ウドの果実

contents section

中沢 英正(県自然観察保護員)

 ウドは背丈2メートルにもなる大きな草である。そのため「ウドの大木」なることわざをあてがわれ、図体は大きいが役立たずのマイナスイメージを持たれてきた。
 春の若芽は人気の山菜である。栽培品も多く出回るが、風味の点では天然物には敵わない。和え物や味噌汁の具にすれば絶品である。
 山奥では6月まで採取可能だ。
 その後、茎はすくすくと伸び、誰も見向きもしない時期を迎える。
 道沿いに生えたものは除草の対象になってしまうことも…。
 晩夏、他の草より抜きん出た茎先にたくさんの小花を球状につける。はじけた線香花火のような集まりだ。この花も食用となる。球状のまま料理の飾りとしたり、衣をつけて揚げればまるい天ぷらの出来上がりだ。
 トリをとるのが果実(写真)。黒熟すれば生食できる。甘味と苦味のハーモニーがいい。 
 ことわざに取りあげられたのは昔から注目されていた証。個性ある香に魅了された人は多い。

続きは本誌2023年9月30日号を御覧ください