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妻有新聞掲載記事一覧

  • 赤字路線公表、どう動く沿線自治体

     JR東は、赤字路線の実態を昨年に続き公表した。飯山線の数値は深刻だが、だから…とはならない取り組みが沿線には必要だ。昨年に続く赤字路線の公表に、沿線自治体はどう動き、何を発信するのか。目の前に提示され、示された現実は看過できないだろう。だが、昨年の沿線自治体の対応を見ると、心もとない。JRに対する沿線の姿勢が見えないからだ。
     公表数値によると、飯山線で深刻度が高いのが「津南駅—戸狩野沢温泉駅」である。この区間、沿線の利用人口がそもそも少なく、県境を走る飯山線の中でも、特に利用人口が少ない地域である。JRによるこの区間設定がどうなのかの疑問はあるが、この区間をピックアップし、その営業係数の深刻度を大きくアピールしている。
     今後、毎年公表する方針なら、これは「雰囲気づくり」ではないのか。「これだけ赤字なら…仕方ない…」、そんな言葉を待っているのか、と懐疑心が湧いてくる。だからこそ、沿線自治体の反応が必要だ。栄村・津南町・十日町市、昨年の公表後、「説明に来てほしい」とJR東に要望したのか。要望したなら、JR東は地元に説明に来たのか、それさえも沿線住民には知らされず、今回再び「赤字路線」として飯山線が全国ニュースで流される現実は、沿線住民として納得できないことだ。
     飯山線に関係しては、飯山線沿線自治体連絡協議会という組織がある。会長は飯山市・江沢市長だ。今回の公表にどう反応し、どう動くのか。さらに、どう沿線住民に説明するか、どう飯山線を考えていくのか、などなど共有すべき課題は多い。このまま毎年の公表を看過するなら、事態は確実に、「その方向」に進むだろう。
     飯山線。千曲川、信濃川に寄り添うように走る鉄路だ。いわば『千曲信濃ライン』、郷愁を誘う名称もいい。そろそろ、腰を上げる時ではないか。

    2023年11月25日号

  • 39歳江村氏、副議長

    恩田議長続投、来月13日定例会

    津南町議会

    津南町議会は改選後の初議会を16日開き、議会人事を決めた。議長には前議長の恩田稔氏(72・5期)、副議長には江村大輔氏(39・2期)を選出した。議会運営の要の議会運営委員長は最ベテランの吉野徹氏(75・8期)が就任。

    2023年11月18日号

  • 「後悔している」5つのこと

    自分がいつ死ぬかは自分では分からない

    Vol 86

    今週、下条中学校の全校生徒さんの前で性のお話講演会をしてきました。テーマは「私たちは生きるために生まれてきた」でした。伺う際にお世話になった下条中学校の関係の皆様、本当にありがとうございました。今日は下条中学校の皆さんの前で、最後にしたお話を少し書きたいと思います。
     何かでたまたま見かけたものなのですが、がんで亡くなる患者さんに多く接する機会のあった医療関係者の方のお話でした。がんで亡くなる患者さんが話してくださった「後悔していること」、そのお話の内容は大きく分けると5つに分けられる、というものでした。 それは、①自分に正直な人生を生きればよかった②そんなに働かなくても良かった③もっと自分の感情を表に出すべきだった④友達と連絡を取り続ければよかった⑤もっと自分を幸せにしてあげるべきだった、の5つです。
     私も十日町に戻ってくる前に埼玉で働いていた時は、婦人科のがんの患者さんの治療に携わっていました。子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がん、卵管がん、さまざまながんの患者さんたちです。お孫さんのいる年齢の人、小さい子どもさんのいる40代くらいの人、自分とたいして年齢の違わない若い30代の人、9歳の女の子などなど。
     30代の子宮体がんの方は、たかき医院が以前「笑ってこらえて」というテレビに出させてもらったときに「再発して治療のために入院しています。先生がテレビに出ていたのを見ました。顔が見られて嬉しかった」とメールを下さったのが最後のやり取りでした。今でもメールは消せません。 
     9歳の女の子は卵巣がんで入院していて、抗がん剤の点滴をする日になると、「栄美子先生の点滴が一番痛くないからお願いします」と言われてすごくプレッシャーだったのを思い出します。今となっては良き思い出。今はその子は成人して、元気にしていると聞いています。
     亡くなっていってしまった患者さんたちとお話をする時間は多くありましたが、その話の中にこの5つの内容があっただろうかと、今振り返って思い出そうとしても思い出せません。患者さんの心の内にはあったのかもしれません。私が聞きだせなかっただけかもしれません。
     皆さんは5つのうちのどの内容が一番心に響きましたか? この内容は決してがんで亡くなるという特定の状況の時に思い浮かぶものではなく、理由はどうあれ、自分の命が今尽きると分かったときに、すべての人に思い浮かぶ可能性のあるものなのではないかなと感じています。
     自分がいつ死ぬかは自分では分からないもの。もしかしたら1時間後かもしれないし、明日かもしれないし、10年後かもしれない。また、どんな状況かも分かりません。
    でも、どんな時に自分の人生の終わりが来ても、後悔が無いように生きていたいものです。
     ちなみに私は、⑤のもっと自分を幸せにしてあげるべきだった、が響きました。何をもって幸せと思うかはひとによると思うのですが、自分が毎日笑顔でいられる選択をしていくこと、を日々続けていくことが、幸せにつながるのではないかなと思っています。ぜひ、たまにこの5つを思い出してみてください。いかに生きるのかを探求したい方は、ぜひお気軽にお声掛けください。
     (たかき医院・仲栄美子医師)

    2023年11月18日号

  • 地域医療に光、新規医院開業3件目

    整形外科医・村岡治医師29日開業、市支援も後押し

    元十日町病院医師

     新たな地域医療を支えるクリニックがまた一つ加わる。県立十日町病院に勤務していた整形外科医が独立、今月29日に開業する。その思いは、「地域の皆さんの人柄がすごく温かくて。治療に当たると感謝の言葉を多く頂き、医師としてやりがいを感じる」。さらに開業を後押しするのが、十日町市の医療機関の施設整備で限度額5千万円、設備整備で1千万円など新規開院や診療継続を補助する『十日町市医療施設整備等支援事業』。2017年度制度開始後、同事業を利用する開業は今回で3件目。これまで眼科医、内科医と外科医、そして今回の整形外科医が独立開業に至っている。住民の人柄と行政支援により、医師不足に悩む豪雪地の地域医療の、一筋の光明になっている。

    2023年11月18日号

  • 蕎麦と同じ「焙煎したて、挽きたて、淹れたて」

    コーヒー豆との出会い

    村山 朗 (会社員)

     今回はごく個人的なことを書きたいと思います。読者の皆さんは普段どんな飲み物を飲まれていますか。緑茶派? 紅茶派?コーヒー派? 様々だと思います。筆者はコーヒー派です。とはいえ、コーヒーに特別なこだわりがあったわけではなく、 長年毎日インスタントコーヒーを飲んでいました。  
     ところがある時、友人からコーヒー豆が届き、はて面倒だなぁ、と思いつつせっかくの好意を無にしちゃいかんと、必要最低限のコーヒーミルとサーバー、ドリッパー、フィルターペーパーを購入しました。
     無手勝流で淹れ方もいい加減だったのですが、明らかに香りや後味が違いました。それまで飲んでいたのがインスタントでしたから、とにかく香りのしない後味が舌に残るコーヒー(喫茶店のコーヒーでもそういうコーヒーが多いと思いませんか?)だったわけで、まあコーヒーとはこんなもんだと思っていました。 
     最低限の器具でしたが、このままではもったいないと思い、市内にあるコーヒー豆の専門店のドアを開け、あれこれ尋ねながら豆を購入しました。自分で挽いて淹れる。明らかに後味のスッキリしたうまいコーヒーに仕上がります。
     これをきっかけにネットで調べるとコーヒー豆を販売するサイトがたくさんありました。
     日本では缶コーヒーからコンビニのコーヒーまでさまざまな飲み方をしますが、世界でも指折りのコーヒー消費国で、アメリカ、ブラジル、ドイツに次いで第4位だそうです。日本ではほかの国に比べ自分で淹れて飲む人口が多いそうなので、豆専門の店が成り立っているのでしょうね。
     ネットには割安なさまざまなお試しセットがあって、飲み始めたころにはそれらを利用していろんな味を試しました。産地(国)や農場、豆屋さんのブレンドの仕方によって本当にたくさんの味や香りがあります。値段もピンからキリまですが、自分の財布と相談してそれほど高くない豆で楽しんでいます。
     蕎麦では挽きたて、打ちたて、ゆでたてが最良とされますが、コーヒーも同じです。高い豆でなくても、焙煎したて(小規模な豆屋さんなら焙煎したてを送ってくれます)、挽きたて、淹れたてであれば本当にうまいコーヒーが自宅で楽しめます。
     毎朝少しの時間をおごって、豆を挽いて淹れますが、豆を取り出したときや挽きたての香り、後味の良さ、一回分の外食費程度でひと月幸せな気分にさせてくれます。何より嬉しいのが、我が家の山の神が喜んでくれること(笑)。

    2023年11月18日号

  • 前倉の慰霊碑

    小林 幸一(津南案内人)

     中津川第一線工事での殉職者の慰霊碑は切明の沈砂池の上にあります。碑には「中津川第一線工事の殉職者追悼碑」とあり、裏には昭和3年7月建立、大林組社長と刻まれています。
     また、中津川第一線工事では県境で工区が分かれていて、新潟県側の穴藤~前倉工区を日本土木(大倉組)現在の大成建設が請け負いましたが、会社としての慰霊碑は今のところ不明です。
     前倉の阿部利昭氏から「前倉の山の中に聖徳太子の石塔が建っている」との情報を得て現地に出かけたところ、原生林の中に大きな岩が集められ、その碑は建っていました。表には聖徳太子と大きく刻まれ、裏にはこの碑を建てた11人の名前が彫られています。肩書には「現場監査役」「工事請負人」「現場世話役」「帳場役」「工事小頭」「坑夫小頭」「石工」等出身地や実名が彫られています。
     そもそも聖徳太子とは大工や職人たちが信仰していた守護神で、工事の安全や亡くなった人の慰霊を兼ねる碑のようです。
     建立が大正11年11月1日ということは秋山郷で発電した電力が東京に送電された月でもあり、4ヵ月前には朝鮮人の溺死体が発見された年でもありますので、これは安全祈願というよりは工事関係者が建立した慰霊碑だと言えます。また後日、阿部氏から「聖徳太子の碑の奥に大峯神社の碑がある」とのことで案内をして頂きました。
     前倉から高野山に上がる車道の脇に車を停めて道のない急斜面を転がるように50㍍ほど下ると杉林の中にひときわ太く何本も寄り添って立っている杉の根元に小さな碑がありました。
     建立は大正12年8月、工事関係者は故郷に向かって帰省が始め、発電所景気に沸いた大割野には不景気風が吹き始めた頃ですから、やはり安全祈願ではなく、慰霊のために建立したものです。裏面には「信越電力」「日本土木」の他に「田巻事務所一同」の名前が刻まれ、工事発注者や元受けの名前も出てきましたが、切明の慰霊碑に比べると辺鄙な場所で碑も小さく、とても大会社が建立したものとは思えません。きっと秋山郷の原生林の中で草に埋もれ探し出される日待っている碑がまだあるはずです。
     前倉の2つの碑を調査して思ったことは、建立した人たちには後ろめたいことなどなく、実名まで彫って後世に残そうとしたことから、世間で騒がれた朝鮮人虐待事件は、当の現場ではそれほど問題視されていなかったのではないでしょうか。
     この問題はまだまだ調査が必要ですが、過酷な環境の中で大事業を完工し、その後各地に散って行った人夫や技術者たちのことを忘れてはいけない場所としてこれからも守って行きたいと思います。

    2023年11月18日号

  • 議員報酬に見える自治体のセンス

     十日町市議会は議会改革特別委員会を設け、議員定数を改定し、いまは議員報酬のあり方と向き合っている。栄村議会も全議員で2年後の改選に向けて、定数と報酬の基本的な考え方を論議している。
     先月22日、改選した津南町議会は定数削減後の初の選挙を経験し、新メンバー12人が10日の任期開始日から活動を始めている。その津南町議会は議員報酬を町特別職報酬等審議会に、その取り扱いを委ねている。近く報酬審議会が開かれる予定だ。引上げの方針と見られる。
     議員報酬では様々な先行例がある。こちらは長野県生坂村(いくさかむら)。県中央部にあり松本市まで約25㌔、長野市まで約50㌔、村の中央を千曲川水系の犀川が流れる人口1667人(11月)、718世帯の長野県で5番目に小さな自治体だ。
     生坂村議会(定数8)は2020年、議員のなり手不足の対策の一つとして議員報酬を大胆に改定した。55歳以下の月額報酬をそれまでの18万円から30万円に引き上げた。働き世代・子育て世代へのアピールだ。その結果、翌年2021年4月の改選では、長らく無投票が続いていた村議選が20年ぶりの選挙戦になり、定数8のメンバーの世代交代が進み、女性が3人に増えた。副議長は女性だ。
     ここで注目は、議員報酬はその議会で一律である必要がないという点だ。地方自治法では議員定数の上限は定めているが、議員報酬を定める規定はない。つまり自治体条例で定めることになる。生坂村議会は議員のなり手不足の対策として取り組んだのが、この55歳以下の大幅引き上げだ。ただ生坂村議会はこの大幅アップを検証している。55歳以下の区切りの理解は得られたが、引上げ額は村民アンケートでは6割余が「見直しが必要」としている。
     自治体とは、まさに『自治』である。そこに自治体のセンスが見える。

    2023年11月18日号

  • 減収3億円余、等級落ち深刻

    初の規格外米に仮渡金、追加増も

    JA十日町エリア

    1等米は11%台、規格外米増で初の追加仮渡金を―。JA十日町(柄澤和久会長)は夏場の高温影響による規格外米の大量増を受け、9月に仮渡金増を決めたが、さらに今月1日に追加を決定。未熟混入うるちAは1万1500円(改定前より1500円増)、それ以外は6千円(同千円増)。なお例年は規格外米は少量のため、仮渡金は設定していない。

    2023年11月11日号

  • 再エネ「地熱発電」に熱視、秋山郷でも

    屋敷地区で2千メートル掘削、地元合意後に県申請へ

    近く協議会創設

     世界情勢変化によるエネルギー確保不安のなかで、関心がより高まっている「再生可能エネルギー」。特に地熱発電は地下にある熱水と蒸気を取り出し、蒸気で発電機をまわし発電するため、二酸化炭素排出量はほぼゼロ、安定的に24時間発電が可能で期待は大きい。秋山郷屋敷では再生可能エネ事業を取り扱う東京の投資会社が関わる地熱発電所の開発計画が浮上、栄村に申請届が出ている。ただ栄村は6月末発生の北海道・蘭越町の地熱発電所事故を受け、安全確保への懸念が高まったことから慎重な姿勢をみせている。一方、十日町市松之山では、温泉を使った地熱発電「コミュニティ発電・ザ・松之山温泉」が発電業者と地元温泉街との連携により3年前から稼働。運営会社には地元住民が役員に入り、今年10月からは国固定価格買取制度(FIT)に基づいた売電を開始。エネルギーの地産地消に向け、新たな段階に入っている。

    2023年11月11日号

  • ロクショウグサレキン属

    照井 麻美(津南星空写真部)

     秋と言えばキノコですが、今回はロクショウグサレキン属という私が山の中で好きなキノコをご紹介します。
     漢字にすると「緑青腐菌」と書き、見た目が銅のサビのような緑青色に似ていることから名づけられたそうです。
     大きさは2~5mmほどと小さく、毒はないそうですが、食すことは難しいようです。
     木の表面に出ている部分だけでなく、木の中も菌糸で同じような緑青色に染まっており、誰かが塗ったのではないかと思わせるような色は草木染ならぬ、キノコ染めという染め物の顔料にもなり、大変鮮やかで美しい青色に染まります。
     ちなみにキノコの分類は難しいので、今回のこの写真はロクショウグサレキンモドキと思われますが、正確には青くて小さな「お皿」部分の裏側に柄が中心についているのが「ロクショウグサレキン」中心からずれているのが「ロクショウグサレキンモドキ」と分類されるので、ロクショウグサレキン属というタイトルにしました。
     ぜひ、全国各地に分布しているので山の中で枯木、切株などの上に生息する鮮やかな色を探してみてください。

    2023年11月11日号

  • 赤字路線公表、どう動く沿線自治体

     JR東は、赤字路線の実態を昨年に続き公表した。飯山線の数値は深刻だが、だから…とはならない取り組みが沿線には必要だ。昨年に続く赤字路線の公表に、沿線自治体はどう動き、何を発信するのか。目の前に提示され、示された現実は看過できないだろう。だが、昨年の沿線自治体の対応を見ると、心もとない。JRに対する沿線の姿勢が見えないからだ。
     公表数値によると、飯山線で深刻度が高いのが「津南駅—戸狩野沢温泉駅」である。この区間、沿線の利用人口がそもそも少なく、県境を走る飯山線の中でも、特に利用人口が少ない地域である。JRによるこの区間設定がどうなのかの疑問はあるが、この区間をピックアップし、その営業係数の深刻度を大きくアピールしている。
     今後、毎年公表する方針なら、これは「雰囲気づくり」ではないのか。「これだけ赤字なら…仕方ない…」、そんな言葉を待っているのか、と懐疑心が湧いてくる。だからこそ、沿線自治体の反応が必要だ。栄村・津南町・十日町市、昨年の公表後、「説明に来てほしい」とJR東に要望したのか。要望したなら、JR東は地元に説明に来たのか、それさえも沿線住民には知らされず、今回再び「赤字路線」として飯山線が全国ニュースで流される現実は、沿線住民として納得できないことだ。
     飯山線に関係しては、飯山線沿線自治体連絡協議会という組織がある。会長は飯山市・江沢市長だ。今回の公表にどう反応し、どう動くのか。さらに、どう沿線住民に説明するか、どう飯山線を考えていくのか、などなど共有すべき課題は多い。このまま毎年の公表を看過するなら、事態は確実に、「その方向」に進むだろう。
     飯山線。千曲川、信濃川に寄り添うように走る鉄路だ。いわば『千曲信濃ライン』、郷愁を誘う名称もいい。そろそろ、腰を上げる時ではないか。

    2023年11月25日号

  • 39歳江村氏、副議長

    恩田議長続投、来月13日定例会

    津南町議会

    津南町議会は改選後の初議会を16日開き、議会人事を決めた。議長には前議長の恩田稔氏(72・5期)、副議長には江村大輔氏(39・2期)を選出した。議会運営の要の議会運営委員長は最ベテランの吉野徹氏(75・8期)が就任。

    2023年11月18日号

  • 「後悔している」5つのこと

    自分がいつ死ぬかは自分では分からない

    Vol 86

    今週、下条中学校の全校生徒さんの前で性のお話講演会をしてきました。テーマは「私たちは生きるために生まれてきた」でした。伺う際にお世話になった下条中学校の関係の皆様、本当にありがとうございました。今日は下条中学校の皆さんの前で、最後にしたお話を少し書きたいと思います。
     何かでたまたま見かけたものなのですが、がんで亡くなる患者さんに多く接する機会のあった医療関係者の方のお話でした。がんで亡くなる患者さんが話してくださった「後悔していること」、そのお話の内容は大きく分けると5つに分けられる、というものでした。 それは、①自分に正直な人生を生きればよかった②そんなに働かなくても良かった③もっと自分の感情を表に出すべきだった④友達と連絡を取り続ければよかった⑤もっと自分を幸せにしてあげるべきだった、の5つです。
     私も十日町に戻ってくる前に埼玉で働いていた時は、婦人科のがんの患者さんの治療に携わっていました。子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がん、卵管がん、さまざまながんの患者さんたちです。お孫さんのいる年齢の人、小さい子どもさんのいる40代くらいの人、自分とたいして年齢の違わない若い30代の人、9歳の女の子などなど。
     30代の子宮体がんの方は、たかき医院が以前「笑ってこらえて」というテレビに出させてもらったときに「再発して治療のために入院しています。先生がテレビに出ていたのを見ました。顔が見られて嬉しかった」とメールを下さったのが最後のやり取りでした。今でもメールは消せません。 
     9歳の女の子は卵巣がんで入院していて、抗がん剤の点滴をする日になると、「栄美子先生の点滴が一番痛くないからお願いします」と言われてすごくプレッシャーだったのを思い出します。今となっては良き思い出。今はその子は成人して、元気にしていると聞いています。
     亡くなっていってしまった患者さんたちとお話をする時間は多くありましたが、その話の中にこの5つの内容があっただろうかと、今振り返って思い出そうとしても思い出せません。患者さんの心の内にはあったのかもしれません。私が聞きだせなかっただけかもしれません。
     皆さんは5つのうちのどの内容が一番心に響きましたか? この内容は決してがんで亡くなるという特定の状況の時に思い浮かぶものではなく、理由はどうあれ、自分の命が今尽きると分かったときに、すべての人に思い浮かぶ可能性のあるものなのではないかなと感じています。
     自分がいつ死ぬかは自分では分からないもの。もしかしたら1時間後かもしれないし、明日かもしれないし、10年後かもしれない。また、どんな状況かも分かりません。
    でも、どんな時に自分の人生の終わりが来ても、後悔が無いように生きていたいものです。
     ちなみに私は、⑤のもっと自分を幸せにしてあげるべきだった、が響きました。何をもって幸せと思うかはひとによると思うのですが、自分が毎日笑顔でいられる選択をしていくこと、を日々続けていくことが、幸せにつながるのではないかなと思っています。ぜひ、たまにこの5つを思い出してみてください。いかに生きるのかを探求したい方は、ぜひお気軽にお声掛けください。
     (たかき医院・仲栄美子医師)

    2023年11月18日号

  • 地域医療に光、新規医院開業3件目

    整形外科医・村岡治医師29日開業、市支援も後押し

    元十日町病院医師

     新たな地域医療を支えるクリニックがまた一つ加わる。県立十日町病院に勤務していた整形外科医が独立、今月29日に開業する。その思いは、「地域の皆さんの人柄がすごく温かくて。治療に当たると感謝の言葉を多く頂き、医師としてやりがいを感じる」。さらに開業を後押しするのが、十日町市の医療機関の施設整備で限度額5千万円、設備整備で1千万円など新規開院や診療継続を補助する『十日町市医療施設整備等支援事業』。2017年度制度開始後、同事業を利用する開業は今回で3件目。これまで眼科医、内科医と外科医、そして今回の整形外科医が独立開業に至っている。住民の人柄と行政支援により、医師不足に悩む豪雪地の地域医療の、一筋の光明になっている。

    2023年11月18日号

  • 蕎麦と同じ「焙煎したて、挽きたて、淹れたて」

    コーヒー豆との出会い

    村山 朗 (会社員)

     今回はごく個人的なことを書きたいと思います。読者の皆さんは普段どんな飲み物を飲まれていますか。緑茶派? 紅茶派?コーヒー派? 様々だと思います。筆者はコーヒー派です。とはいえ、コーヒーに特別なこだわりがあったわけではなく、 長年毎日インスタントコーヒーを飲んでいました。  
     ところがある時、友人からコーヒー豆が届き、はて面倒だなぁ、と思いつつせっかくの好意を無にしちゃいかんと、必要最低限のコーヒーミルとサーバー、ドリッパー、フィルターペーパーを購入しました。
     無手勝流で淹れ方もいい加減だったのですが、明らかに香りや後味が違いました。それまで飲んでいたのがインスタントでしたから、とにかく香りのしない後味が舌に残るコーヒー(喫茶店のコーヒーでもそういうコーヒーが多いと思いませんか?)だったわけで、まあコーヒーとはこんなもんだと思っていました。 
     最低限の器具でしたが、このままではもったいないと思い、市内にあるコーヒー豆の専門店のドアを開け、あれこれ尋ねながら豆を購入しました。自分で挽いて淹れる。明らかに後味のスッキリしたうまいコーヒーに仕上がります。
     これをきっかけにネットで調べるとコーヒー豆を販売するサイトがたくさんありました。
     日本では缶コーヒーからコンビニのコーヒーまでさまざまな飲み方をしますが、世界でも指折りのコーヒー消費国で、アメリカ、ブラジル、ドイツに次いで第4位だそうです。日本ではほかの国に比べ自分で淹れて飲む人口が多いそうなので、豆専門の店が成り立っているのでしょうね。
     ネットには割安なさまざまなお試しセットがあって、飲み始めたころにはそれらを利用していろんな味を試しました。産地(国)や農場、豆屋さんのブレンドの仕方によって本当にたくさんの味や香りがあります。値段もピンからキリまですが、自分の財布と相談してそれほど高くない豆で楽しんでいます。
     蕎麦では挽きたて、打ちたて、ゆでたてが最良とされますが、コーヒーも同じです。高い豆でなくても、焙煎したて(小規模な豆屋さんなら焙煎したてを送ってくれます)、挽きたて、淹れたてであれば本当にうまいコーヒーが自宅で楽しめます。
     毎朝少しの時間をおごって、豆を挽いて淹れますが、豆を取り出したときや挽きたての香り、後味の良さ、一回分の外食費程度でひと月幸せな気分にさせてくれます。何より嬉しいのが、我が家の山の神が喜んでくれること(笑)。

    2023年11月18日号

  • 前倉の慰霊碑

    小林 幸一(津南案内人)

     中津川第一線工事での殉職者の慰霊碑は切明の沈砂池の上にあります。碑には「中津川第一線工事の殉職者追悼碑」とあり、裏には昭和3年7月建立、大林組社長と刻まれています。
     また、中津川第一線工事では県境で工区が分かれていて、新潟県側の穴藤~前倉工区を日本土木(大倉組)現在の大成建設が請け負いましたが、会社としての慰霊碑は今のところ不明です。
     前倉の阿部利昭氏から「前倉の山の中に聖徳太子の石塔が建っている」との情報を得て現地に出かけたところ、原生林の中に大きな岩が集められ、その碑は建っていました。表には聖徳太子と大きく刻まれ、裏にはこの碑を建てた11人の名前が彫られています。肩書には「現場監査役」「工事請負人」「現場世話役」「帳場役」「工事小頭」「坑夫小頭」「石工」等出身地や実名が彫られています。
     そもそも聖徳太子とは大工や職人たちが信仰していた守護神で、工事の安全や亡くなった人の慰霊を兼ねる碑のようです。
     建立が大正11年11月1日ということは秋山郷で発電した電力が東京に送電された月でもあり、4ヵ月前には朝鮮人の溺死体が発見された年でもありますので、これは安全祈願というよりは工事関係者が建立した慰霊碑だと言えます。また後日、阿部氏から「聖徳太子の碑の奥に大峯神社の碑がある」とのことで案内をして頂きました。
     前倉から高野山に上がる車道の脇に車を停めて道のない急斜面を転がるように50㍍ほど下ると杉林の中にひときわ太く何本も寄り添って立っている杉の根元に小さな碑がありました。
     建立は大正12年8月、工事関係者は故郷に向かって帰省が始め、発電所景気に沸いた大割野には不景気風が吹き始めた頃ですから、やはり安全祈願ではなく、慰霊のために建立したものです。裏面には「信越電力」「日本土木」の他に「田巻事務所一同」の名前が刻まれ、工事発注者や元受けの名前も出てきましたが、切明の慰霊碑に比べると辺鄙な場所で碑も小さく、とても大会社が建立したものとは思えません。きっと秋山郷の原生林の中で草に埋もれ探し出される日待っている碑がまだあるはずです。
     前倉の2つの碑を調査して思ったことは、建立した人たちには後ろめたいことなどなく、実名まで彫って後世に残そうとしたことから、世間で騒がれた朝鮮人虐待事件は、当の現場ではそれほど問題視されていなかったのではないでしょうか。
     この問題はまだまだ調査が必要ですが、過酷な環境の中で大事業を完工し、その後各地に散って行った人夫や技術者たちのことを忘れてはいけない場所としてこれからも守って行きたいと思います。

    2023年11月18日号

  • 議員報酬に見える自治体のセンス

     十日町市議会は議会改革特別委員会を設け、議員定数を改定し、いまは議員報酬のあり方と向き合っている。栄村議会も全議員で2年後の改選に向けて、定数と報酬の基本的な考え方を論議している。
     先月22日、改選した津南町議会は定数削減後の初の選挙を経験し、新メンバー12人が10日の任期開始日から活動を始めている。その津南町議会は議員報酬を町特別職報酬等審議会に、その取り扱いを委ねている。近く報酬審議会が開かれる予定だ。引上げの方針と見られる。
     議員報酬では様々な先行例がある。こちらは長野県生坂村(いくさかむら)。県中央部にあり松本市まで約25㌔、長野市まで約50㌔、村の中央を千曲川水系の犀川が流れる人口1667人(11月)、718世帯の長野県で5番目に小さな自治体だ。
     生坂村議会(定数8)は2020年、議員のなり手不足の対策の一つとして議員報酬を大胆に改定した。55歳以下の月額報酬をそれまでの18万円から30万円に引き上げた。働き世代・子育て世代へのアピールだ。その結果、翌年2021年4月の改選では、長らく無投票が続いていた村議選が20年ぶりの選挙戦になり、定数8のメンバーの世代交代が進み、女性が3人に増えた。副議長は女性だ。
     ここで注目は、議員報酬はその議会で一律である必要がないという点だ。地方自治法では議員定数の上限は定めているが、議員報酬を定める規定はない。つまり自治体条例で定めることになる。生坂村議会は議員のなり手不足の対策として取り組んだのが、この55歳以下の大幅引き上げだ。ただ生坂村議会はこの大幅アップを検証している。55歳以下の区切りの理解は得られたが、引上げ額は村民アンケートでは6割余が「見直しが必要」としている。
     自治体とは、まさに『自治』である。そこに自治体のセンスが見える。

    2023年11月18日号

  • 減収3億円余、等級落ち深刻

    初の規格外米に仮渡金、追加増も

    JA十日町エリア

    1等米は11%台、規格外米増で初の追加仮渡金を―。JA十日町(柄澤和久会長)は夏場の高温影響による規格外米の大量増を受け、9月に仮渡金増を決めたが、さらに今月1日に追加を決定。未熟混入うるちAは1万1500円(改定前より1500円増)、それ以外は6千円(同千円増)。なお例年は規格外米は少量のため、仮渡金は設定していない。

    2023年11月11日号

  • 再エネ「地熱発電」に熱視、秋山郷でも

    屋敷地区で2千メートル掘削、地元合意後に県申請へ

    近く協議会創設

     世界情勢変化によるエネルギー確保不安のなかで、関心がより高まっている「再生可能エネルギー」。特に地熱発電は地下にある熱水と蒸気を取り出し、蒸気で発電機をまわし発電するため、二酸化炭素排出量はほぼゼロ、安定的に24時間発電が可能で期待は大きい。秋山郷屋敷では再生可能エネ事業を取り扱う東京の投資会社が関わる地熱発電所の開発計画が浮上、栄村に申請届が出ている。ただ栄村は6月末発生の北海道・蘭越町の地熱発電所事故を受け、安全確保への懸念が高まったことから慎重な姿勢をみせている。一方、十日町市松之山では、温泉を使った地熱発電「コミュニティ発電・ザ・松之山温泉」が発電業者と地元温泉街との連携により3年前から稼働。運営会社には地元住民が役員に入り、今年10月からは国固定価格買取制度(FIT)に基づいた売電を開始。エネルギーの地産地消に向け、新たな段階に入っている。

    2023年11月11日号

  • ロクショウグサレキン属

    照井 麻美(津南星空写真部)

     秋と言えばキノコですが、今回はロクショウグサレキン属という私が山の中で好きなキノコをご紹介します。
     漢字にすると「緑青腐菌」と書き、見た目が銅のサビのような緑青色に似ていることから名づけられたそうです。
     大きさは2~5mmほどと小さく、毒はないそうですが、食すことは難しいようです。
     木の表面に出ている部分だけでなく、木の中も菌糸で同じような緑青色に染まっており、誰かが塗ったのではないかと思わせるような色は草木染ならぬ、キノコ染めという染め物の顔料にもなり、大変鮮やかで美しい青色に染まります。
     ちなみにキノコの分類は難しいので、今回のこの写真はロクショウグサレキンモドキと思われますが、正確には青くて小さな「お皿」部分の裏側に柄が中心についているのが「ロクショウグサレキン」中心からずれているのが「ロクショウグサレキンモドキ」と分類されるので、ロクショウグサレキン属というタイトルにしました。
     ぜひ、全国各地に分布しているので山の中で枯木、切株などの上に生息する鮮やかな色を探してみてください。

    2023年11月11日号