新潟沖の海域活断層、意識を高めたい

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社説

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 先週3日の新聞各紙に注目した。前日2日、この国の政府の「地震調査研究推進本部」(地震本部)が公表した日本海・新潟県上越沖から兵庫県北方沖にかけての海域活断層の「長期評価」を初公表し、各新聞が翌日報じた。県紙・新潟日報トップ見出し「上越沖M8の断層帯」が衝撃的だ。地震本部のねらいは「前倒し公表で自治体の速やかな防災対策に活用するため」とし、この中では関心が高い地震発生率は評価せず、来年中頃に公表する方針だ。
 柏崎刈羽原発の中越沖は今回の公表には含まれず、今後公表としているが、隣接地に存在する海域活断層の評価は、大きな意味を持つ。
 公表の海域活断層は、これまでに公表されている範囲内で新たな活断層は含まれていない。だが、地震本部は「断層の有無が確認できていない場所がある」として、今回公表の活断層が全てではないとしている点に注目したい。
 さらに中越沖、下越沖も今後公表されるが、最大の関心事は中越沖の海域活断層だろう。同じ2日に原子力規制委員会は日本原電(日本原子力発電)の敦賀原発の重要施設が活断層の上にあり、国の新基準で原発設置を禁じている事項に該当し、「審査不適合」を示し、事実上、敦賀原発の運転不許可を出した。
 この事実は大きく、今後公表される中越沖の海域活断層の存在が明らかになり、それが柏崎刈羽原発に影響する場所となると、事はさらに重要局面を向えることになる。
 これまで手薄だった日本海の海域活断層の調査が、ようやく表に出るようになり、これが世界最大級の原発、柏崎刈羽原発の存在に大きく影響していくことが想定される。地震本部が今回公表した意図を再度考えたい。『速やかな防災対策に…』、さらに『断層の有無が確認できていない場所がある』、ここに自治体、住民の防災意識を集中する必要がある。これも待ったなしだ。

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