完全停戦に、傍観者のままではいけない

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イスラエル、ガザに和平を

斎木 文夫 (年金生活者)

 10月に弟がこの世を去った。1人の死がこれだけ切ないのに、ウクライナや、イスラエル、ガザでは、どれだけの悲しみや苦しみが渦巻いているのだろう。
 10月7日、イスラム組織ハマスがイスラエルにミサイル攻撃を仕掛けた。対するイスラエルは、「自衛の戦い」と称して、ハマスの拠点があるパレスチナ自治区ガザに空と陸から攻撃を続けてきた。
 ガザ地区では、水も食料も燃料も電気もない過酷な状況が続いており、この間の死亡者は1万4千人以上、約半数が子どもと女性であるという。
 11月15日、国連安保理はガザ地区での戦闘の「人道的休止」を求める決議を賛成多数で採択した。日本を含む12ヵ国が賛成し、アメリカ、イギリス、ロシアの3ヵ国は棄権した。
 ガザ情勢を巡る安保理決議案は、それまでに4回提出されたが、常任理事国の拒否権などで否決されている。今回、米・英・露が反対でなく棄権に回らざるを得なかったのは、平和を望む世界の国々の圧力が高まってきたことの証である。
 イスラエル、ハマス両者は、それぞれ相手方の受刑者や人質の解放を条件に、24日から4日間の予定で休戦に応じた。これを書いている29日現在、休戦は2日間延長される可能性がある。
 国連の会議の場だけでなく、世界人類の多くが一時的な休戦より「停戦」を望んでいる。
 イスラエルによるガザ地区での無差別攻撃を非難する人、そのきっかけを作ったハマスを非難する人、パレスチナ人を追い出しての1948年のイスラエル「建国」の不合理を言う人、イスラエル建国は離散と迫害に耐えてきたユダヤ人2千年の悲願なのだと言う人……。様々な立場や主張の違いはあっても、「まず停戦を」の声は日に日に強くなっている。
 しかし、当事者は休戦期間が終わったら直ちに戦闘再開に向かえるよう態勢を整えつつある。
 日本は長い間、イスラエル、パレスチナ双方と外交を展開してきた。イスラエルべったりのアメリカの顔色をうかがうばかりでなく、各国への働きかけを強めるなど、平和を望む国々の先頭に立ってもらいたい。そのために私たちも何かできるのではないか。
 ちなみに、11月20日に静岡市議会は「ガザ地区における平和の実現を早期に求める決議」を、22日に石垣市議会は「パレスチナ・ガザ地区の即時停戦と医療・人道支援を求める決議」をそれぞれ全会一致で可決した。

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