取り組み方法の違いは、その前段の「理念」の違いなのだろう。十日町市・津南町・栄村がいま共通して取り組む政課題の一つに「小中学校の再編」がある。そこに臨む行政姿勢に違いが見える。小学校17校、中学校10校を持つ十日町市は当初の学校再編への市民疑問を受け、再編計画をリセットし、新たな検討委員会による学校再編の方向性を地図に落とし込み、市民に提示している。二度目の再編案は10年先を見るが、行政・市教委主導というより、市民がリードし、協議している。
長野県最北の自治体、津南町と隣接の栄村は小学校1校、中学校1校を一体化する「文科省認定の義務教育学校」新設をめざす。その取り組みは村民参加のワークショップ方式。すでに22回を開き、その時々のテーマで村民主導で意見を交わし、ついに新設校の「校名」選定の段階まで来ている。一貫しているのは「村民が自ら作り上げる学校」。村教委は下支えに徹し、村民の主体性、自主性に重点を置く。全く新しい義務教育学校を作る、その大きな一歩の「校名」選びをいま全村対象に行っている。否が応でも関心が高まり、同時に教育内容も独自色を出す取り組みが平行して始まっている。県内外から問い合わせがある。
5年後までに小学校を町立1校にする方針を打ち出す津南町。その学校は「対等統合」という町教委の方針だが、「校名は今の津南小学校」、校歌も校章もそのままという。上郷小・芦ヶ崎小校区からは「対等統合ならなぜ新設小学校として校名や校歌を作らないのか」、疑問の声が出ている。津南町の学校再編は11年前に検討会が答申の内容をベースに学校再編を進めている。時代の変化、住民意識の変化があるなか、なぜ…と疑問が膨らむは町民たちだ。
同じ行政課題に、こうもアプローチが違うのはなぜか。12月議会が始まる。住民代表の議員の出番ですぞ。