氾濫するカタカナ・和製英語
村山 朗 (会社員)
日頃、新聞やニュースなどで氾濫する外来語やアルファベットの略語を目にするたびに、イラっとしている本紙の読者は少なくないのではないでしょうか。先日の新聞に文化庁の国語世論調査の結果が記事になっていました。それによると、「DX」「SNS」「AED」などの略語に85%の人が、意味が分からず困ることがある、と答えています。そうであっても好ましいと感じる人は全世代で45%。世代別にみると10代が76%、70歳以上では27%と世代間で大きな差がついています。好ましくないと思う人が50%を超えているので、多少ホッとしますが。
SNSはソーシャル・ネットワーキング・サービスの頭文字をつなげたものであろうことは想像できますが、DXがなぜデジタル・トランスフォーメーションの略なのかよくわかりません。Dがデジタルの頭文字で、次がトランスフォーメーションのTではなくてXなのはどういうわけでしょうか。AEDに至っては謎です。(自分で調べろ、ですね)
最近の新聞の紙面をざっとながめてもTOB、PFOS、ATP、LRT、PB、DB、OP、DBS日本版、リスキリング、エシカル、ジェンダーギャップ、フレイル、プリフレイル、オーバーツーリズム、インボイス、ステルスマーケティング、ハラスメント、ロードプライシング、リテラシー、レジリエンス、マルウェア、アイデンティティー、ダイバーシティー、ソバーキュリアスと枚挙にいとまがありません。
何の略か、どういう意味か、と問われると困る言葉ばかりです。文脈からなんとなく、と答えるしかありません。新聞をはじめとして身の回りには略語、和製英語、外来語があふれています。確かに近年どっと日本に入ってきた新しい概念で、日本語訳が追い付いていないものもあるので、仕方がない面もありますが、それにしてもあまりにも多すぎませんか? 立派な日本語があるのにどうして言い換えるのか、理解に苦しむ言葉も多いです。
マイナンバーなどは、英語のように聞こえますが、堂々たる和製英語と聞きます。個人番号じゃダメなのでしょうか? それをさらにマイナと略すことに至っては、どうなってラン? お役所は本当にカタカナ語がお好きなようで、10月の祝日も体育の日からスポーツの日に変えてしまいました。これには本当に腹が立ちました。
外来語が日本語の語彙を豊かにする面があることに異論はありません。でも何でもかんでもカタカナ語にしたがる現代の風潮には、どうにも納得がゆきません。