「よろこびの歌」に感動
村山 朗 (会社員)
十日町の音楽文化は素晴らしい! 筆者は音楽好きではありますが、普段クラシック音楽は聞かないし、むしろクラシック嫌いです。そんな筆者でも知っている超有名曲、ベートーベンの交響曲第九番「合唱付き」のコンサートが、十日町市文化協会設立30周年記念ということで開かれました。
それも市民から百人の歌手を募って合唱するというではありませんか。初めて募集の話を聞いたときは、そんな人数が集まるのかと野次馬根性丸出しでしたが、杞憂に終わりました。女性に比べ男性が少ないものの百人以上の合唱団が見事に勢揃い。独唱の後の合唱が始まった瞬間、百人を超える合唱の音圧が二階席にいた筆者の体にドーンと届き、思わず鳥肌が立ちました。
半年以上の練習をやり通した合唱団員と素人集団をまとめ上げて本番に臨んだ指導者の苦労が喜びに代わり、聴衆と一体になった瞬間でした。
もう一つ、ステージにどうやって百人の合唱団とオーケストラを乗せるのか、これも興味津々でしたが、花道も使って打楽器を配し、ステージの前面に張り出しをつけ、見事に合唱団とオーケストラが一体化しておりました。
ところで、日本人なら多分だれでも歌える「よろこびの歌」~晴れたるあおぞら ただよう雲よ~の部分は全曲のうちのごく一部です。合唱だけが話題になりがちですが、全曲を通すと70分以上の大曲なんですね。はたして居眠りをせずに全曲聴き通せるのか、オーケストラ演奏の部分はどんな曲なのか。全曲通しては未聴だったため、予習のためCDを購入し、毎朝のように家族の迷惑も顧みずこの曲を流すようにしました。
まったく興味のない音楽でも聞く毎に親しみを覚え、聴き通すことも楽しみに変わるんですね。まさに名曲というべきでしょうか。こんなことを書くとクラシックファンには顰蹙を買うこと必至ですが、合唱部以外もとても素晴らしい。
さて、演奏したJR東日本交響楽団は、なんと発足30年を超えるアマチュアのオーケストラ。JR東日本の社員有志が仕事終了後に集まって定期的に練習を行っているそうです。オーケストラの演奏の良し悪しもよくわからない筆者ですが、プロの指揮者がまとめ上げた演奏は合唱に劣らず本当に聴きごたえがありました。
この素晴らしいコンサートを企画実行した主催者や裏方の皆さん、ホールのスタッフの仕事にも大きな拍手を送りたいと思います。5年後の35周年の演奏会も大いに期待しております。