東京都知事選
藤ノ木信子 (清津川に清流を取り戻す会)
七夕の夜に開票が行われた東京都知事選は考える点が多かった。都民ではないので外野からの感想だけど少し書いてみようと思う。
当初から当選する気のない候補者乱立や掲示板ジャックなど「人としてどうなの?」と理解が追い付かない私は遅れている? らしい東京現象で選挙戦は始まった。
選挙中、「候補者が肉声で思いを伝えないと気持ちが動かないよ」と考えている私は、もはや旧人類? と思ったのがAIやZOOM記者会見だ。これからの選挙ではテクノロジーを駆使した一方通行の手法が多用されるんだろうか。AI百合子は誰に話しかけているの?
開票すると、全く顔を出さずSNS発信だけで11万票を得た候補者があった。えっ? と思うけど街頭演説でなく、スマホの中の見えない存在が若者の支持を得ている。 次点で165万票を集めた石丸氏は動画配信のファン層と若年浮動票をがっちり掴んだ。言動が面白ければいいエンターテイメントの様で、私にはとても短絡的に見える。
若い人は今までのバチバチの政策論争には近寄らないが、簡単で分かりやすく相手を批判してくれる等身大の候補者には共感する。
私の世代と異なるやり方で違う世界線で推し活選挙? が進んでいる。政策を戦わすのでなく、マウントを取り相手を打ち負かせばいい、切り取りの民主主義、それを興味本位に持ち上げる報道…私的にとても危ういものを感じる。
この後の衆議院選挙もこの流れは加速していくんだろうか。投票率は上がったが、結果は知名度と組織票をがっちり持っている現職が当選、都民の選択となった。(小池さん、8年前の公約「2030年までに原発ゼロ」を達成して下さいね)というわけで、私自身が歳をとったことを思い知らされた都知事選だった。
だがこの選挙で成長した人もいる。一人街宣という個人が立ち上がる勇気あるムーブメントで、プラカードを持って一人で駅や街角に立って選挙への関心を深めようとした人が多く現れた。候補者ではなく有権者が主役として動き出したことが進化だと思う。
この人達の心は今後もっと大きくなってほしい。テレビで言ってるから、偉い人がやることだから、専門家が考えたからと鵜呑みにしないでほしい。はて? と思うことは一人一人が自分で情報を集め、学び、考え、判断し、行動してほしい。
思考停止して傍観したり、多数に合わせて依存するだけでは見えない景色がここにある。
だから私ももの言う「老婆心ながら」でありたいと思う。