中沢 英正(県自然観察保護員)
カラムシは繊維を採るために古くから栽培されてきた植物である。その葉を食草として繁栄してきた昆虫が「フクラスズメ」という蛾と「アカタテハ」という蝶である。
フクラスズメの幼虫(左・写真)は派手な色合いだからよく目だつ。時々大発生して、カラムシを丸坊主にしてしまうことがある。近づくと上半身を細かく振って威嚇するのが嫌だ。捕まえようとすると地面に落っこちて逃げ延びる。
アカタテハの幼虫(右・写真)も人目を引く。といっても幼虫自体の色合いは地味だ。目だつのは葉を綴って作る巣である。カラムシの葉は裏に綿毛が密生することから白い袋がぶら下がったように見えるのだ。その中で蛹となる。
秋に発生したものはどちらも成虫となって越冬する。暖冬だと途中で目覚めてしまい命を落とすことも多い。