「どうしてここに?」、崩壊地の直下

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清津峡 スリット堰堤計画

藤ノ木信子 (清津川に清流を取り戻す会)

 前回の続き…湯沢砂防事務所の清津川治水事業は、私には「はて?」と引っかかる点が多くて困っている。ホームページには「清津峡渓流保全工の推進」として上がっているが、H26年の現地調査から10年過ぎても現地は何も変わっていない。つくば市の日本工営には流域住民が頼んだ訳ではないのに巨大な模型を作って実験し、住民に見学させてくれる。どうしてこんなに時間や手前をかけているのかな?  サクサク造ってしまうと大人の都合上うまくないのだろうか?同じ砂防事務所の他の現場のスピード感と違いが明らかなので、「そう(・・)いう(・・)案件」と私は思っている。この事業が完成するまでには更に5年はかかるとのこと。(その間ずっと住民の安全は現状のままだけど…)
 それにスリット堰堤を造る場所も「どうしてここ?」と引っかかる。計画されている堰堤の位置は、小出・葎沢集落の上流の清津峡との間で、右岸は地元ではのげま(抜けるところと言う意味)と呼ばれている崩壊地の直下だ。この辺りは太古の昔マグマが冷えて固まった岩塊(清津峡側)とグリーンタフという海底火山の火山灰の堆積層(下流側)との境目で地質が不安定なのに…で更に左岸は公園トンネルを掘った土を積み上げたズリなのだ。堰堤を造ることで水位が上って、もろい山脚がやっかいなことになるんじゃないか? 素人の私でも心配になってしまう。土木の専門家はどう考えているか説明してほしい。
 でも私が特大の? マ
ークをつけた疑問点は、「スリット堰堤と集落付近の護岸工事をセットにしないと治水効果がない」という説だ。実はこの堰堤のスリットの幅は4mもある。両端にコンクリートの壁があって真ん中は水も土砂も流木も流れる。はて? これ造る意味あるの? 同じことを河川工学の先生は言われていて、砂防ダムに頼らず護岸工事を主体にしたいと。どこかにこのセットでの治水方法の先駆的な例があったら見に行きたい。
 写真は大正時代の清津峡入り口付近。竿を使って飛び移っていた大きな岩は今ではとても小さくなっている。欠けたり砂利で埋まったからだ。うちの裏も以前は深い淵だったが今は随分浅くなっている。小出集落付近はどこも河床が上がっている。川の在り様はいつも同じでなく変化する。無限に運ばれてくる大量の砂利は速やかに下流に流したい。だから川を横断する構造物はできるだけ造らないでほしい。次回は他の治水手段はないの? の考察をしてみよう。

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