秋決戦、困惑する新5区の有権者

Category:
社説

contents section

 「高市氏にならなくてよかった」。支持者から、何を言ってるんだ、と大声が飛んできそうだが、新総裁決定後の世論に多く見られ、聞かれた言葉だ。だが、その新首相・石破氏の言動には落胆した。総裁選の勢いはどこへ行ったのか。やはり自民体質は変わっていない、その印象を強くさせる石破新首相の「豹変ぶり」。持論をぶつけ合う、石破氏の得意とする舞台ではないのか。野田氏の言葉を借りれば、「なぜ逃げる」。
 独特の言い回しは、煙に巻く論法とはちょっと違う石破話術。結論にたどり着くまでの言葉の羅列は、相当なる多分野から言葉を引っ張り出し、結論へと導いていく。この話法は、実は野田氏も得意とする。だけに、「がっぷり四つに組んで」議論したかったのだろう。だが自民首脳陣は石破氏の個人的な思いを押さえつけ、政治資金不記載問題の追及、統一教会問題などの論争舞台を避ける道を選び、早期解散、今月27日投開票を決めてしまった。あれだけ言葉に勢いを持たせ、モヤモヤを抱いていたこの国の人たちの溜飲を下げてくれると思ったが、全くの見当違いだった。
 まさに政治の秋となった。ここ新5区はさらに事情が複雑だ。2人の現職は共に「傷負い」。新たに選挙区に入った魚沼エリアの南魚沼市・魚沼市・湯沢町の有権者の思いを考えると、なんともやりきれない。「いったい、誰の名前を書けばいいんだ。いや、書きたい名前が無いじゃないか」。そうだろう。選挙区再編後の初めての衆院選のステージは、あまりにもお粗末だ。
 だが、選ばなくてはならないのが有権者の責務。魚沼圏の課題は明確だ。地域医療体制、高規格道整備、雪対策、さらに魚沼米。この4点の課題には政治力が不可欠だ。政治は継続、だが政権政党の政治は人で変わる。政権交代の先の姿が見えない現実もある。短期決戦の選挙、選択肢を見極めたい。

Category:
社説