その年度がスタートする4月に改選を向かえる市町村長は、新年度の予算編成を事業詳細予算ではなく、いわゆる「骨格」だけ予算編成する場合が多い。十日町市は市町村合併後、年度スタートの4月に市長選を毎回行い、その時の現職は「市政の継続」から改選後の新年度市政に滞りが無いように、事業詳細予算を組んできた。4期在職の関口市長も、改選時の新年度予算は「次の4年間はこうしたい」と市政方針を反映させ、予算編成した。
だが、今回発表した新年度予算は「骨格予算」。素直に受ければ「今期限りで引退」だが、どうも市長周辺を取材すると、ニュアンスが違う。「両面の構え」ではないのか。
多選批判は「重々承知」しているであろう66歳の関口市長。今回の骨格予算は言葉にはしていないが、「どうぞ、バトンタッチの用意は出来ています」とも取れる。つまり『呼び水』ではないのか。 2期在職時、「トップは2期交代が良い」と行政長のあり方を一般論で述べたことがある関口市長。その倍の4期在職の現実は、自身の政治ポリシーとかけ離れた存在になり、その弊害を自覚しているのではないか。旧十日町市を含め十日町市では過去最多選の市長で、市民感情を肌感覚で感じる4期在職の心境が、今回の骨格予算によく現われている。
もう一つのシナリオ。進退表明が遅れ、「もう1期してもらいたい」と市民から声が上がり、「最後の奉公」と5選出馬。事実、後援会周辺の動きがない現状が、その証左だろう。
ならば、現職表明の前に『呼び水』に応える新人の出番ではないか。同時選の市議選。再出馬の現職市議はすでに臨戦態勢だ。「向かう先を市長選に」代えることはできる。関口市長の『言葉なきメッセージ』を受ける「誰か」はいないのか。市民の期待は増している。