遺伝子レベルで変異へ、専門医受診を

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ギャンブル、買物、アルコールなど依存症は脳の病気

Vol 109

 先日たかき医院で行われましたフェムテックフェスティバル、三連休の晴天の日にもかかわらず百人超の方が足を運んでいただき本当にありがとうございました。女性が輝いて過ごすための国内外のテクノロジーが待合ホールに所狭しと並ぶ中、みなさまから「びっくりしました!」と良い意味で驚きの声をもらいました。大変好評だったので、来年も企画していきたいと思っております。
 さて、先日某病院主催の「依存症フォーラム」に参加してきました。主催病院の精神科医師、依存症の当事者としてアルコール・ギャンブル・薬物の依存症の患者さん数名、依存症家族や支援団体の代表の方たちが代わる代わるお話をして下さったり、最後は会場からの質問にそれらの人たちが答えるクロストークがあったりして、依存症についてさまざまな角度から勉強する時間となりました。
 精神科医師からの言葉でなんといっても印象的だったのは「依存症は脳の病気」でした。以前、肉のあぶらは強い依存を生む、という話をこの場を借りて書きました。肉のあぶらを過剰に摂り続けると、「満足」という感覚を生み出す脳のドーパミン受容体の遺伝子自体が変化して、食事による喜びや満足を感知させないようにするため、脳が「満足できない脳」に変わり、満足感を得るために脳が「もっと」と指令を出すようになり、これが麻薬・アルコール・タバコ・買い物・ギャンブルなどのさまざまな依存症の脳内メカニズムに似ていますよ、という話でした。
 つまり、もう一度言いますが、依存症は気持ちが弱くてやめられない、という精神論的な問題ではなく、脳細胞が遺伝子レベルで形を変えてしまう脳の病気なのだということを知って欲しいのです。
 依存症が脳の病気ということは、たとえばギャンブル依存症の人が作った借金を家族が肩代わりをして、なかったことにしたり、次回はお金を使い込んでしまわないようにクレジットカードを止めたり、銀行口座からお金をおろせなないように工夫をして、しばらくギャンブルをできないようにすれば反省してギャンブルのことを忘れてしなくなるだろう、という周りの人の考えや対応はすべて間違いだということです。
 依存症本人は他の病気と一緒で、きちんと専門医を受診して治療をし患者会に参加すること、家族も依存症のことや患者対応を家族会で勉強していく必要があります。多くの人と関わり助け合う、「ひとの輪」の中で癒していくと依存症から抜け出るゴールが近づくと思ってください。
 だから、もしも「明日はきっと立ち直ってくれるはず」と思うような依存をお持ちの方がご家族の中にいるようであれば、一日でも早く専門病院への受診につないでいただきたいと思います。
 依存症に関しては新潟県福祉保健部の障害福祉課に「いのちとこころの支援室」(℡025・280・5201)があります。ここ十日町・津南から近い依存症治療をしている病院は、上越市のさいがた医療センター、柏崎市の関病院です。これらの病院にお尋ねいただければ、家族会の紹介もしてくれます。
 まずは依存症に対しての間違った認識を正すこと、そして正しい知識を知ることがとても大事です。ちなみに、生理痛で痛み止めの依存になっている方は、痛み止めは過剰に摂りすぎると肝臓や腎臓に負担をかけますので、是非婦人科にご相談くださいね。
 (たかき医院・仲栄美子院長)