昔前の世界」に様変わりする。無雪期には幹線道以外の農道や集落道も通れるが、雪が降ればそれらは通行不能、国県道など幹線道も車1台の立ち往生で、深刻な渋滞が発生する。とても避難どころではなくなる現実は、この雪国住人はよく知っている。だからこそ、絵空事の避難方法は、問題外なのである。