これは3選表明か

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社説

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 来年2026年7月9日、津南町の桑原悠町長は2期目の任期満了を向かえる。その翌年、2027年4月に新生・津南小学校を開校する条例改正案を来週11日開会の町議会6月定例会に提案する。現在の津南小・芦ヶ崎小・上郷小の3校を統合し、町立小学校を一本化する条例改正案だ。地元説明会を経て「賛同を得た」と設置条例改正を提案する、この流れに違和感を抱く。任期を超えた政策判断である。ならば、「3選表明」なのか、である。
 小学校の再編統合は、津南町の場合、20年来の懸案事項になっている。桑原町長の前町政は、議員や住民要望を受けつつも「動かない8年間」だった。保育園再編と連動する問題だけに、住民意識は混在し、いまも多様な意見がある。だが地元住民のアンケート調査や説明会、懇談会を経て「再編統合に賛同」を得て、ようやく小学校再編が動き出し、今回の条例改正案の提案に至っている。
 政策判断は「機を見て敏なり」の通り、その一手がその先の情勢を決めることになるのは政治の世界の常道。行政事業も同様だが、今回の条例改正案の提出時期が気になる。
 「2027年4月に町立小学校一本化」。このシナリオは合意済みだが、その前年2026年7月9日、桑原町政は任期切れ、前月6月末に町長選がある。この流れを見ると、2027年4月開校の新生津南小学校設置は、「責任を持って開校する」含意があると受ける。直言するなら、任期後の政策決定は「事実上の3選表明」となる。言葉にはしないが、トップの心中は決まっているのだろう。その意志ある言葉を、来週からの町議会6月定例会で聞かれるのだろうか。
 行政の要は「継続」。トップの言葉に、真意がある。任期越えの政策判断、その責任ある言葉が聞きたい。

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