中沢 英正(県自然観察保護員)
昨年の11月初め、栄村の知人からクロメンガタスズメという蛾
の幼虫(写真)を譲り受けた。お尻にある尾角と呼ばれる部分が湾曲し細かい突起がつくのが可愛い。
この蛾は東南アジア、インド、中国中南部などの熱帯が起源で、日本では九州以南でしか繁殖していなかった。それが2000年頃から生息域が北上し始め、現在では本州の東北地方にまで記録されるようになった。
成虫の背に人面のように見える模様があるのが特徴で、ずっと出会いたかった昆虫のひとつである。
家に来たときの幼虫は体長5センチほどだったが、11月中旬には10センチを超し、土の中に潜って蛹となり越冬状態に入った。
食草はナス科、ゴマ科などで、作物に被害を与えることもある。体がでかいから、食べる量が半端じゃないのだ。
晩秋の餌集めはちょっと大変だったが、春がきて無事に成虫となって土中から出てきてくれるのを願うばかりである。