『住民判定人』で行政事業検証を

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社説

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 「自分ごと化会議」は、全国150を超える自治体で実施している。言葉の通り、「自分ごと」として自分が暮らす市町村の行政事業を見直し、検証し、新たな事業化を行政に提言していく、あるいは住民主導で事業を実現に導く、その声の総まとめ機関だ。
 行政事業の見直しは全国の市町村で、大小や濃淡はあるが機会を捉え検証を行っている。十日町市は総合計画の実施状況見直しを毎年行い、津南町も総合振興計画の見直しと共に自律計画の定期的な検証を行う。栄村も総合振興計画の見直しと共に毎年ローリング的に村事業を検証している。
 知られるのは鳥取県琴浦町。前町長の山口秀樹さんは語る。隣の米子市でも同様な取り組みを導入するため、「自分ごと化会議インよなご」を立ち上げ、有権者2千人対象に『市民判定人』を公募。やってみたいと21人が名乗り出て、市事業の見直し・検証に取り組んだ。2千人の20人余は1%だが、この自主的な手上げに意味がある。先ずは生活に密着の路線バス補助金をテーマにした。運行補助で年間2億円を市財政から支出している事業を検証。公共交通の維持運営に悩む多くの自治体共通の悩みでもある。
 赤字路線バスは高齢化社会の「命の足」、財政支出止む無しが実情。だが山口さんは「自分ごと化会議」で『市民判定人』に問うた。改善すべき・現事業を核に改善・現行通りの3視点で判定。市民は「赤字を単純補填せず企業努力を促すインセンティブ(報酬)を設け、路線ルートを再度市民と協議…」など「住民判定」した。妻有の自治体でも取り組むが、「住民目線」の判断を議会・議員に委ねているのが現状だ。
 「自分ごと」、住民がそう考える『危機感』をどう促すか、行政運営のセンスと感度が問われる。津南町のニュー・グリーンピア津南問題は、まさに「住民目線」が問われている。

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