中村哲医師と日本被団協のノーベル平和賞

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ざわつく世界の中で

松崎 房子 (元ゆずり葉編集委員)

 12月4日は中村哲医師の命日、何者かに銃撃されて崇高な命が失われた。アフガン難民キャンプで巡回医療を開始し、91年から、山岳地域に診療所を相次いで開いた。その活動を支援する人たちもどんどん増えた。次に続く医師たちも増えた。活動はペシャワール会として日本からも多大の支援がなされている。
 しかし生活環境が改善されなければ、病や怪我を直す事だけでは、解決にはならないと砂漠地帯に灌漑事業を展開する。哲医師は医療従事者から工事事業者になった。住民達も生活費となる報酬が得られることもあって進んで協力し、砂漠地帯が緑豊かな地域に変わっていくのは、それはそれは見事だった。いまだに犯行の詳細は判明していないが、何時でも何所でも、良くなっていく地域に、格差を感じ、羨望?妬み? 殺されてしまった。
 彼に魅了され、DVDを3巻も買ったり、心から尊敬している。
 声高に叫ぶわけでもなく、誰彼に支援を頼むわけでもなく、黙々と一人でコツコツと取り組んでいる。周囲が自ずとかかわる事になる本物の説得力。足元にも及ばないが、見習いたいとは強く思っている。
 この原稿に取り組んでいる昨日今日、ノーベル平和賞受賞式に出席する被団協の方々。つい微笑みが浮かび、誇らしい気持ちになり、画面に見とれる。最高齢の92歳の代表に続いて、若い平和大使達も一緒だ。今までも受賞者たちは大勢いらっしゃるが、こんなに克明に報道されるのは、あまりなかったような気がする。世界中で、核兵器の使用が懸念されている事の表れか? そして12月10日は授賞式。

 次期米大統領が、トランプ氏に決まって以来何か世界中が騒がしい、日々驚きの報道がある。アサド政権が崩壊しロシアに亡命。韓国でも突然戒厳令が出たりしてびっくりした。ヨーロッパの大国でも、政権が揺れているようだ。何も分かっていないド素人の私がとやかく言える程ではないが。何かのきっかけがあれば戦になりそう! それほど愚かではないと思いたい。
 そこで、戦争放棄を声高らかに謳っている、我が憲法九条が、一段と存在感を増すと思いませんか? それには如何なる文言も加筆・削除しないことが大前提。何とか有効な文言を加筆して、戦争ができる国にしたい政権を注視していく事を諦めてはならない。
 中村哲医師や日本被団協の皆さんの長く続ける努力をお手本にして。

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