議員報酬に見える自治体のセンス

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社説

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 十日町市議会は議会改革特別委員会を設け、議員定数を改定し、いまは議員報酬のあり方と向き合っている。栄村議会も全議員で2年後の改選に向けて、定数と報酬の基本的な考え方を論議している。
 先月22日、改選した津南町議会は定数削減後の初の選挙を経験し、新メンバー12人が10日の任期開始日から活動を始めている。その津南町議会は議員報酬を町特別職報酬等審議会に、その取り扱いを委ねている。近く報酬審議会が開かれる予定だ。引上げの方針と見られる。
 議員報酬では様々な先行例がある。こちらは長野県生坂村(いくさかむら)。県中央部にあり松本市まで約25㌔、長野市まで約50㌔、村の中央を千曲川水系の犀川が流れる人口1667人(11月)、718世帯の長野県で5番目に小さな自治体だ。
 生坂村議会(定数8)は2020年、議員のなり手不足の対策の一つとして議員報酬を大胆に改定した。55歳以下の月額報酬をそれまでの18万円から30万円に引き上げた。働き世代・子育て世代へのアピールだ。その結果、翌年2021年4月の改選では、長らく無投票が続いていた村議選が20年ぶりの選挙戦になり、定数8のメンバーの世代交代が進み、女性が3人に増えた。副議長は女性だ。
 ここで注目は、議員報酬はその議会で一律である必要がないという点だ。地方自治法では議員定数の上限は定めているが、議員報酬を定める規定はない。つまり自治体条例で定めることになる。生坂村議会は議員のなり手不足の対策として取り組んだのが、この55歳以下の大幅引き上げだ。ただ生坂村議会はこの大幅アップを検証している。55歳以下の区切りの理解は得られたが、引上げ額は村民アンケートでは6割余が「見直しが必要」としている。
 自治体とは、まさに『自治』である。そこに自治体のセンスが見える。

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