南から来た蝶

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中沢 英正(県自然観察保護員)

 地球温暖化と言われて久しい。長く続く暑さは勘弁してほしいし、穏やかな春の日やさわやかな秋の日が少なくなるのは寂しい。
 気温に敏感なのは昆虫の方が上。今まで見なれなかった南方種の蝶を目にする機会が増えた。
 ツマグロヒョウモン(写真左)は近畿以西に分布していたのだが、関東から東北南部まで広がってきている。津南町では10年ほど前から、栄村や野沢温泉村では2年くらい前から花に止まる姿を見かけるようになった。メスの前翅の先半分が紫黒色なのが特徴である。
 クロコノマチョウ(写真右)は、静岡県以西の沿岸地域に分布するが、生息域は関東北部まで広がっている。津南町では今秋に2個体確認した。コナラの樹液を吸う姿は枯れ葉と見まがうほど目立たぬ色合い。成虫越冬するのだそうだが南国由来の蝶に雪国の冬は過酷であろう。
 南方の蝶が見られるようになったのは嬉しいが、今まで飛び廻っ
ていた北方の蝶が見られなくなったら悲しい。