卒業宣言
松崎 房子 (元ゆずり葉編集委員)
自分も年を重ね、お付き合いをして下さる方々も、同様に年を重ねる。これまでも年々「年賀状卒業宣言」をされる方があった。今年は今までにも増して、この言葉を添え書きする方が多かった。郵便料金の値上げが少なからず影響したかな、と思う。
皆さん律儀で、元旦に間に合うように、年末のあわただしい頃に書きあげ、郵便局まで投函しに行くのも、一仕事になるかもと想像する。郵便の利用が減るので、値上げせざるを得ない。料金が上がるので、利用を控える、どちらが鶏か卵か?
そのほかに年末には、「調理卒業宣言」なる言葉も聞いた。私も家庭の事情で11歳から台所に立っている。実に73年勤続だ。卒業宣言をして果たしてどうなる? 変わってくれる人材は? 食べることは一日も欠かせない。自分で対策と傾向を考えるしかない。
そういえば、ミニコミ紙『ゆずり葉』を発行している頃、自然体? 頑張り体? なる文章を書いた事がある。当時の私は、自然体も大いに魅力的だが、がんばれる間は頑張り体と書いた。
それは今でも変わらない。
「賀状卒業宣言」をしているのを承知で、お元気ですか? 返信の心配は不要なので読み捨ててくださいと、元気でいることを知らせたいだけで、賀状を出した。
思いがけなく電話がかかってきた。『ゆずり葉』を大いに応援してくださった先輩からだった。百歳のクラス会の記事を、昨年だったか、地元の新聞で拝見したことがあった。私も神戸の小学校を卒業して以来、いまだにクラス会を続けている。百歳のクラス会を見習いたいと思っている、などとおしゃべりをした。矍鑠としたお話しぶりで、百二歳になるとはとても思えない。あやかりたいと思った。
心をつなぐ行いを続けていきたいので、郵便は欠かせない。値上がりしたとはいえ全国どこへでも、確実に届けてもらえるのは本当にありがたいことだと感謝している。
スマホ・メールもたどたどしく使い、電話でのおしゃべりも格別にうれしい。何時ダメになるか分からないが、留年を続けて、卒業宣言はしそうもない。張り合いがなくなるのは耐え難い。
考えてみると、心を結んで活動を続けていることばかりだ。『ゆすり葉』も『水曜会』も『十日町』も、とてもとても大事な私の宝物だ。いや、しつこくて、欲張りなだけかも。