世界の人と通じ合う、そのための英語

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春日 彩音さん(2004年生まれ)

 「こんなことって、あるんですね」。スマホのSNSでその存在を知った外国の方が、なんと、自分がアルバイトしているコンビニ店に現れた。あの人だ、とすぐに話しかけ、とんとんと事が運び、いまそのアーティスト、ウォルフガング・ギルさん主宰の『ホンク・ツイート美術館』で働いている春日彩音さん(19)。高校時代に習得した語学力で、さらなる世界を見ている。

 八箇峠を超えて通った六日町高時代、外国を肌で感じる場面に出会った。
 南魚沼市などが支援する一般社団法人愛・南魚沼みらい塾の『youkeyプロジェクト』1期生に応募。「なにか国際支援の活動をしたいと、ずっと思っていました」。
 この思いは十日町中時代に芽が出た。全中駅伝8位入賞で大きな自信を得た。その自信で次のステップをめざした。十日町市が中学生対象に計画したカナダ留学に応募。内定していながら、コロナ禍の直撃を受け事業は中止。「悔しかったですね。陸上以外で初めて本気で頑張ろうと思ったことだったので、残念で、残念で。でも、外国への思いがより増しました」。

 参加したyoukeyプロジェクトの郊外探求プログラムに入った。活動先の大和・国際大学で南アフリカ出身の女性と出会う、インタビューした。女性は『貧富の差はあるけど、現地の人は彼らなりに幸せに暮らしている。貧しい国と思わず、南アフリカの良い所を伝えて欲しい』と母国への思いを話した。
 自分の先入観を思い直した。「支援というと物資や金銭を送ることだと思っていました。何が支援なのか、その意味が彼女の言葉から分かりました」。
 すぐに動いた。六日町高で独自のアンケートを取った。『アフリカに対するイメージは?』。やはり、だった。「多くがアフリカは貧困、というイメージが多かったです」。南アフリカを通じてアフリカへの理解を深めようと、国際大学やその女性の協力を得て『南アフリカの料理レシピ集』を独自に作成し、国際大学学園祭で配った。当然、会話は英語。「多くの外国の方々と関わって、英語力は格段にアップしたと思います。とにかく英単語を頭に叩き込みましたね」。
 国際大学での活動がさらに視野を広げ、国内の高校生や大学生が参加するサマーキャンプにも参加し、目の前の世界がさらに広がった。

 そして、大学受験。「友だちからは推薦で行けるのにって言われたけど、どうしても行きたい大学があって。その大学に絞り一般受験したんですが…」。難関大を受験したが…。「いま思うと、受験中、自分を追い込みすぎました。この春からバイトを始めています。でも、人と話すのって、本当に楽しくていいなぁと感じています」。
 そんな時にコンビニで出会ったのがギルさん。「美術館をつくる手伝いをしないかって言われ、すぐに行きました。大工さんに通訳をしたり一緒に家具を作ったり、まさか自分も関わるとは思いませんでしたが嬉しかったです。家にいる時間より、ここに居る時間の方が長いです。私のセカンドホームですね」。
 ギルさんとの出会いで、自分の中での変化を感じている。「ずっと外国っていいなって思っていましたが、ギルさんのコミュニティー作りへの思いや取り組みを間近で感じて、とっても素敵だなって。日本も良いなって思い始めています」。
 さらに、「でも、大学
には行きたいです。視野を広げ人と人の繋がりを増やし、自分を創っていけるようになりたいです」。コミュニケーションの大切さ、人と話すことが自分のメンタルケアになる、そう実感する春日さん。「そうですね、英語は世界の人と思いを通じ合う大切な手段です、私にとっては」。

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