健康診断の結果
村山 朗 (会社員)
齢七十をすでに超え、後期高齢者となる日がすぐそこまで近づいている筆者としては、定期的な健康診断の結果がとても気になります。でも、はて? と首をひねる基準があります。
ボディーマス指数、通称BMIというものがあります。筆者はその数値が19前後で、特に肥満もしていません。ですが腹囲が85㌢を少し超えただけでいわゆるメタボと判定されました。この腹囲の数字は身長を全く考慮していないように見え、身長が180㌢近くある筆者としては大いに疑問のある数値です。
血圧も最高血圧が140台前半で高血圧症と判定されました。同年代にはいわゆる降圧剤を処方されている友人が多く、血圧がいくつぐらいになったら薬を処方されたん? と尋ねると130超えたぐらいから、と複数の人から答えが返ってきました。
七十歳前後で、最高血圧が130や140ってほんとに薬を飲まなければならないほどのことでしょうか。中性脂肪などもわずかに基準より高く、これも高脂血症との判定です。糖尿病の疑いもありということで「健康診断のお知らせ」はめでたくD判定をいただき、早く医者に診てもらって治療を開始しなさいとのご託宣でした。
念のためお医者さんに診てもらうと、食生活に注意、と一言だけ。転ばぬ先の杖は必要だと思いますが、転ばぬように身動きできないようにしているのではないのではないでしょうか。
数値は数値として結果を示していただければいいのであって、あとは余計なお世話というものです。健康のためにあれはダメこれはダメと苦心をし、呑みたい、呑んじゃダメと家人とけんかをし(笑)、挙句の果てはサプリに頼ってかえって病気になってしまう、という笑えない現象も起きています。
家族や周りに迷惑をかけるような生活をし、暴飲暴食をグルメと称するような生活にはまったく賛成できませんが、ちょっとした数値のオーバーで治療せよ、というのではたまったものではありません。
日本の平均寿命は世界一で84・1歳です。国民全体のBMIは20台前半で世界でも最もスリムな国の一つだそうです。スリムな体型を国を挙げて推奨するのはよいとして、筆者も含め何でもかんでもお医者さんに駆け込むという過剰な反応を生み出しているのではないでしょうか。
日本の保健医療費の大半が高齢者に費やされています。医者に通う回数はスウェーデンの4倍にもかかわらず、平均寿命はほぼ同じです。数値基準は年代に合わせた、きめ細かなものにすべきです。
続きは本誌2024年6月22日号を御覧ください