マツブサとチョウセンゴミシ

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中沢 英正(県自然観察保護員)

 どちらもマツブサ科の蔓性の樹木である。種子の他に、地下茎を這わせて繁殖する。
 出会いはいつも深山だが、苗場山麓では超がつくほどの希少種だ。
 見つかるのは若木が多く、蔓を伸ばして絡みついているものは少ない。花を咲かせる株など尚更だ。
 花期は6~7月で、雌花と雄花があり、別々の株につく。雄株の方が多いが、雌雄同株を見かけたこともある。同株で性転換するとも言われているが…。(写真はマツブサ雄株・左、チョウセンゴミシ雌株・右)。
 花は似ているが、房状に成長する果実の色は全く違ってくる。マツブサは青黒色に、チョウセンゴミシは赤色に熟すのだ。
 蔓や果実には薬効があることが知られている。茶や入浴剤として利用すれば、血行促進、強壮などの作用がある。
 名は、蔓に松脂のような匂いがあることからと、朝鮮から種子を輸入し、果実に甘、苦など5つの味があること(五味子)から。