どうする地域の「足」
村山 朗 (会社員)
飯山線の一部区間の乗客が極端に少なく、廃止の可能性が取りざたされています。筆者は昨夏、一日2本しかない只見線直通列車を半日かけて、始発駅・会津若松から終着駅の小出まで乗車しました。平日でしたが、2両編成の車両はほぼ満員。
只見線は景色の良さが知られていますが、絶景と称される場所でも列車から見る視点と外から撮影した景色が全然違うこともありました。まあ、その辺は大目に見るとして(笑)。
のんびりとした時間が流れ、とてもいい旅でした。飯山線も只見線に劣らず素晴らしい景色が沢山あります。酒蔵もあります。工夫次第でいくらでも全国の乗り鉄、撮り鉄、飲み鉄の皆さんを呼べるのではないでしょうか?
一方、現実には筆者も旅行にでも出ない限り、普段は鉄道に乗ることはありません。先日の新聞に、日常の交通手段について専門家の調査結果が載っていました。コロナ前の令和元年度の全国輸送人員の27%が鉄道、バスが5%、タクシーが1%、自家用車が67%、それが過疎化の進む四国では鉄道が3%で、バスとタクシーがそれぞれ各1%、全体の94%が自家用車だったそうです。この四国地域の調査結果は、当地域の実態とほぼ一致するのではないでしょうか。地方では自家用車がないと移動が不自由な現実を、数字が物語っています。
近ごろは高齢者の交通事故が大きく報道されます。実際の事故率は高齢者だからといって特に多いわけではなく、偏見を助長するような報道には一高齢者として怒りを覚えます。マスコミを含め周りから免許を返上しろ、と圧力がかかるわけですね。
免許を返上した高齢者は運転する同世代の人と比べると、認知症になりやすいという研究報告もあります。自由に外出し行動できるかどうかは、すべての世代で健康の維持に大きくかかわってきます。
また、新しい交通手段としてライドシェアや車の自動運転があります。ライドシェアとは、自家用車を所有者自身が空き時間を利用して、アプリに登録した乗客を運ぶことを言い、海外ではかなり普及しています。我が国では白タクと呼んで不安視し、業界団体の反対もあってすぐには格安な交通手段にはなりそうにありません。
自動運転は地方の交通量の少ない地域に馴染みやすいと思いますが、コストと運転精度の問題を克服するにはまだ時間がかかりそうです。
当地での交通手段は、まだまだ自家用車が一番。自分がいつまで運転できるか、切実な問題です。