中学生の疑問、「なぜ結婚を…」「なぜ子を産むの…」

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You tube「ハダカベヤ」にゲスト出演

vol 95

 実家の十日町市に戻ってきてから、母のやっていた講演会活動を引き継いで、かれこれ16年目に入ります。最近、中学校で性のお話講演会をさせていただくときに、この質問よく受けるなあというものがあります。それは、「必ず結婚しないとダメですか?」「子どもを産まないとダメですか?」です。
 先月2月27日に厚生労働省は人口動態統計の速報値を公表し、それによると2023年の出生数は過去最少の75万8631人(前年比マイナス1万116人)で、 婚姻件数も戦後初めて50万組を下回り、48万9281組となったとのこと。これは国立社会保障・人口問題研究所の推計より、およそ12年早いペースで少子化が進んでいるということなのだとか。16年前にちょうど「草食系男子」ということばが流行語大賞になりましたが、今の様子は草食系を通り越して「絶食系」に近いともいえます。
 性のお話講演会は全国的に、以前は怖がらせて安易な性行為はやめさせよう、といった傾向が強かったのですが、最近は少子化を少しでも解消するために、「なるべく子どもを産みたいと思う話をしよう!」という風潮になっているようです。でもどうして既に中学生たちは、その年齢で「結婚したくない」「子どもを産みたくない」と思っているのでしょうか?  
 『SRHR』という言葉を知っていますか。英語のSexual and Reprod
uctive Health and Rightsの頭文字をとったもので、日本語では、「性と生殖に関する健康と権利」と訳されます。具体的に言うと、Sexual Health(性の健康)=自分の「性」に関することについて、心身ともに満たされて幸せを感じられ、またその状態を社会的にも認められていること。Reproductive Health(生殖の健康)=妊娠したい人、妊娠したくない人、産む・産まないに興味も関心もない人、アセクシャルな人(無性愛、非性愛の人)問わず、心身ともに満たされ健康にいられること。Sexual Rights(性の権利)=セクシュアリティ「性」を、自分で決められる権利のこと。自分の愛する人、自分のプライバシー、自分の性的な快楽、自分の性のあり方(男か女かそのどちらでもないか)を自分で決められる権利のこと。Reproductive Rights(生殖の権利)=産むか産まないか、いつ・何人子どもを持つかを自分で決める権利。妊娠、出産、中絶について十分な情報を得られ、「生殖」に関するすべてのことを自分で決められる権利のこと、です。また、これらの権利は、『生まれながらに持つべき権利(人権)』であり、どう人生設計するのかは個人個人が決めたらよいことではあるが、そのためには十分な情報を各自がしっかりと得る必要があることも明記されています。
3月8日は国際女性デーでもありました。それにちなんで『SRHR』についてタレントのIMALUさんが中心になってやっているYouTube番組「ハダカベヤ」に出させていただきました。もし良かったら、3月25日から公開されていますので見てみてくださいね!
 「結局は未来の産んだ子どもの生活に不安があるから産まないんだよ」という意見でその場にいた友人たちがみんな納得したんだよと教えてくださった方がいます。中学生たちも同じなのでしょうか? 何が不安なのか、なぜこれから子どもを産む年齢の若い人たちがそう思うのかをもっと政府が汲み取らなければ、とても少子化は解決しそうにありません。私も講演活動を通じて、今後そのあたりを追求していきたいと思います。(たかき医院・仲栄美子医師)