裏金問題と確定申告

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社説

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 「派閥の裏金問題」。文字づらを見るだけで不快感が湧くが、この問題の「主人公・自民党」を長年支持し続ける方々は、どう感じているのか、率直な言葉が聞きたい。時は納税義務者にとっての「関所」、確定申告の時期を向える。自営業、農業者、年金生活者などが主だが、その担当者とのやり取りを思うと、桁が違う裏金問題の本質を見る思いだ。1万円余、いや数千円の経費計上を巡ってのやり取りは、毎年のことだ。だが、今期の確定申告の現場は、ちょっと雰囲気が変わるかもしれない。納税者たる我々にとって、裏金問題から見える「脱税」は、どう考えても許せない「違法行為」だ。
 検察は結局、時の権力に追随せざるを得ない実態を、我々の前に見せた。「立件断念」。どう考えても派閥の会計責任者の独断でパーティ券会費売上を自由に動かせるはずがなく、さらに悪質は派閥に「上納」すべきパー券ノルマ以外は「マイポッケト」した議員が多数いることが判明し、これは明らかに「雑収入」であり、課税対象になるお金だ。それを申告していない以上、「脱税」だ。これほど明確な違法行為がなぜ許されるのか、ここが最大の問題だ。こうした「慣行」を長年続け、そのパー券を購入し続けている人たちは、この実態を知り、見て、なぜ怒らないのか、不思議でならない。パー券を買った以上の見返りがあるのか、そんな勘繰りも抱いてしまう。
 歴史的な低迷支持率を更新するこの国の政権。震災対応を最優先に掲げつつ、解散・総選挙もできず、内閣総辞職もできず、もはや政権の体を成していないが、さりとて「捨て身の政策」も打ち出せない弱腰政権。こんな国に暮らす悲劇が、被災地を襲っている。政治への信頼が抱けなくなり、政権への不信感が増すとなれば、一瞬即発の状況になりかねない。危ない内政になりつつあり、危機感を抱く。

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