目くらまし?
松崎 房子 (元ゆずり葉編集委員)
半年近くも経ってから気が付くとは、お粗末な話だ。
確か6月頃だったと思う。ブルーインパルスの華麗な航空ショーがテレビで放映された。昭和39年の戦後復興をアピールした東京オリンピック。雨が降り続いた後の見事な日本晴れの開会式。ブルーインパルスの見事な五輪のマークが大空に描かれた。近年になって聞いた話では、事前の演習が出来ずぶっつけ本番だったとか。強烈な美技に衝撃を受け、誇らしく感動した。
所属基地でコロナ後、久しぶりに観客を招いての航空ショーが開催された。まるでファンミーティングの様な華やかさで、いやが上にも高揚感が漂う。過去のそれより更に高度な美技が次々と披露された。
そしてその翌月、私も注目している俳優さんが潜水艦を舞台に映画を撮影中だという。防衛省? 海上自衛隊? は本物の潜水艦を撮影に使用する協力をしたそうな。国家機密に触れるぎりぎりまで、撮影に協力してくれたので、迫力のあるシーを撮ることが出来、見応えのある映画になったとのことだった。
そして9月、参加している「九条の会」の学習会があって、沖縄の現状を知ることができた。現在は禁止されてしまったドローンによる映像を見た。かねて付き合いのあった沖縄の映画会社の、監督さん自ら映像をもって、全国をキャラバンして映写会をしておられるという。
鹿児島以南の先島諸島から沖縄本島までを琉球弧という。その各島に対中国を意識した基地が出来上がっているという事だった。父が沖縄で戦死したので、戦跡にしか目が行っていなかったのも、暢気すぎたと反省した。
死に物狂いで抵抗する人たち。圧倒的力で退けながら、どんどん計画を完成させていく国家権力。頭をガーンと殴られたような衝撃だった。
正に弧を描いて中国に向かい対峙している。アメリカに絶対の協力をするのが現政権の命題だが、このほど米大統領と中国の国家主席が会談し、にこやかに握手をしている映像を見たばかり。日本は良いように使われているのを、ご存じないのだろうか?
耳を塞がれ・目を奪われていては、ならないのだ。ぼんやり頭のおばあさんには理解できないほど世の中は複雑巧妙にできているのだろう。「電話de詐欺」の回にも書いたが、人を騙すより騙される方が良いと教わったが、今は騙されるほうが愚かだと言われる。
戦後の貧しさからは、少し経済力もある国らしいが、反して、どんどんやさしさと、寛容さが少なくなっていく気がする。