コメ等級選別の限界、食味の区別化を

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社説

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 「コメ等級と食味は関係ない」。今期の猛暑・干ばつ被害によりコメ等級比率が過去最低クラスになる見込みを受け、コメどころ新潟の花角知事は、コメの味と等級低下は無関係、とコメントしている。この言葉に、生産者と食味を求める消費者は反応するだろう。 
 「等級による選別は必要なのか」、素朴な疑問が出る。「コメの等級分けは流通段階で大事な指標になる。消費者との関係で使われる指標ではない」と知事は話したという。流通する商品にはランク分けがあり、それ相応の価格が付けられる。これが市場経済だ。だが、今回のコメの「食味と等級選別は無関係」と、ことさらに強調されると、生産者もひとこと言いたくなるだろう。「ならば、食味ランクで区別化を」となる。
 今年12月、津南町で「米・食味分析鑑定コンクール国際大会」が開かれる。ここではまさに食味を競う。出品コメは選別の等級より食味を第一に審査する。「人の味覚」の判定だが、実は「うまいコメ」の炊飯前の科学的データはある。この数値データこそ「コメ区別化」だろう。生産者も消費者も納得する区別化だ。そこに相応の価格差があったとしても、十分に納得できる根拠になる。いまの1等米などコメ等級選別は「見た目」であり、消費者が重要視する食味は二の次だ。ただ、津南町認証米やJA十日町「極(きわみ)」などは、整粒歩合やタンパク数値まで求めるなど、食味に連動した区別化を導入している。
 今回の猛暑による等級低下は、コメ流通の価値観を転換する好機ではないか。JA全農がコメ流通の大きなシェアを持つ現状なら、まずJA系列から「価値観の転換」に取り組んではどうか。「魚沼産コシヒカリ1等米」は流通業者のためであり、消費者は「食味トリプルA」を求める。流通に振り回される時代から、生産者、消費者直結のコメ流通への転換が求められる。

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