4月採用の新入社員給与を月額40万円とする、そんなニュースが流れた。どこの話? と大きな疑問符が浮かんだが、現実に今春のこの国の話だ。春闘で労組要求を上回る増額回答が次々と出ている現実を見ると、この新入社員の月額40万円は、そんなに現実離れしている数字でもなさそうだ。だが、かけ離れている現実がある。
十日町商工会議所調査の「令和5年度・第45回会員企業賃金統計調査」結果報告書がある。会員事業所で従業員5人以上の対象341社調査に対し、168社(対象従業員2884人)が回答。ほぼ全ての業種を網羅しており、最終学歴別の平均賃金も出ている。
2023年4月分数値を求めた。回答の全体平均に十日町地域の低賃金の現況が見える。年齢39歳~40歳男性平均月額23万3090円、同女性19万506円。数値に偏りがあるだろうが、相当な低水準だ。全体平均の年収では39歳~40歳男性404万6220円、女性298万6951円。業種による差異はあるだろうが、月額給与を抑え、その年の業績を賞与に反映している実情が見えてくる。だが、男女格差は歴然だし、子育て世代にとって、この低水準は教育費捻出に大きく影響し、家計の大きな課題になっていることがうかがえる。
では、子育てで最も教育費がかかる49歳~50歳はどうか。全体平均年収は男性456万3771円、女性341万9144円。10年間で50万円余の増額に留まり、年間5万円ほどの増額だけ。これでは高校卒後の進学がかなり危うく、大学進学では奨学金を求める傾向が増えている実情が、そのまま数字に出ている。
人口減少が深刻だ。「子育てしたい」自治体なのか、である。地域の部分的な調査データだが、この現実はまさに妻有の現実だ。地域経済のテコ入れが急務だ。経済政策が聞こえてこない。