せめてお正月ぐらいは、と思ったが…

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人知を超える天災

松崎 房子 (元ゆずり葉編集委員)

気持ちよく晴れ上がって、すがすがしい新年の幕開けであった。年越しを一緒に過ごした子ども・孫たちとお祝いを済ませて初詣に出かけた。何事もなくこんな穏やかな時間がありがたいねと言いつつ。 
 せめてお正月はこれが一番と思っていたところ、けたたましい携帯の緊急メール。マナーモードにしていない人の分が鳴り出した。ゆらーん、ゆらーんと揺れている。結構長く感じるほど揺れた。テレビが石川県能登地方の激震を叫んでいる。
 長男のお嫁さんは石川県小松の人。皆で青くなった。何とか連絡が取れて、被害はあったものの、命の支障はないとの事でホッとはした。いつまでもいつまでも緊急地震速報ばかり、十日町は大丈夫か? あの人この人と次々心配になる。電話に飛びつきたいが、回線を塞ぐ事になるのもやってはいけない。
 2004年10月の中越地震が甦る。30年近く前の阪神淡路大地震、次々思い出される。神戸で育ち、離れてから40年近く経っているとはいえ生まれ故郷だ。当時は携帯などなく電話をかけ続けるが、全然繋がらない。公衆電話がつながりやすいと聞いて、近くのNTTへ飛んで行ったりした。
能登半島の形が竜の頭に見え、しっぽのあたりであろう千葉でも大ゆれだ。竜神さまは何にお怒りなのだろう⁉、不遜傲慢な人間どもに鉄槌を下されたのか? 我が身を振り返っても、ずいぶん楽な生き方をしていると気になってはいた。つつましさに欠けた昨今だと自覚はしている。では鉄槌は私に下されなければならない。今回の地域の人に下されるのは理不尽だ。
 世の中を不幸にする原因は多々ある。大別してみると、天災と人災に分けられるかも。人災のトップは何といっても戦争だ。何時までも無くなることなく、むしろ広がっている。世界中で平和を希求しているというのに。人災に比べて天災は人知の及ぶところでない。
 一番怖いのは地震であろう。地震がなければ津波はないのでは? それだけではない風水害、異常気象、数えていると呼び込みそうで怖くなる。 心配で心配での筈なのに、時間が経つと談笑している。翌日は箱根駅伝で山の妖精と呼ばれている評判の山本さんを応援している有様。
 成人になったばかりの孫は、東日本大震災のことを話す。戦後の情景が身に沁みついている私は、全国国中が壊滅状態だった当時より、支援ができる地域のほうが多いことを救いだと思っている。

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