除排雪、冬の公共事業

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社説

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 国県道、市町村道の除排雪は当たり前だ。土木分野の公共事業は冬期間、休眠状態が多く、その「事業力」をこの地に暮らす住民の暮らしを支える除排雪に導入する、それが「冬の公共事業」。建築・建設・土木の事業者の多くは、雪処理する小型から大型重機や除排雪機械を持つ。これを公共事業としてフル活用する方策はできないか。
 今回の大雪で十日町市、津南町は豪雪対策本部を立ち上げた。さらに国災害救助法の適用で除排雪費用など国費対応になる。ただ対象はいわゆる生活弱者、限られた世帯だ。一方で対象外の「準対象者」といえる除排雪困難者は多い。高齢者世帯、様々な事情で親子だけの世帯など救済対象外の世帯も大雪が生活を圧迫し、経済的な困窮度を増している。だが、なかなか声を上げられないのが現実だ。
 春になり雪が融けると、この苦しみを忘れてしまう雪国。昭和の56豪雪、59豪雪、平成の18年豪雪など過去の積雪記録を見れば、あの日・あの時の雪の労苦がよみがえるが、実感としては遠い過去になってしまう。だが、忘れてしまうとされる雪の苦労は今後、さらに増す状況にあるという。
 全国的な大雪ニュースで関心度が増しているのが今後の気象予測。地球温暖化が言われた当時、同時に小さなニュースが流れた。雪の降り方の将来予想だ。『雪そのものは少なくなる傾向だが、一方で日本海の海水温の上昇で水蒸気を含んだ雲が連続的に大量発生し、冬はそこに寒気が入り込むと、局地的にこれまで以上の大雪が度々発生する確率が高い』。今冬はまさにこれが大当たり。1週間余り降り続けた雪で、積雪3㍍超えの地域が続出している。来季も可能性が高いという。
 「冬の公共事業」、どうシステム化するか、行政の知恵の出し所だ。暮らしやすい雪国づくり、まさに国の地方創生事業になるのでは。

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