何かが動き始めているのか、いや、すでに世情が変り始めているのか、参院選結果に「空恐ろしさ」を感じる。「有権者が抱く日常生活の不安を訴え、支持を伸ばした」、それが参政党。だがここに「ポピュリズム」が加わると、事はそう簡単ではない。『日本人ファースト』を掲げる政党だ。「賃金が増えないのは…」「雇用が伸びないのは…」「日本人の労働を奪っているのは…」など選挙中に飛び交った参政党の言葉、さらには支持者と見られるネットでの言葉。これは「排外主義」ではないのか。
手法が似ていると感じた。あのトランプ言動だ。対立をあおり「敵」を作ることで原因の所在を意識させ、その対処療法に掲げる日本人ファースト。分かりやすい論法ではあるが、これこそポピュリズムではないか。本来、大衆迎合主義と和訳される言葉だが、負の側面と共に「正の側面」もある。日常生活に不満を抱く大衆が一つの課題に対し声を上げる。それに呼応する人の輪が増え、体制転換の状況を創り出す政治運動でもある。だが、今回の参政党の言動には「負」を感じる。
法律を定める国会に、その政党が議席を得た事実は相当に大きい。まして議員立法を提案できる議席数だ。参院議員の任期は6年間、これも大きい。「いつあってもおかしくない」と常套文句が並ぶ衆院選が、この国の民意が出る、まさに正念場になるだろう。それほどの「空恐ろしさ」を感じる今回の参院選だ。
今年、5千万人を超えると見られるインバウンド。並行して外国から就労を求めてくる人も多い。その最中の参院選だった。結果、排外主義が支持された形は、この国の将来をどう変えていくのだろう。十日町市9・33%、津南町は8・13%、栄村では6・62%の得票率の参政党。比例区では3、4番手の得票だ。有権者の「良識」が問われる、そんな国になってきた。