国民生活の安定や安全は

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今年を振り返って

清水裕理 (経済地理学博士)

 今年も寒くなり年末が近づいてきました。2023年はどのような一年でしたでしょうか。時代が変化し、その具体的な動きが見え始めてきた、そんな一年でもありました。コロナ、ウクライナや中東の紛争をきっかけに、80〜100年単位と言われる新時代を迎える前の変化が、加速したようにも思います。
 コロナによって加速したことの一つは、少子高齢化と働き方への影響です。例えば、地元の個人商店の閉店が増えました。地元には長年にわたって愛されてきた食堂やお菓子屋さんなどがあります。なかには、店主が高齢となってきて、今後お店をどうしようかと考えていた方々がいたと思います。 
 それがコロナをきっかけに、お店を閉める判断を早められた方々がいらっしゃるように見えました。お店のファンからすると、コロナがなければ、お店をもう少し続けてくれていたかもしれない…後継者が出てきたかもしれない…と思ってみたりして残念に感じてしまいます。
 ウクライナや中東の紛争によって加速したことの一つは、それまでのグローバル化の進展が青信号から黄色信号になったことです。
 グローバル化とは、国境を超えた資本や労働力の移動および貿易や海外への投資が活発となることで、世界との経済的な結びつきが深まることを指します。
 今後も世界との経済的な結びつきがなくなることはありませんが、今回の紛争で地政学リスクが高まり、小麦などの食糧や石油・ガスなどのエネルギーを輸入していた国々に深刻な事態が生じました。製造業においても、海外から部品の調達が従来通りできなくなり工場で製品が作れなくなるという影響がありました。
 地政学リスク(紛争などの緊張の高まりが、その地域や世界経済に与える影響のこと)という言葉は、少なくともここ30年は使われることがなかったと記憶していますが、最近はよく使われるようになりました。
 私たちが海外旅行をする際も、世界で起きている或いは起きるかもしれない紛争を、ここまで意識することはなかったと思います。
 来年の世界は選挙の年と言われ、1月に台湾総統選、3月にロシア大統領選、4月に韓国総選挙とインド総選挙、11月に米国大統領選があり、日本への影響が注目されます。
 日本国内は、今まで先伸ばしにしていた、建物や設備の更新が増えるなどして景気がよくなるとも言われています。そして、それが国民生活の安定や安全に繋がるかどうか…重要なことだと思います。

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