放射能汚染の現実、根本議論はどこに

Category:
社説

contents section

 これが放射能の汚染実態なのだろう。
春の美味、山菜シーズンの最中、直売所など店頭販売する山菜・コシアブラからセシウムを検出したと、今月すでに2件の発表があった。十日町市と湯沢町だ。東日本大震災のフクシマ原発事故が振り撒いた放射性物質の一つ、セシウム。事故から14年経つが、いまも自然界に存在し、セシウムを多く採取するというコシアブラから検出されている現実は、「フクシマ原発事故」が続いている、ということだ。
 事故発生後、放射性物質の雲・プルームの流れを当時の気象条件を加え、見える化したデータがある。フクシマ原発の建屋が水素爆発した3月15日、大気の流れは太平洋から陸地に向って吹き、放出の放射性物質は気流に乗って陸地内部に流れた。新潟県は国境の三国山脈が流れを遮り大量のプルーム被害を免れた。だが一部は上信越国境の山脈を越え流れ込み、山麓の山菜や野生動物からセシウムが出ている。 
 森林に流れ込んだ放射性物質は針葉樹の細葉に付着。落葉する紅葉樹に付着したセシウムは落葉と共に林床に堆積。雨で流されるが、いまだ残るのが山菜や熊など野生動物などを通じて検出されている。放射性物質・セシウムの放射能半減期は30年という。
 「原発の電気を使う首都圏の消費者が、その電気が不要なら柏崎刈羽原発は不要になる。首都圏の消費者しだい」。地元県議から度々こうした発言を聞く。先日は「首都圏に聞いたが回答がなかった」という。ならば、東京のど真ん中、日比谷公園で「原発電力は必要ですか集会」を開いてはどうか。そこまで言うのであれば、そこまでやってほしい、それが地域代表の政治家ではないか。
 原発問題は、再稼働議論が中心だが、根本部分の「放射性廃棄物の処理」が全くめどが立っていない現実を直視してほしい。それが全てのスタートだ。

Category:
社説