55日前、「電気の地元還元を」と訴えた市長候補が敗れた十日町市。市長選から46日後、当選市長は「電気を買わせて頂きたい」と話す。市民は「?」を抱かないのだろうか。来週23日からの市議選後初の市議会一般質問では誰一人、この「発言」に関する質問はない。これが市長選、市議選を経た十日町市の現状なのか。
JR東・信濃川発電所の水利権更新は先週12日、市長とJR東トップの調印で10年間更新が決まった。維持流量60㌧以上は、従前10年間の水利権覚書では明記していたが、7月から始まる水利権覚書には記述はない。覚書調印前、「60㌧削除」が明らかになると、地元や関係団体から疑義が一斉に起こり、JR東は夏季「60㌧程度の放流を行う」と後日、補足説明した。
12日の覚書調印で突如として出たのが「データセンター」。国は2030年代、データセンターの集積地整備と地方分散の設置方針を示す。JR東・喜㔟社長はその電力供給として水力発電を視野に話す。「信濃川の水を使わせて頂ければ国全体の成長課題に対応でき、十日町市の皆様にしっかり還元できる取り組みになると具体的に相談している」と十日町市・関口市長に語った。還元という言葉を使った。
言葉の受け止めは微妙だ。十日町市にデータセンターを誘致したい、と関口市長はこれまで一度も明言していない。ただ、電気事業法改正でJR東が売電できる事を踏まえ、「(信濃川発電所は)償却済みの資産で、そこで生み出される電気のコストは安いはず」とJR東から電気を購入する姿勢を見せたのが冒頭の言葉だ。
さらに、市長選を通じて公約した「蓄電所」がこれに結び付く。安い電気を購入し、蓄電所で蓄え、データセンターに電力供給することで十日町市に利益が入る、そんな「経済行為」がイメージできるのだが…。