日本が群を抜いているかも

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「お祓い」という行事

清水 裕理 (経済地理学博士)

 2024年が始まってから一ヶ月、節分が過ぎ立春を迎え、新しい年が本格的に動き出しました。
 4月の入学や就職に向け、大学に進学しようとする高校生は入試で希望する先を決めて個別試験に、小学校に上がるお子さんのいるご家庭では、ランドセルを何色にしようか選び始めている頃と思います。
 節分(毎年2月3日)は、各季節の始まりの前日のことを指し、今は一般的に、春の節分のことをいうようになりました。
 この日に神社などでは、「節分祭」と称するお祓いの行事が行われ、一緒に豆撒きも行われます。「♪ 鬼わーそと ふくわーうち」「♪ ふくわーうち ふくわーうち」と豆を投げ、最近は家庭で恵方巻きを食することとセットで行われるようになりました。豆撒きをすると、気分が高揚するようで、大人も子供も大声を出して盛り上がります。
 節分祭のほかにも、6月30日に半年分のケガレをとる「夏越(なごし)のお祓い」があります。神社の境内に、茅(ちがや)という草で編んだ「茅の輪」が準備され、それをくぐると、和気あいあいとした雰囲気となります。
 和気あいあいと言えば、家族や友達と食事をしながら楽しめる花火大会も、もともとは「火」によるお祓いの意味合いを含むことが多くあります。花火にお祓いの意味があるのを知らなかったとしても、花火が終わったあと、周りの空気に清々しさを感じるのは私だけでしょうか。
 おそらく世界のなかをみても、このように日常の行事のなかに「お祓い」があり、埃やケガレを祓い、清々しさを感じる空間が広がっているのは、日本が群を抜いてのことかもしれません。
 外国の方が初めて日本に来たとき、成田空港や羽田空港の施設を〝ピカピカ〟と表現するくらいにきれいと言い、掃除が行き届いていることに驚きの声があがっていると聞きます。
 空港をあとにして街に出ても、行き交う道のほとんどにごみは落ちておらず、奇跡と思うようなレベルとして映っているようです。
 実際には、日本でも上下水道などのインフラが整備されてからのことかもしれませんが、このように気持ちのよい空間を共有し維持がされていることは、素晴しいことだと思います。
 私たちはそれを教え込まれるというわけではなく、日常生活のなかで、行事などに触れ、自然と身に付いているところがあるように感じます。
 最近よくないニュースを耳にすることが増えるなか、原点に戻って、よいなと思う話をしました。

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