関 綾子さん(1987年生まれ)
『おいしい』、このひと言が食づくりのエネルギー源。「あれこれ組み合わせを想像してワクワクしちゃうんですよね。巾着の中にトロロをいれて蒸したり、豆腐と納豆を入れたり」。誰も思いつかないような組み合わせが次々と思い浮かび、「人にもその発想なかなかないよねぇ、
なんて驚かれます」。
こだわりを持った創作料理や、手作り弁当をつくる『自然食ぽのわ』を開き3年目になる。
『食』のルーツは小中学時代を過ごした南魚沼市五十沢の自然豊かな体験がベース。「何かを作るのが好きでした。小学校から帰ってきたら、友だち3人とケーキ作ったり、またそれをアレンジしてみたり料理作りを遊びのように楽しみました。当時は、そんなに簡単にお菓子なんて買えなかったのもあると思います」。
さらに五十沢中学ではアウトドア活動に魅力を持つ。「川がきれいで、イワナ、ヤマメ、カジカを突いて、その場で焼いて食べたりしていました。獲りたての魚の味は最高に美味しかったです」。
中3の時、十日町市に引っ越す。高卒後、幼少から夢だった保育士をめざし専門学校へ。だが…、「憧れが強かったのもあって、理想と現実の大きな違いに私のめざす保育ではないと感じ2年で十日町に帰ってきました」。
そこから人生が方向転換。大きく動き出した。弁当屋に始まり、様々な施設など「食」に関わる業務を次々と経験。「いつか、自分のお店が持ちたいなぁって思い始めたんです。夢が叶うといいなぁって」。
転機は、まつだい農舞台「里山食堂」勤務の時だった。「マクロビオティックという調理法との出会いでした」。玄米を主体に穀物を主菜として旬の地元食材の美味しさをそのまま提供する里山食堂。今までとは違った調理法、考え方に驚いた。「その時、息子が食物アレルギーでしたが、無農薬や無添加食品に代えたら症状が良くなったんです」。食の大切さを実体験として感じ、同時に、アレルギーや病気で食事制限に悩む人たちの力になりたい、その思いがさらに増し、「自分の店を持ちたい」と、開業への思いも強くなった。
そんな時だった。『空いている店舗があるけど、どう?』。その人が声を掛けてくれた。「いまだ、自分でやろう」と決意。弁当屋「七彩」を開業。29歳だった。
だが経営は難しい。「私は作ることは好きなんですが、思いだけじゃ継続できない。止めようかな…と考えたんです」。だが、あの人がまた声をかけてくれた。『いい人が居るよ、会ってみたら』。「不思議ですね、いつもそろそろ方向転換って思うと、その人が声をかけ連絡をくれるんです。いつも絶妙なタイミングで」と笑う。
紹介された人は、食に対して同じ価値観を持つ人だった。2021年8月に出会い、9月には店をオープン。スピード結婚のような出会いから事業パートナーとなった。
『自然食ぽのわ』。ハワイ語でポノは「ありのまま、精神、環境、物事、健康、全てのバランスが整った状態。正常な状態の事を言います」。それが広がっていく思いを「輪」という言葉に乗せ「ぽのわ」。子どもから大人まで喜ばれる安心安全の食の提供を二人三脚で経営、3年目を迎える。
「車麩や大豆をお肉料理に仕立てるなど、目で見て楽しみ、味付けも変え、煮る、揚げるなど調
理法を工夫し、変化をつけています。食材に固定概念を持ってほしくないですね」。オヤッと思う料理は、食を通して会話も弾む。「お客さんに、『これ何?』と、食からの話題の広がりも楽しみの一つです」。そんな楽しい雰囲気が口コミで広がり、来店者の幅が広がりに繋がっている。
「現在JAべジぱーくで弁当や総菜を置き、仕出しや弁当の注文を受けています。今後はアレルギーや食事制限に悩む方にも対応した出張料理代行も準備中です」。さらにハワイアン料理「レイ」を市内宮下町で金曜夜に限定営業。レイは感謝の言葉。
「食事は、自分で選んで自分の体内に入れるものです。なんでも手軽に入る時代だからこそ、自分で身体が喜ぶ食事を選んでほしいです。それは自然に良い身体が出来ていくことになりますから」。
▼バトンタッチします
金谷日向さん