秋山郷電源開発軌道巡り

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小林 幸一(津南案内人)

 津南町自然に親しむ会で秋山郷の電源開発軌道巡りを行いました。今回は初めて中津川発電所工事の軌道跡を巡るツアーということで苗場山麓ジオパークガイドも同行し、秋山郷の魅力を別の観点から再発見する企画です。
 最初に向かったのは、千曲川を船で下り、建設資材を降ろした大倉スノーシェッド下の波止場跡です。私も何度か一人で来ていますが、大勢で見学するとまた新たな発見がありました。工事に使う膨大な資材の多くは此処から電車に積み込み終点の切明まで向かいますが、次に電気の無い時代に電車の動力を発電した芦ヶ崎の中津川第三発電所跡を見学。そこから電車道を通って反里口の廃隧道に入りました。
 午後から中津川第一発電所を国道から見下ろし、百年前の写真と比較しながら難工事の形跡を探しました。その後前倉の山中にある大正11年11月建立の慰霊碑を見学し、軌道跡を辿りながら屋敷の大発破下にある砕石場跡を見学した後、2本目の廃隧道を調査しました。
 隧道は軌道全線で43本、総延長2.564mも掘られましたが、確認できているのはこの2本だけで、どちらも片側は土砂で埋まり、いずれ原生林の中に飲み込まれて行くものと思います。来年は中津川第一発電所送電百周年を迎え、この偉大な事業をどのように継承して行くのか試行錯誤は続きます。