スイカズラ

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中沢 英正(県自然観察保護員)

 梅雨前のこの時期、唇形の小花をびっしりつけて存在をアピールしている。幹は蔓性で、日当たりのいい道端や斜面などで垂れ下がっていることが多い。
 漢字にすると「吸蔓」で、花にある蜜を吸ったことからつけられた名である。子供にとっては宝の花だったのだ。
 別名は「ニンドウ(忍冬)」、冬に緑の葉を保っていることから。津南周辺では雪が多く積もるためなのか葉は枯れ落ちてしまう。忍ぶことが難しいのである。雪国ではこの名称は似つかわしくない。
 もう一つの別名に「キンギンカ(金銀花)」がある。花の咲き始めの白色を「銀」に、だんだんと黄味を帯びてくる様子を「金」に見たてたものである。花色の順だと「銀金花」だと思うのだが、語呂がいいからなのか、名づけ人が金に強い思い入れを持っていたためなのか…。
 花には芳香があるが、夜になると更に強くなり、受粉を手伝ってくれる蛾を誘う。

続きは本誌2024年6月8日号を御覧ください