国際大会、津南町は何をしていたのか

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社説

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 「何をしているのか」、この国の政治の現状から感じる言葉だろう。「どうするのか」、世界最大級の原発を抱える新潟県の人たちの思いだろう。「いったい、どうなっているの」、今週末に国際コンクールと名が付くイベントを開く津南町の人たちの思いだろう。国内外から3千人余が来町し、米どころ津南を世界に発信する、来場による経済効果も大きい、はずだった。だが、余りにもお粗末な事態が明らかになった。
 本紙記事が実態だ。3千人といえば、津南町の宿泊施設すべてのキャパシティ(宿泊可能数)の4倍強に匹敵する数だ。国際コンクールの名を冠する一大イベント、その宿泊先は当然地元、と思ったのが大間違いだった。開催まで2週間を切った段階で、実態が明らかになった。その多くが町外宿泊という事実が判明した。これはいったいどういうことか、宿泊関係者は疑問を通り越し、怒りに変わっている。当然だろう。
 ここまでのプロセスは、立場によりその言い分は違うだろうが、先ずは現実を直視すべきだ。宿泊関係者は落胆し、感じているのは取り組む行政への「なさけなさ」だろう。なぜ中間チェックできなかったのか、そもそも宿泊振り分けを委託した業者とどういう契約をしたのか、いや、契約も覚書も交わしていなかった。なぜ、なぜと疑問符は膨らむばかりだ。誰の責任というより、そもそも誘致した津南町はいままで「なにをしていたのか」だろう。
 今年産米の等級落ちという農業経済が大きな打撃を受けている現実。その沈滞ムードを国際大会で払拭する面も、この週末のイベントはあったのではないか。大会は計画通り進むだろうが、その最終日、主催地の津南町は国内外に向けて何をアピールするのか。足元がぐらつくなかで、その言葉にどれほど力が込められるのか。実行委員長、桑原悠町長の言葉に注目したい。

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